記録 二日目
記録は、消えぬ様に綴るもの。
この記録は、ボクの行動のために、綴るもの。
ボクの記録は、この手帳だけに、綴られる。
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行動記録
〇川辺の水中探索
水中での収集を開始する。
その気になれば魚も捕まえられそうだが、それは釣りのためにとって置こう。
水底には、苔や貝など…そして、長靴が散乱している。
長靴は、出来るだけ拾って置こう。
製作記録
〇釣り竿【ルアー】
疑似餌を作成。
使用しての釣りを試すが、効率に変化は見られない。
改善すべき点は、現在の所、不明。
更なる調査を要す、と判断される。
調理記録
〇鮎の塩焼き
食用に適すとの情報を得て、加熱による調理を行う。
成程。
恐らく、食用に適して居ると思われる。
考えてみれば、一週間程度、食事を取って居なかった事になる。
残りの時間を考えれば、全く取らなくても活動に支障は無いと判断される。
理由が無ければ、今後は省略して良いだろう。
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記憶は、簡単に消えて行く。
忘れぬ様にと、己の名を、"レティシア"の名にしたはずだったのに。
ボクはもう、この板に刻まれた言葉としてしか、憶えて居ないのか。
――"レティシア"は、ボクを憶えていてくれるのだろうか。
見上げたあなたは、答える事も無く、輝き続ける。
握りしめたドッグタグに、千切られたチェーンが揺れた。