綺麗な言葉を吐く自分がかゆくて
来週末に大学時代の友人Mの結婚式を控えている。
6月に続いて今年2回目の結婚式。26、7ってまあそういう年齢だよね、なんて思いつつ、なんと今回、Mの友人代表として、スピーチを任されることになった。
頼まれたのは8月にMとサシ飲みをしたとき。彼は奥さんと既に籍を入れていて結婚生活も始まっているので、最近の生活のこと、式はどうするのかなど話していたときに、「実はじんすけに新郎代表スピーチを頼みたくて…」と自然な流れで頼まれた。
「えっ、マジで!?」なんて驚いた素振りをしてみたものの、なんとなく自分が選ばれるのではないかと予想していた。別に自分がMの一番の友人である、のんて思い上がっているわけではない。ただ僕は本心はどうであれ、その場に合わせた適切な振る舞いを自然にし、空気を読むことができるという変な器用さというか、小賢しさを持っているため、自分自身でも友人代表のスピーチなどを務めるのには適切な人間なのではないか、と思っていた。恥ずかしい話ではあるが。
社会人になってから、まあそれなりに人前で喋る機会もあるし、文章を考えるのは得意だと自負しているし、まぁなんとかなるだろうと思っていた。そして10月に入り、いよいよ結婚式まで時間が差し迫ってきたので、いっちょスピーチ内容を考えるかと思い、スマホのメモにつらつらとそれらしいことを書き連ねてみる。友人代表スピーチは3、4分が適切とネットに書いてあったので、実際に声に出して読んでみると、困った事実が発覚…とにかく恥ずかしい。
改めてお互いの関係性を振り返り、自分が知っている友人の魅力を他者に向けてつらつらと喋るシチュエーションなど、結婚式のスピーチ以外でなかなかないだろう。おまけに今回は普段の僕お得意の照れ隠しによる腐しなどもNGである。よく新郎友人代表にいがちなお調子者であれば、新郎への軽いイジリなどを入れウケをとるのもありだとは思うが、僕はまったくもってそういうキャラではない。ウケ狙いをしようとすれば駄々すべりするか、単なる無礼な発言だと受け取られるだけだろう。
そのように色々と考えた結果真摯に新郎のことを友人として尊敬し、大切に思っている旨をつらつらと書いてみたところ内容が激重。お前が新郎と結婚するんか、と言いたくなるような気色の悪い温度感の文章が出来上がってしまった。このように好きでnoteに文章を上げている人間なので、中身のない薄っぺらいことは言いたくないという変なエゴと、式に相応しいクリーンな文章にしなければという葛藤。僕という人間の、ダルい自意識が露わになった瞬間だった。
仕事上だと、職務に適した波風立てない発言をすることは別に平気で出来る。しかし、自分が好きで付き合っている人々の前で体裁を整えすぎた言葉を並べることがなんだか妙に恥ずかしい。大人というのはそういうもんだ、そこで恥ずかしがる僕の自意識が子どもっぽいのかなあと思いつつ、今回の機会は別に僕のエゴなど必要ない、友人のために1ピースとして結婚式を台無しにすることなくつつがなく行えれば良いのだから、本番までの10日あまり文章の推敲とメンタル準備に勤しもうかと思う。
ていうかそのサシ飲みのときに頼まれて以来特に段取りとか内容の確認とかMから何もされてないんだけど、そんなもん?もしかして僕がスピーチを頼まれたという夢を見ていただけだった可能性もある。ちょっと夢であってほしい気もする。