ランドパワーにおけるビジネス撤退戦の怖さ
ランドパワーとシーパワーの定義は、この漫画を読めば描いてあるのでそちらで。
私自身はUボート戦と護送船団の研究をしているくらいなので、圧倒的にシーパワーの戦略が好きだ。しかし、古来からある日本企業は決まってランドパワーでの戦い方しか経験してきていない。
独ソ戦を読んでもらえればわかるが(資料は何でもいいけど…)
陸での戦いというのは大都市や要塞が拠点になるけれど、一度負けだすとなかなか止まる事が出来ずにあっという間に戦線が移動してしまう。踏ん張れないのだ。
もっと極端なのは砂漠戦で、基本的には領土を保持していてもあまり勝敗には関係が無い。ロンメル将軍はチュニジアとエジプトの間を行ったり来たりしている。
では、シーパワーでの撤退とは?
アメリカは上手かった。フィリピンからさっとひいて、すぐに引き返してきた。海の場合は島という拠点そのものはあまり意味が無く、そこに至る為の動線が重要になる。補給さえ通っていて制空権を押さえていればどんなに離れていようとなんとかなる事がある。マッカーサーは島嶼戦になった時、すべての小島を犠牲を出しながら占領していくのではなくて、飛行場が作れない島はスルーしてしまった。ああいう発想が強い。
さて、本題。
劣勢に立たされたランドパワーの企業というのは全く踏みとどまれない。
勿論、ランドパワーでの撤退戦にも王道があって名手も居た。
この人は撤退しながら敵を袋に誘い込んで殲滅させてきた。
しかし、駄目な企業はこの戦略を取れない。
どこぞのヒゲ伍長みたく「踏みとどまれ!1mmも後退するな!」と言い続ける。その結果、勝てる戦も勝てなくなる。
出版界の栄衰を見てきて、どん底から這い上がってくる学研の様な企業とそうではない企業の違いを驚きながら見つめている。上手く判断出来る人たちは発想がシーパワーなんだな。
出版界のバブルは1996年。そこからあっという間に下降線を転げ落ちる。
勿論、そこで必要とされる人件費を賄うことなど出来ない。
こんなにも速いとはね。起きる事は当然予想はしていたが、ここまでの速さは予想できなかった。