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絶対に合格する短答試験勉強法①(司法試験/予備試験)

「学ぶって、楽しすぎる。」-弁護士の岩瀬雄飛です。

本noteでは学ぶことの面白さや学習のノウハウ等を発信するとともに、自分が学んだことの記録を発信しています。

今日のテーマは「司法試験/予備試験 短答試験①」。

7月半ば、4日間にわたる司法試験の最終日に短答試験が行われる。司法試験において短答試験の比重はそこまで大きいわけではないが、足切りがあるため多くの受験生が勉強に時間を割いていると思われる。そこで今回は、短答試験について書いてみたい。

また、予備試験の短答試験も同日に行われる。司法試験と予備試験の短答試験の憲法、民法、刑法の問題は(一部を除き)共通するため、本内容は予備試験受験者にとっても有益であると思われる。予備試験受験者にとっては、これに合格しないと論文試験に進めないため、司法試験と比較すると相対的に重要性が高いといえよう。


短答試験の概要と重要性の再認識

以下の表は、法務省が公開している司法試験の短答式試験の結果から、足切りとなった人数をまとめたものである。

また、以下の表は、同じく法務省が公開している司法試験の短答式試験の結果から、各科目で足切りとなった人数をまとめたものである。

この表を見た私の感想は以下の2点である。
①意外と足切りにより不合格となっている人は多い。
②意外と憲法で足切りとなる人が少なく、刑法で足切りとなる人も少なくない。

①について、年によって異なるものの、毎年受験者のうち7%~10%は短答試験で足切りとなっている。短答試験で足切りとなってしまうと、論文試験の採点すらしてもらえない。冒頭で述べたように短答試験の比重は大きくはないので、高得点をとる必要はないものの、余裕をもって足切りを通過するだけの力はつけておきたい。

②について、私は短答試験においては憲法が苦手だったので、憲法で足切りとなる受験者が多いものだと思っていた。実際、憲法は民法や刑法と比較してクセのある問題やひっかけ問題が多かったように記憶している。しかし、実際には憲法よりも学習範囲の広い民法はもちろん、刑法でも一定数の受験者が足切りとなっているようである。

具体的な勉強法

短答試験の重要性を再認識したところで、効果的と思われる学習方法について具体的に提言したい。

①条文・判例を確認する
過去問であっても、肢別(※過去問の選択肢を肢別に分け、〇×を回答する形式)であっても、多くの受験生は「問題文を読む→正解か確かめる(間違っていたら解説を読む)」という勉強法をしていると思われる。しかし、このような勉強法は「負荷」がかかっていないため、時間に見合った効果が期待できないことが多い。

筋トレで考えてみよう。上記のような勉強法は、少し腕を曲げただけの腕立てを100回行っているようなものである。それよりも、しっかりと胸を床の際ぎりぎりまで落とした腕立てを10回した方が、筋肉がつくことは容易に想像できると思う。

それでは「負荷」のかかる勉強法とは何か。それは、「問題文を読む→正解か確かめる(間違っていたら解説を読む)」ことに加え、自信がなかった問題と間違っていた問題については条文や判例を読み直すことである。

短答試験の問題のソースはほとんどが条文と判例である(学説も出ないわけではないが、帰結を問う問題が多いため、論理的な思考能力が養われていれば解ける。)。そのため、記憶の定着と周辺知識の吸収を目的に、問題を解く際には条文と判例を読むことをお勧めしたい。

②ノートに転記する
これも「負荷」がかかる勉強法のひとつである。短答試験の問題集を何週もしていると、正解の問題はいつも正解、不正解の問題はいつも不正解であることがほとんどだと気づくはずである。それは、不正解の問題について、解説を読んで理解した「気になっていた」だけだからである。

間違っていた問題をノートに転記する(問題を転記するのではなく、自分が覚えた内容。例えば、「遺留分は相続発生前でも家庭裁判所の許可があれば放棄できる!」等)ことは、それ自体が「負荷」のかかる勉強法であり、記憶の定着に貢献する。また、これを繰り返していくと「弱点ノート」ができあがるため、最終的にはそれだけを確認すれば済むようになる。

③日付を記録する・定期的に確認する
エビングハウスの忘却曲線を一度は聞いたことがあると思われる。人は覚えたことを時間が経つと忘れてしまうため、定期的に記憶のメンテナンスをする必要がある。

そのため、日付を記録し、定期的に覚えているか確認することが必要になる。具体的には、以下のフローを提言したい。

④時間を決めて学習する
論文試験の学習よりも短答試験の学習の方が面白いと感じる受験生が多いと思う。その理由としては、短答試験の方が正解・不正解がはっきりしているため勉強しやすい、成長が実感できる等が挙げられるだろう。また、論文試験の学習はエネルギーを要するため、ついつい短答試験の勉強に走りがちという人も少なくないだろう。

しかし、あくまで司法試験において短答試験の比重は小さい。予備試験においても短答試験~論文試験の期間を考えると、短答試験が終わってから論文試験の学習をはじめるのでは間に合わない。

そこで、時期にもよるが、司法試験受験生は1日2時間まで(社会人は1時間まで)、予備試験受験性は1日5時間まで(社会人は2時間まで)等、マイルールを策定し、過度に短答試験に時間をかけすぎないように心がけたい。なお、予備試験においては法律科目に絞っても商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法が追加されるため、司法試験と比較して勉強時間が長くなることは差し支えない。

おわりに

今回の内容が司法試験・予備試験受験者の学習の一助となれば幸いである。また、憲法、民法、刑法各科目それぞれの学習方法等についても今後Noteを作成していく予定である。

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