ケルチ地峡での撤退状況を分析してみましょう。
地形条件:
- ケルチ地峡の最狭部:約4km
- 実際に使用可能な道路幅:約15-20m(主要道路1-2本)
撤退条件:
1. 撤退する部隊の規模
- 第17軍の主力(約20万人)
- 車両約25,000台
- 戦車/自走砲約300両
- 馬車約7,000台
- 家畜(牛など)約27,000頭
2. 混雑要因
- 民間人の避難車列との輻輳
- 道路損傷や爆撃による一時的な通行止め
- 故障車両による渋滞
- 泥濘化による速度低下
- ソ連軍の追撃による混乱
進軍速度の推計:
1. 理想的条件下
- 通常の軍用車両縦列行進:時速15-20km
2. 実際の混雑状況を考慮
- 渋滞による停止時間:全体の約40%
- 低速移動:全体の約50%(時速2-5km)
- 比較的スムーズな移動:全体の約10%(時速10km)
結論:
平均進軍速度は時速2-3km程度と推測
(24時間でも48-72km程度)
特記事項:
- 夜間は更に速度が低下
- 天候悪化時はほぼ停止
- 空襲時は完全停止
- 橋や狭隘部での極度の減速
このような状況下では、通常なら1日で走破できる距離に、1週間以上かかることもあったと考えられます。
なお、これは当時の状況を元にした推測値であり、実際の進軍速度は日々の状況により大きく変動していたと考えられます。