やっぱちょっと羨ましいぞ、家族
定期的に、姉の家にお邪魔している僕。今日の休みは2、3ヶ月ぶりにまたお邪魔した。
溺愛する甥っ子に加え、今年の夏に誕生した姪っ子。前回会った時は本当に赤ん坊も赤ん坊だったので、顔立ちもはっきりわからなかったのだけれど、生後6ヶ月になろうとしてる今、寝返り、うつ伏せなどができるようになっていて、顔立ちもはっきり個性も出始めていて猛烈にかわいかった。
静岡の田舎にある姉の家。お邪魔したときずっと家の中にいてもねということで、近くのショッピングモールに行くのが定番の流れになっている。ショッピングモールに子供連れがとにかく多い理由が、身近に子連れができてみてわかる、ちびっ子がいても、あまり気兼ねしなくてすむのだ。
姉とは6歳年が離れているが、別に僕が甘やかされるでも子供扱いされるでもなく、かなりフラットな関係である(と僕は思っている)。考え方も性格も全然違うのに、やっぱり同じ親に同じ環境で育てられたという共通点だけで、「分かる」ってポイントが一緒なの、きょうだいだなあっていつも思う。そして、気兼ねない関係に見えて、多分お互いちょっと見せる顔はこの部分だけって選んでいて(少なくとも僕はそう)、意外と本音が分からない相手なのだ。少なくとも、彼女は僕よりあまりペラペラと胸の内を明かさない人だ。
姪っ子を連れて、モスバーガーで昼食をとっている時、「じんすけくんは今のところ生きてみてもう結婚しないことに決めたの?」と姉に訊かれた。唐突にど直球の質問をしてくるのが、うちの姉である。僕は、自分の人生に他人が介入するのが不快であることが自分の中で確信を持って理解できたので、結婚はまずないと答えた。こういったこねくり回した言い方も、なんとなく汲み取ってもらえるだろうと思って姉にはできる。なるほどね、とだけ返す姉。
逆に、僕は姉ちゃんが結婚したのは意外だった、1人が好きなタイプだと思ったからと聞くと、まあ流れとなんとなく結婚は当然するもんだという古い価値観が私はもともとあったのかも、と姉は答えた。昔から、自立心が強く、バイタリティに溢れ、自分の舵は自分できりたいタイプだった姉。家庭を持ったからといって、できる範囲でやりたいことの炎が消えず、なんか常に何かを追い求めている姿は、率直にすげぇなと思う。色んなことを戦略的に、一種したたかに計画してやっていると思っていたので、彼女の人生においても流れや慣習に縛られるという不可抗力も存在するのだな、と思ったりした。
ショッピングモールで時間を潰した後は、2歳の甥っ子の保育園のお迎えへ。その後、近所の公園で一通り遊び、そのまま近くの消防署で。働く車が大好きな甥っ子は、公園に来たら消防車を眺めにくる、というのが定番の流れらしい。つたない発音なのに「さいがいかつどうしえんしゃ!(災害活動支援車)」に大興奮でワーワー騒いでいた甥っ子に、中で作業していた消防士のお兄さんが、「おいで、中見せてあげる」となんと呼んでくれた。子供に優しいイケメンマッチョのお兄さんに僕も大興奮である(きしょい)。
外で散々遊び尽くした後、家に戻ってきた我ら一行。甥っ子は久しぶりに会うと毎回ちょっと人見知りをされるんだけど、家に着く頃にはその緊張も解け、2歳児男児らしい手荒い絡み方をされた。自分に懐いてくる姿は可愛くてたまらないが、そろそろマジで襲い掛かられると痛いということが分かった。
少し遅くなったので、夕飯までご馳走になることにした僕。「おかあさんといっしょ」が夕方6時からの放送に変わったこと、今の体操のお兄さんが爽やかイケメンでめちゃめちゃ可愛いことなど知らなかった収穫があった(要所要所でなんかずっとキモい)。義理の兄が仕事から帰ってきて、一緒に食卓を囲む。こうして姉家族の元で1日を過ごし、家族ごっこを満喫させてもらった。
やっぱりちょっと羨ましい。子育てや結婚の美味しいとこだけ味見の体験であることは分かっていても、1人の為だけに人生を消費していると時々感じる空虚さが、ちょっと埋まっていくような気がした。僕は見栄を張ったり強がりを言うのがあんまり好きじゃなくて、極力自分の心のまま本音ストレートダダ漏れで生きていたいと思っている。だけど、ゲイという1点をぼやかす以上は、こういうスタンスにしといた方が話が早くてカロリー少なくてすむなと言うのが、先ほど姉に述べたスタンスになるのだ。
同性婚とか同性パートナーどうしの養子縁組制度とか、そういったものが実現されたとして、僕がそれに恩恵を受ける人間か、ちょっとまだ分からない。でも、はなから権利がないから色々辻褄合わせで「できないじゃなくてしない」のスタンスをとっていたものが、制度としてあるから「ちょっと羨ましい自分も憧れる」と臆せず言えるようになるだけで、心のひっかかりや寂しさが減るのになぁ、なんていつも思う。本当はね、家庭を持ちたいかとか結婚とかそういうスタンスを決めて自分をガードするのすらしたくないの。可愛い甥と姪がいて良かった、仲良いきょうだいがいて良かった、シンプルな事実でいいの、そんなことを思った。