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テクノロジーの活用は介護職員を削るのか
「テクノロジーの活用と人員削減をセットにしない」
経営側からの歩み寄りとも取れる今回の動きに、職員側はどう応える…?🤔
記事の概要
・介護サービス事業者とその職員でつくる「介護業界の労働環境向上を進める労使の会」が先月末、見守りセンサーやロボット、AI、ICTといったテクノロジーの介護現場への導入について集団協定を締結したと発表。
・「経営側として働く方々のために“人減らし”や賃金カットなどをしないという決意の表れ」としての集団協定。
・株式会社ケア21やSOMPOケア、セントケア、麻生介護サービス、チャーム・ケア・コーポレーションなど45法人が参画。
・協定書にはテクノロジーを導入する目的について、「職員の負担軽減やサービスの質の維持・向上が第一義。生産性向上の取り組みを通じて職員の処遇改善、もって社会的地位の向上に資すること」と明記。
・以前からテクノロジーの導入と人員削減がセットで考えられ、それがサービスの質や安全性の低下、職員の負担の増大を招くとの懸念があった。
・それを、労使で共通の価値観を持つことで、現場を覆う不安を払拭していく考え。
・「介護現場には若い職員が少ない。将来に希望を持てる業界にしてそこを変えないといけない」「業界が衰退、崩壊しないように会社を超えて取り組んでいく必要がある」と話されていた。
【テクノロジーの活用と人員削減】
介護ロボットやICT、AIなどのテクノロジーの活用は、介護現場の問題を解決し得るものです。
睡眠センサーや見守りロボット、コミュニケーションロボットによる介護サービスの洗練、現場負担の軽減には期待が高まるところです👨🏻🏫
これによって「人減らし」が起きるのは、利用者に提供されるサービスの質において
『テクノロジー 〉 人』
という不等式が成り立つと思われているからだと考えられます。
実際に人によるサービスの質はまばらで、また人同士の相性も合わさって良し悪しの判断が付けにくいものです。
それならば常に一定のサービスを行うテクノロジーの方がサービスの質は高いだろう、と考える方もいることでしょう。
しかし「揺れ幅のないサービス」には直ぐに『飽き』が来ます。
たとえば何千、何万、何億通りのコミュニケーションパターンをもったコミュニケーションロボットがあるのだとしても
「私にとっての最適解しか用意しない」
とわかった瞬間に『一通りの対応しかしない相手』と認識されます。
そうなると言動全てが明確な意図による「やらせ」になってしまい、虚しさが生まれるようになります。
その虚しさが次第に心理的なストレスを生み、認知症状の現れや、暴言・暴力などの「自身の生を確認する」荒んだ行為に発展したとしてもなんら不思議ではありません😔
提供される『介助』サービスの質が保証されたとしても、『介護』サービスの質としてはむしろ下がってしまう、と言えるのです😦
なぜなら介助とは「手助け」であり、
介護とは「人守り」、すなわち
「利用者を『たすけ(介)、まもる(護)』こと」
なのですから、虚しさを感じさせている時点で護れていない(=介護サービスの質が下がっている)のです🥲
このようにテクノロジーはどこまでいっても「介助」するのみで、「介護」する為には同じ立場である人間が必要となります。
その為、本来なら「テクノロジーの普及」は「人減らし」の理由にはならないはずですが…「自分たちの立場が危うくなる」と感じていることに介護現場の課題が見え隠れしているように感じますね😮
テクノロジーが普及し、利用者と向き合える時間が増えることは介護職としての本分なのですから。
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【今回の締結による経営側のメリットは?】
一方、今回の記事から読み取れる「経営側のメリット」は
『業界保持』
の一点に集約されると考えられ、その為に職員の処遇改善、社会的地位向上を目指す方針を共有したと言えます。
ただし日本の人口動態は減少傾向にあり、「人減らし」や「賃金カット」は経営側の意思に関係なく起き得る状況にあるのは変わりありません😔
そうなると「現状の人材を確保する為の、とりあえずの手段」として今回の集団協定が締結され、人が減り続ける現実を前に「やれることはやりました」と言える条件を先に整えた、とも言えます。
「経営側としての取り組みを怠ったわけではなく、現実的に仕方ないことなのです」と言えば「人減らし」も「賃金カット」も合理的に受け入れざるを得なくなる、という話ですね😮
もちろん、それを見越して今回の締結がなされたと伝えたい訳ではなく、「そうした側面も考えられる」ということです。
経営側として優先すべきは自身の存続を賭けた『業界保持』に変わりなく、その為に必要な措置として「職員の処遇改善」や「社会的地位向上」があるならばそれを行う、という判断かと思われます。
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【まとめ】介護人材としての価値を高めていく
今回は「経営側がテクノロジーと人材確保を両立させる方へ動いた」という話を見てきました。
事実として経営側は現状「働いてくれる人」がいなくては経営が成り立たず、これまでと同じ待遇では人が離れていく現実を解決していかなくてはなりません。
その為には現場の課題を解決することが欠かせず、今回の締結が実現したと見るのが普通でしょう。
一方で、職員側はそうした社会の流れをどこまで把握しているのでしょうか。
介護ロボットやICT、AIなどのテクノロジーが普及する流れは止められず、いつまでも「私には使えない・理解できない」とは言っていられません。
今後テクノロジーを受け入れなくては『介護人材』として不適格だと暗にみなされることは、この記事からも推測できるでしょう。
また保身のために「人による介護」を過度に評価してテクノロジーを避けるのは、「不便さを半ば強要する」という点で利用者本位とは言い難いでしょう。
「経営側の思惑」と「職員側の事情」は別で考え、テクノロジーが普及しても人材としての価値を損ねないよう日々学んでいくのが良さそうですね☺️
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