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真夏の弾丸エジプト旅行記
2024年8月17日から8月22日まで、弟とエジプトへ行ってきた。
6連休をもぎ取る
私の働いている会社には、誕生日のある月に休暇を2日取れる制度がある。また、7〜9月の間に夏季休暇を3日取得できる。
今回は勇気を出してそれを合体させてしまったという訳である。
土日+誕生日の休暇2日+夏季休暇2日。こうして6連休が誕生した。
連休でどこに行くか?
やっぱり行くならヨーロッパよりアフリカでしょ!
可能であれば南アフリカのヨハネスブルグかケープタウンに行きたかったが、丁度いい飛行機がなかった。アフリカで短期間で行けそうなのがエチオピアだけど、エチオピアと聞いて真っ先に思い浮かぶのが・・・
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最悪すぎる。要するにエチオピアって特にこれといって見どころなさそうだよね(失礼)、ということで今回はメジャーなエジプトにしました。
目につくのは悪評ばかり
「世界三大うざい国」
「エジプトに関しては褒め言葉が出てこない」
「エジプトは二度と行かなくていい、行きたくない」
「野蛮人」
「史上最悪の民度」
「会話が成り立たない」
「ワンダラー(物乞い)より野良犬の方が知能高い」
「たった3歩歩いただけで不快になる国」
「エジプトに行くなら家で寝ていた方がマシ」
ネットで情報収集していただけで頭を抱えたくなる書き込みばかり出てくる。正直、ここまでボロカス言われている国もないのではないか。
「治安が悪い」という言葉よりもはるかに恐ろしいものを感じた。
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6月に友人達と行った貴船神社でおみくじを引いたら「吉なれど盗難に注意せよ」との注意が。エジプトも、年末年始に行く国も、よりによってスリが多いことで有名。行く前から逃げ場がなくなったような気分だった。
なぜ私は安くない金額を払って渡航前から怖い思いをしているのだろう?
母親からは「ドリンクは薬が盛られている可能性があるから時間差で飲め」とも言われた。正気かよ。
そんな母親は以前ツアー旅行でエジプトに行って、本物の古代文明に触れられてとても良かった(物乞いのしつこさ以外)と言っていたので、私も素敵な遺跡や珍しい展示を沢山目に焼き付けて帰ってこようと思った。
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飛行機は定刻に出発。ドバイでのトランジットも3時間と少しだったのでそこまでしんどくなかった。大して美味しくない機内食を噛み締めながら、我々はエジプトへと向かう。
1日目:エジプト考古学博物館
空港で旅行会社のアシスタントさんと合流。
アライバルビザ(25US$)を取得し、入国審査も難なくクリア。何も聞かれなかった。
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「Welcome to Egypt!」のレプリカ像を見た瞬間、とうとう自分はこの地に来てしまったのだな、と感じた。
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1日目はまず「ムハンマド・アリー・モスク」へ。有名な場所だそう。
売り子が我々が日本人だとわかるやいなや「山本山!ぼちぼちでんな!オッパッピー!」と声をかけてくる。どんなチョイスだよ。あと古いよ。
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入口では猫が私の膝に爪を立ててミャオミャオと鳴きわめいていたし、モスクの中でも堂々と闊歩する猫がいて猫好きの自分としてはたまらなかった。
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それから「エジプト考古学博物館」へ。
エジプトに行ったらピラミッドと考古学博物館は絶対に行っておかなければいけない、それぐらいの観光名所。あのツタンカーメンの黄金のマスクが展示されている場所でもある。残念ながらマスクは撮影禁止だったが。
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ツタンカーメンの黄金のマスクを見たとき、思ったより小ぶりだな、と感じた。でもそのほかの装飾品や黄金の棺桶のあまりの緻密さに、ただただ見入ってしまった。これが3000年~5000年も前の遺物だとは到底思えなかった。
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日本で有名なメジェドも見つけた。パピルスに描かれている。あまりにも小さくて素通りするぐらいのサイズ感。
とりあえずアヌビス、ツタンカーメン、メジェドを見れただけでも大満足だった。
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続いて訪れたのはハン・ハリーリ市場。ガイドさん曰く、なんとここで売られている95%の商品はメイドインチャイナだとか何とか。埃をうっすらかぶっている置物や何に使うのか今一つよくわからない飾りが大量に並ぶ。
