木村花さん

凪のお暇について書くつもりが、怠惰な性分のため一年近くも更新していなかったが、どうしても書きたくなったので書いておく。
哀悼と、後悔の念を込めて。

恋愛リアリティーショーのテラスハウスに出演中の、女子プロレスラーの木村花さんが亡くなった。

わたしはこういう類の番組があまり得意じゃなくて、ほぼ全く観たことがなかったのだが、花さんへの誹謗中傷があったことは前々からTwitterを通して知っていた。コスチューム事件があった回の後に、花さんへの批判がタイムラインに流れてきたので、気になってネットで調べたりしたのだ。

事の顛末を知ったとき、
わたしは、花さんの怒りに共感した。感情を爆発させて止まらなくなる彼女に、夫と喧嘩したときの自分自身を重ねていた。
そして、彼女へのたくさんのバッシングを目の当たりにして、自分も非難されているようでどきりとした。

大切な一点ものだとされるコスチュームは、
ヒール感とキラキラ感が合わさったような、他にはない、花さんのイメージにとてもよく似合うものだった。
プロレスラーである花さんにとってはこだわり抜いたプロとしての商売道具であり、
夢を形にして進む原動力であり、
相棒のようなものであったのだろうと想像する。

自分と恋仲になると期待していた相手が、その大切なコスチュームの存在に気がつかず、結果壊してしまった。
それなのに、相手からは誠意を持った謝罪もない。
そんな態度から、自分が命がけで挑んでいる仕事に対する敬意の無さを感じたのではないだろうか。

私だったら花さんと同じか、それ以上に怒り狂ったと思う。

それだけでなく、相手の男の子は(花さんから見て)普段からの生活態度もだらしなく、夢に対しても中途半端に見えてしまっていた。

確かに花さんにも少しは悪い部分はあった。

大切なものを共用スペースに置き去りにしてしまった。
怒りに任せて相手を貶したり、相手の物を投げてしまった。
相手に必要以上の期待をしてしまった。

でも、それらが悪いことなんて花さんはちゃんとわかる人だ。

悪いと分かっていても、
それを感情が止められなくしてしまうことはある。

これは憶測にすぎないけれど、コスチュームを乾燥機にかけた相手が仲の良い女友達だったら、花さんはきっとこんな風には怒らなかったのではないだろうか。

好きな相手だからこそ、
過度ともいえる期待をしてしまう。

自分が大切にしているものを、大切に扱ってほしいと思ってしまう。

仕事や生活に自分と同じくらいの真剣さを求めてしまう。

怒ったとき、悲しいときに受け止めてほしい。

身勝手で、傲慢ではあるけれど、
好きな人にそんなふうになってしまうことって、
けっこうあることなんじゃないだろうか。

相手にも相手の価値観や生き方があって、
自分の信じてるものだけが正しいわけじゃなくて、
恋愛や結婚って
そういうお互いの違いや弱さを認めて、擦り合わせながら、折り合いながら、二人の生き方を作っていくことだと思うけれど

それって全然簡単なことじゃない。

ぶつかることも、傷つけることも、失敗することもめちゃくちゃある。

コスチューム事件のとき、そんなことを考えていた。

これが発端となって、花さんは誹謗中傷に晒されて、この世を去ってしまった。

人間関係ができている、友達以上の異性への暴言と、顔も知らない不特定多数から浴びせられる暴言は、意味も怖さも全然違う。

あのとき、頭の中で思うだけじゃなくて、何かを発信していたら。

何か違っただろうか。

自分なんかの行動ではなにも変わらなかったかもしれない。

こんな風に文章にしても、もう、花さんに読んでください、と伝えることはできない。

今はずっと、悲しさと悔しさがこみ上げてくる。

花さんのSNSや、プロレスラーとしての姿を画像で見たりしながら、ずっといろいろなことを考えている。

プロレスラーとしても、タレントとしても、本当に魅力的で、夢とやる気に満ちていて、特別で、まだ若いこれからの人だった。

このことを忘れないために。
何度でも読み返す。

#RIPHanaKimura

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