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放射線治療は油性ペン『マッキー』の思い出

乳がんのタイプがトリプルネガティブという、悪性度の強いものだと分かってから、化学療法(抗がん剤)をするかどうかを決めなければならなくなった。

ひとまずは放射線治療があったので、その間は迷える期間と思って、調べたり、セカンドオピニオンを受けたりすることに決めた。


放射線治療は痛い治療ではないと聞いていたし、私にとっては「猶予期間」だったので、すっかり油断した気持ちで放射線治療のための専門の病院に行った。


そこで思わぬボディブローを食らうことになる。



担当の看護師さんから放射線治療の説明を聞いているときに、
「正確に照射するために、体に少しマーキングをします」
と言われた。

それは了承していたので、多分専用のペンなどで点々とかかれるんだろうな〜と思いながら上半身裸で検査台に寝っ転がっていると、専門医の方が現れて機械の位置の調整をし出した。

しばらくして、位置がある程度決まったらしい。
そこで放射線技師の方が取り出したのが・・・・


な、な、なんとマッキー!!!!


『えっ』

と思ってる間に右胸を中心にゴリゴリ線が引かれていく。
え、待って。今まで生きてきて体にこんなに遠慮なく油性ペンで絵書かれたことない。しかも思ったよりすごい描くじゃん。ちょっとじゃないじゃん。

機械の線に合わせた、幾何学的と言えなくもない線が引かれていく5分ほどの間、私はその状況に密かにショックを受けていた。


心の中でよくわからない涙が流れているうちに治療前の検査等々が終わり、ちょっと切ない気持ちで服を着た。
この時9月だったのもあってまだ半袖だったのだけど、なんと!襟と袖からマッキーの線が思いっきり見えている!!!

ちょっと!!!私これで帰るの!?

急いでカバンの中のハーフケットを取り出して巻いたけど、これはなかなかに心乱される出来事だった。

担当のお医者さんや技師の方、看護師さんには全く文句ないけど、マッキーはやめてほしい。多分マッキーが一番”ちょうどいい”んだと思うけど、ひとこと配慮があったらな・・・笑


その後治療が終わるまで自分の体を見るたびに、なんとも言えない「アンドロイド気分」を味わった放射線治療。なんか人間の尊厳的なのを少し削り取られたみたいな気分だったな。

しかも毎回、まぁまぁな治療費がかかるし・・・1回当たり7500円くらいはかかってたかな。検査費用とかも入れたら20万円近くかかったんじゃないかな。途中からは高額医療費が適応されたけど、適応額も稼ぎによるから負担はおっきい。

平日は毎日、25回連続で受けにいったのも、自由業の私には『出勤』のようで…25日だったから頑張れたけど、これもう2、3週間続いてたらストレスで爆発してたかも。


ほんと、病気ってなった瞬間から日常のリズムを書き換えて対応していかなきゃいけないんだな。ということは、日々当たり前にやってたことの何かを削って、諦めることがあるということ。

毎日当たり前のことを当たり前にやれる、そのことが本当にありがたいことなんだって感じた日々だった。


ちなみに放射線治療の副作用としては、私はとても軽い方で、照射したところが乾燥したり、その部分が黒ずんだりするくらいだった。照射の位置的に肺炎になりやすい可能性もあると言われたけど、終わって3ヶ月たった今のところ影響はなし。


とにかく私が言いたいことは。
放射線治療を受ける方がもしこれを見てるなら、「マッキー」に要注意を!!!

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