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猫もたくさんいてて癒された。野良犬も野良猫もわんさかいる。狂犬病で死者が出ているような国なので、むやみやたらに触らないほうがいいんだけれど。
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ホテルはギザにあり、1日目の夕食はホテルで用意していただいていた。ビュッフェ形式だったが結構口に合う。以前ケニアに行った時も食事は結構おいしいと感じたことを思い出す。欧米の観光客が多いのでテイストは寄せているのかもしれないが、全体を通して「まずい」とは思わなかったかな。
初日はフライトでくたびれていたこともありシャワーを浴びることもなく寝落ちしてしまった。
2日目:ギザの三大ピラミッド
礼拝を知らせるアザーンの音で目覚める。
エジプトはアフリカ大陸にありながらもイスラームの空気を色濃く纏った土地である。朝食を頂き、ロビーへ。夏はピラミッドの内部が蒸し風呂状態になるので朝の涼しいときに行きたい、とのことでホテルを朝7:30に出発。
道路を走っていると目の前にぬっと現れるピラミッド。正直、圧倒的に大きい。ピラミッドってどうやって作ったんだろう?間近で見ると、ますますわからなくなった。重機がない時代にこれを作ることの難易度。内部に意図した空間を作りながら石を積み上げていく?当時の人がどうやって作っていったのか、話を聞いてもあまりイメージができなかった。
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ピラミッドの前では暴れ狂う大量の野良犬に向かって警察が石をぶん投げていた。こんな光景見とうなかった。
入口まで行き、急勾配の坂道を昇っていく。ピラミッド内部は四角い空間の中にぽつんと石棺があるだけで、正直結構しょぼい。ミイラもないし、装飾品もなければ壁画もない。扇風機がブーンブーンと稼働しているだけなので、やっぱり外から見るのが一番いい。
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ピラミッド周辺にはたくさんのラクダ使いがいる。ガイドさんが交渉してくれて、日本円で3000円ぐらい払ってラクダに乗った。ラクダが立ち上がるとき振り落とされるかと思ったし、正直乗っている最中も不安定すぎて怖かった。あと鳴き声も不気味。
一眼レフで辺りを撮影しようとするも、ファインダーを覗けるような状態じゃない。自分が今どこを撮っているのかすらわからなくなるほどの振動だった。象や馬には乗ったことがあるが、ラクダはまだなかったのでよい経験になった。
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エジプトに行って、一つやりたかったことがある。
「死者の書」に出てくるメジェドのコスプレである。
まだツアーに申し込む前、もしエジプトに行くとしたらピラミッドの前でメジェドのコスプレをしたいと本気で考えていた。キャラ誕生の地!やっぱりそういうのって、ロマンがありますよね。
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俺がメジェドだーーーーーーーーーーーーーー。
Twitterでバズり、ねとらぼさんにも取り上げていただき、ヤフーニュースにも載りました。ダイソーでフェルト生地を買ってちまちまと作った甲斐があった。本当はもっと裾を末広がりにしたかったのだが、布の大きさと自分の技術ではこれが限界だった。
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ピラミッドはエジプトに100基以上あり、代表的なものをいくつか見て回った。赤のピラミッドにも行ったが、コウモリが住み着いており、フンのアンモニア臭がひどかった。弟がせき込んでいたほどだ。勾配がきついので、お年寄りや身体が不自由な人にはおすすめしない。
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2日目は昼食の後、土産物屋に行きホテルで寝落ちをしてしまった。やはり、圧倒的な日差しに焼かれると体力も著しく消耗した。ショッピングモールにでも繰り出そうと思ったが、布団に吸い込まれて這い出せなかった。
3日目:限界自由行動
3日目は自由行動、ということでよくばりな自分はあれもこれもとスケジュールを緻密に組み立てていたが、やはり予想を裏切られる結果になった。
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様々なモスクを巡った。入場料がいる場所もあれば、バクシーシとしてお気持ちで支払う場所もある。USドルが流通しているので1ドルを支払った。
焼けるような日差し、吹き出す汗、尽きる飲料水。こんなに水分補給をしているのにまだ肉体は水を求めている。ここまで水分を一度に摂ったのは初めてかもしれない。
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日本と同じ感覚で街歩きをしていても、休める場所すら見つからない。カフェや飲食店も一切見つけられないまま都心部までやってきた。10キロはゆうに歩いたのでは?
