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歴史書をどう読むのか

ミリオタという人種は凄いんですよ。
頑張っても何も得られない(学位・賞賛・地位・名誉)のにひたすらに歴史書を読んで暗記して考察して議論して本の過ちを正す。
私自身も、そうやってきましたから。
しかし、30歳くらいかな?これで良いのかなと惑い、方針を変えました。

○ミリオタはもっと“研究“をしよう
1)自分のゴール、決めてますか?
私の場合は闇雲にただ資料を読んで本が溜まって行くのが何よりも好きでした。だから和書で「UボートのUの字」があったら、値段に関係なくその本を買い込んでました。当然、物理的なスペースに限界はありますが、そんなの気にしない。床に置けば良いじゃないか。運よく、床は抜けませんでした。
転機は「エニグマ暗号機」です。まずはどうやって暗号化したの?それが分かれば「どういう使い方なの?」次は「どうやって解読したの?」という壁にぶち当たります。これを理解したい!これが一つ目のゴールです。
更にいつでしたか、Uボートとは全く関係の無い「ワルシャワ蜂起」に出会いました。この戦い自体は中2には知ってましたが、更に詳しい文献に出会って衝撃を受けました。これはポーランドを丸毎知らねばならない!(その為には周辺国含めて全部)これが2つ目のゴールです。

2)不要な本(物理本)を削ろう。
それまでに沢山の種類のテーマに手を出していたので、まずは資料を整理することから始めました。コレクション的なUボートの本、夜間戦闘機、昼間戦闘機、日本軍関係は全て不要、歩兵も北アフリカ戦も戦車も不要。。。と、どんどんカットしていきます。当時、SNSで若い子を数人見つけていたのでガンガン送り込みます。これで2千冊くらいは悠に消えました。消えた結果、自分が求めたい方向と必要な資料に全くブレが無かったのでこの資料粛清は成功だったと思っています。これをやらなければ、自分のゴールに近づけなかったでしょう。今は更にこれを進めて、洋書があるから和書は要らないと、ダブりを消していきます。現在、和書は数百冊まで絞り込めた筈です。
※電子書籍も一時期は0円本を集めて2千冊くらいだったので、半分以上は削除(購入履歴そのものから消すと、Kindleに表示されなくなります)します。もっとも、0円本でも良いものはあるのでそのまま。

3)暗記をやめよう。
昔の研究者は本を如何に沢山集めて沢山読んだか?が一種の指標でした。今はどうでしょうか?数字的なスペックは世の中に溢れてる。それは暗記しなくてもいい。ならば最初から覚えない。こうして、知識も粛清していきます。
私の場合、Uボートの外観に関する事は興味対象外なんで「外観に関する知識も忘れよう!」と無駄な脳細胞は一つも残しません。

4)洋書を読もう
読んだ本は日本語ですか?それは何軍の情報ですか?仮にドイツ軍の情報としましょう。
 元情報:ドイツ語→おそらく英語翻訳→日本語訳
この段階で二段階に渡って情報が欠落しますね。だったら最初からドイツ語の本を探して読みましょう。今やカメラ付きの機械翻訳があるから平気ですよ。ロシア語だってフィンランド語だって。古本で買えばそんなに高くありません。
考えてみてもください、日本語に翻訳されてる本は国内で一定数売れると見込まれてるから出版されるんです。あなたの興味はそんなに小さい世界なんですか?

5)戦術なのか戦略なのか?
例えば、リデル・ハート「第一次世界大戦」をサンプルにします。
これ読んだ時に物凄い違和感を感じました。悪い本じゃ無いのは分かるんですが、とにかく細かいんです。一部隊の移動や戦いまで書いてある。それを読んでると全貌が全然理解できないんです。これをやりたいならば、まずはその地域の村の名前まで書いてある古地図を用意すべきです。Googleマップでは今の地名になってます。占領地の場合は名前を変えられたり、今では消えてしまった村もあるのでそれが載ってる古地図は必須です。で、私の場合はやりたいのはこれじゃなかったんです。
探してみるとA・J・テイラー「第一次世界大戦」の方が政治家の言葉とか書いてあってよほどしっくりきました。あぁ、私のやりたいのはこっちなんだ。戦略とまでは言わないけど、「地政学」に近いんです。きっと。

6)レビューを書くなら、自分でも何か書こう、描こう
私自身もやってた事ですが、人の書いた本をみると間違いを見つけちゃいます。それをネチネチとレビューに書きたくなるんですね?おかげで映画も楽しめません。レビュー書くために本を読むような状態になって。
それは、あなたの本当にやりたい事ですか?自分を無駄遣いしてませんか?だったら、何か自分を表現しましょう。本でも絵でもブログでも良い。本を集めて感想だけを書くのは勿体無い。もっとクリエイティブなことができる筈なんですよ、あなたは。その力は十分に溜まってる筈なので。
私の場合はそのエネルギーを数学に回しました。今は歴史学よりも数学に力を入れてます。なぜか?エニグマ暗号機の歴史的な解読方法を理解したいからですよ。ちなみにこの分野、日本語資料が徹底的に不足しているんでブルーオーシャンです。最後は、日本のミリオタの人が読めるように、解説資料を書きたいです。群論の言葉を使わない方法で。Wikipediaの説明は難しすぎるし、全然不十分なので。

7)無駄な喧嘩はやめよう
もっと昔の中世日本の歴史に興味があって、専門書を読んで驚きました。この世界の人たちの本(箱入りで一万円とかするやつ)って、前半は他人の説にケチをつけて、後半でやっと自説の展開。あー、無駄だ。。。これを読んでる読者の身になってくださいよ。こっちはあなたの説に惚れ込んでお金を出しているのに、他の説の批判なんか読みたく無いんですよ。それは別の冊子でやってくれ。。。。

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