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手術の10日間入院。めっちゃ帰りたい。

2024年6月。右胸の乳がん手術。
今でも覚えているのが、入院の前の日、家中を掃除しまくったこと。
別に難しい手術でもないのだから、そう悲観的になることはないのだけど、それでもやっぱり、人はいつなんのキッカケで死ぬかはわからないわけで。

私の母は、私が24歳のとき、あっという間に具合が悪くなってその日のうちに亡くなったので、自分にも旦那様にも、子供達にも、明日元気な約束はないことを本能で知っている。

だから、明日もし、帰って来れなくてもいいように。
家に帰ってきた旦那様や子供たちが、気持ちよく過ごせるように。
そんなことを考えながら家中を拭いて回った。
きっと家族の誰も、私がそんな完璧に掃除したことなんて気づかないだろう。それでいい。日常が続いてくれるように、祈りながら雑巾を絞った。


そして手術当日。
体を切るのは子供達を産んだ時の帝王切開ぶりのことだったけど、それほど緊張はなかった。というか今の技術ってすごくって、本当に寝てる間に全てが終わっていた。本当にあっという間!!技術の進歩って本当にありがたい。

こういうテクノロジーや科学の進歩と、元からある体の強さを取り戻していくという概念が、うまくバランス取れる落とし所が見つかるといいのにね。どちらも大事で、どちらも人を救ってると思うのに、どうしても対立構造になるの、そろそろ解消できたらいいのにね。

ちなみに余談だけど、うちは入退院も送り迎えないし、手術の時も旦那様は立ちあっていないし、治療方針の説明とかも基本私が1人で聞いて1人で決めてる。流石に癌が発覚してから一度だけ、旦那様も一緒と今後の治療方針の説明は聞いたけど、あまりにも顔を出さない旦那様を主治医の先生がめっちゃ心配してくれてる。多分先生の中で、うちの旦那様は「薄情な旦那」枠に入れられてるんじゃないかな。先生心配ありがとう。ラブラブです。


手術が無事終わり、痛みも薬で逃してもらってるおかげでそれほど辛くはなかった。主治医の先生はこの辺では乳がんの先生として有名で、傷跡もめちゃくちゃ綺麗だったし(早速見た)、胸も言われるまでわからないレベルで左右の差はほとんどないような感じだった。

だけどそこからが私の試練の始まり。
なぜなら、食事が美味しくない(これは私の味覚が変だったのだけど)。そして、同室の方がめっちゃ重症だったり、物忘れが始まっているおばあちゃんで、聞こえてくる声や音に気が滅入ってしまったから。。。


母の急死や、起業家として奮闘する日々や、さまざまな学びに身を投じる中で、割とメンタル強めに育ってきたと思うんだけど、この環境には心が砕けそうになった。
ここは病院で、苦しい人たちがたくさんきていて、自分もその1人なんだからとは思うものの、しんどそうな声や音をずっと聞いているのはなかなか辛くて。


特に隣の方が、乳腺外科ではなく別の科で手術をしたようなのだけど、予後があまりよくなくてずっと気持ち悪くて吐いてるような状況で。
耳を塞いでいるわけにもいかないし、映画をみてやり過ごそうにも、術後の体力がなく疲れてしまって暇が潰せない。なのに頭も冴えて寝れないという状況。



そんな中での10日後の退院は、果てしなく遠い未来のように思えた。



ちょっと意味は違うけど、よく、帝王学とかあらゆる分野の学びでも、「環境が大事」って学ぶ。変な話、入院中にこれを心底実感した。周りに笑い声が響いているのと、苦しい音が響いているのだけでも、メンタルは激変するってこと。

今私が関わってる人は、ポジティブな言葉や考え方の人がすごく多くて、普段良い環境にいるからこそ、病院でマイナスな言い方やトゲトゲした感情に影響されたくなくて、なんかもう1秒でも早く帰りたいってなった。


メンタルダウンに加えて、私の別の要因も重なって、食事が美味しく感じられない。特に魚の匂いで気持ち悪くなってしまって、あまりのことに耐えきれず、10日間きてもらうつもりもなかった主人に半泣きしながらフリカケと梅干しを頼んだほどだった。

ちなみに主人が来ないのは薄情だからではなく、仕事しながら子供のこと全部やってくれてるからであって、私が来なくていいよと言ってるのだけど、やっぱり主治医の先生にはちょっと心配な顔をされた。



あと、手術の入院の時に地味に辛かったのが、手術後の胸の傷を支えておくバンドみたいなやつが、自分の匂いで臭くなっていくこと。。。1枚しかないから入院中変えられないんだけど、汗は普通にかくし、シャワーも上半身は浴びられないから、脇の匂いとかすごい気になって!!!

これからもし乳がんで手術予定の方は、ぜひ脇とか体を拭くようのボディシート持っていくことをオススメしたい。



ここまで書いといてなんだけど、この病院のことは嫌いじゃない。むしろ次の入院はものすごく最高の10日間だったので、あくまでこの時点での私のフィルターを通した記録なんだけど、とにかく耳栓とボディシートと、ふりかけ&ご飯のお供は、皆さんの入院生活にぜひ持っていってほしいと思う。



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