ガソリンスタンドの横に併設のカフェがあったので駆け込む。客は怖い顔のおじさんばかりであった。
メニューをもらう。すべてアラビア語である。
「英語のメニューはある?」「ない」終わった。読めない。なにこのミミズの這ったような文字は。いや、待てよ・・・。
グーグルレンズを起動し、メニューを読み込むとなんとまあ見知った言葉が出てくるではありませんか。凄い時代になったな。とりあえず休憩してまた歩き出す。
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電車には乗ったが大阪の地下鉄に例えると千日前線と長堀鶴見緑地線しかないような、そんな感じ。痒いところに絶妙に手が届かないうえ、行きたい場所も駅から離れていたのでひたすら歩いた。砂埃を全身に浴びた。
ハン・ハリーリ市場までやってきたのでハトのグリルを食べた。
「ピジョン?!(手をバタバタさせながら)」「YES!」
欧米人のガキがエジプト人のおじさんにグーパンでぶん殴られている光景を横目に、バリバリとかぶりつく。なんともディープだった。
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最後ちょっとカイロタワーにでも行こうかなと思って行ってみたら、券を買うのにも列ができており、整理券の番号が呼ばれるまで待つ人であふれかえっている。判断を誤った。そこまで高いタワーではないので、正直もっと過疎っているのかなと思っていた。行ってみないとわからないことばかり。
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自分の番号が呼ばれる頃にはとっくに日が暮れており、ナイル川の流れる光景をただぼんやりと眺めていた。夜景が楽しめたのでそれはそれでよかったかもしれない。
行きたかった美術館に間に合わなかったりあまりにも暑すぎて行く場所をショートカットしたりしたが、ポイントを押さえた観光はできたように思う。この日なんと41500歩も歩いた。
最終日:エジプト国立文明博物館
ホテルをチェックアウトし、エジプトの国民食「コシャリ」を食べに行く。コシャリというのはエジプトの国民食。ご飯とパスタと豆にトマトソースをかけた炭水化物のカタマリ。正直、量多いなと思った。おかずとしてならアリだけど主食としてならナシだな、というのが自分の印象。まずくはないんだけどね。
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最終日は、エジプト国立文明博物館へ。
考古学博物館から運ばれてきたミイラは現在ここの地下に眠っている。
撮影は禁止だが、かなり近い距離で見ることができた。状態のいいものは歯茎の肉や筋肉の筋、髪の毛までしっかりと残っている。世界史の教科書に出てくる歴史上の偉人と「対面」している現実。不思議な感覚だった。
弟が「気持ち悪いな」と言っていたが、そう思うのも無理はないなと感じるミイラもあった。
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地上の展示もガイドさんの解説を聞きながら見て回る。それから空港へ行き、土産を買い、スタバのドリンクを飲んでいるときに搭乗の最終コールがあり間もなく離陸。海外旅行で久しぶりにトラブルにあうことなく帰ってこれた!奇跡!
のはずが、帰国後激しい胃痛と下痢に襲われてしまい・・・。
消化器内科へ行くはめになった。3日ぐらいで穏やかにはなったが、弟も同じくしばらく下痢が続いていたそうで、偶然の一致とは思えなかった。
アフリカに2回行き、2回とも腹痛に襲われる。私はそれでもまた、アフリカに行きますよ。
率直な感想
エジプトの悪評ばかり聞いて勝手に萎縮していたが、正直なところ「言うほどか?」だった。物乞いだともっとひどい人に会ったことあるし、カメラを構えていたらポーズをしてくれる子もいたし、駅を探してキョロキョロしていたらおじさんが指を指し「Station!」と教えてくれた。
駅の券売機でなぜか切符を買えず機械の前で立ち尽くしていたら手売りで売ってくれたし、お釣りを取り忘れていたら教えてくれた。なんか、思っていたのと違う!いやな思いは全くしなかった。
今回訪れたのはカイロとギザだけだったが、いつかアスワンやルクソールにも訪れてみたいと思った。
アフリカという大地にありながらイスラムの空気を色濃く纏い、アジアのような喧騒も感じられる。訪れる価値はあると思います。
エジプトは、いつでもあなたを待っていますよ。
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