肩書き、かたがき。カタガキ...②
「やっぱり俳優になるわ。」
何が何だかわからなかった。こっちはもう頭の中に「ヒズギャンギャンギャンギャンギャン〜♪」とM-1の出囃子が鳴っていたのだから。
その後、バイトの友達を誘ってエントリーしようとしてエントリー用紙と当日受付で払うエントリーフィー2000円を同じ封筒に入れて全然違うところに送ってしまって出られなかったのはここだけの話。
とにかく僕はもう芸人になるという脳になっていたので、一人でNSCに行くことをきめた。
養成所では何回かコンビを組んでは解散しを繰り返し、卒業間近でコンビを組んだ相方とのネタはギャグコントだった。
僕はルート33さんのような正統派の漫才に憧れてNSCに入ったんだ。
1年程コンビを組み、先が見えないと告げられ解散。もう一度自分のやりたかった事を頭に入れて新たにコンビを組んだ。
ジャケットにチェックのシャツに蝶ネクタイ、ハーフパンツというTHE POPなピン芸人を誘いコンビ結成。
しかし時が経つにつれ相方がどんどんマッチョになり、ジャケットが無くなり、シャツが無くなりどんどん薄着になっていった。最終的にほぼ裸だった。
僕はルート33さんのような正統派漫才に憧れてNSCに入ったんだ。
そんなこんなで鳴かず飛ばずのまま時が経ち、僕に子供ができた。
「このままではいかん」
相方に比べて、キャラもなく特技もない。何かしないと。どうにかしないと。
焦った僕はバイト先で大量のネギを切りながら考えた。
そしてある決断に至り、相方にLINEを送った。
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