FairytaleReport07_0905-0914
▶R00
魔術に於いて。名を与えるという事は、力を与えるという事だ。だから、産まれることの無かったものに、名は与えられなかった。その代わりに、二人分だったはずの名が、産まれ落ちた方に与えられた。
名前以外にも、もうひとつ。産まれ無かったのだから、生命未満、魂未満のそれを、魔力器官として。産まれた方は、産まれ無かった方から、譲り受けたかの様に。二人分を持って、産まれ落ちた。
自身の生の、始まりから。誰かの生為らずが、在って。そしてそれを、己の糧かの様に産まれて居ると知れば。考えずに居られるだろうか。
何故オレは生きて。何故もうひとりは生きて居ないのか。
もうひとりの分を背負い、何の為に生きるべきなのか。
そして、もっと単純に。
もしも、もうひとりが生きていたのなら。
▶M12
生きたいと、思えるかは。
生きて欲しいと、思えるか、と。
同じなのかも知れない。
何時までも。
何処までも。
共に在るのだと。
オレ達の手に、それは在る。
▶R13
―― ページは、其処で途切れる。 ――
―― 物語は、此処で終わって。 ――
―― その続きは、手帳に記される事は無い。 ――
―― だが、確かに。 ――
―― 続いていく。 ――