第三のエリート集団とは

私は前回の記事で、メリトクラシーエリートとブルジョアエリート、2つのタイプのエリート層について述べた。
しかし、世の中にはどちらでもない属性のエリートが存在する。

それは、
外見や容姿によって選抜され、相応の社会的地位を得た集団である。
ここではそのような人々をルックスエリートと呼ぶことにする。

ルックスエリートにはどんな人々がいるのだろう。
男女にわけて考える。
まず男性であれば、旧ジャニーズ事務所に代表されるようなアイドルたちが浮かぶだろう。他にはモデルや俳優、いわゆる芸能人といった属性だ。

女性の場合は職種はさらに広がる。
伝統的に女性特有のルックスエリート職の双璧はアナウンサーと客室乗務員だ。
今回の記事では、彼女たちに焦点を当てたい。

女子ルックスエリートを語るに避けては通れない組織がある。
それは宝塚音楽学校である。
宝塚音楽学校のかつての入学選抜基準は、
「容姿端麗で卒業後に宝塚歌劇団生徒として舞台人に適する方」
であった。現在は、反ルッキズムのトレンドがあるからか、容姿端麗の文言は削除され、「心身ともに健康」に変更されているらしい。文言は変われど、容姿重視の選抜の実態は変わらないだろう。
宝塚音楽学校は、その入試難易度の高さから、「東の東大、西の宝塚」と呼ばれていた。宝塚音楽学校はルックスエリート界の東大というわけである。

容姿端麗と呼ばれる人は一体どんな女性なのだろうか。
単に、美人とか可愛いとかそういったレベルではない。
私は地元が宝塚に近いので、タカラジェンヌをしばしば目にする。制服を着ているわけでもないのになぜタカラジェンヌとわかるのか。
あまりにも容姿が一般人とかけ離れているからである。
顔の造形が美しいのはもちろんのこと、目を引くのはそのスタイルだ。顔が小さく、手足が長い。歩き方や身のこなしも優雅そのものである。
なるほど、こういった人々が「容姿端麗」というわけである。

大規模な集団を作るという点では客室乗務員は宝塚と共通している。厳しいトレーニングや上下関係、体育会系の気質、といったところも同じだ。
飛行機を利用する際、客室乗務員の容姿は男性であれば気になるポイントになるだろう。彼女たちをよく見てみるとやはり顔が小さい人が多いなと思う。容姿端麗に小顔は必要条件なのだろうか。顔の造形は化粧や美容施術で融通がきいても、実際の顔のサイズや手足の長さはどうにもしがたい要素で、差がつきやすい所なのだろう。最難関の学校の入試は理数系の素養で決着がつくのと似たものを感じる。

ルックスエリートたちが避けることができない問題は加齢だ。
加齢によって容姿は衰えていく現実からは逃れられない。
天海祐希などあまりにも突き抜けた人は別として、彼女たちの多くは結婚という形で自らの素養を別の資産へと変換していく。
彼女たちの結婚相手は、芸能人やスポーツ選手を筆頭に、医師や弁護士などの士業、大手商社などのエリートサラリーマン、起業家などが多いようだ。

冒頭の記事とあわせて考えると、世の中の社会的上位層は3種類、メリトクラシーエリート、ブルジョアエリート、ルックスエリートに分けられる。
メリトクラシーエリートは学歴偏差値のみではなく、能力全般の優秀層であるから、スポーツや芸術、文芸、商売などの才能に秀でた者も含む。

こう考えると、どのエリート層も説明がつくのではないだろうか。





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