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読書感想『塗仏の宴ー宴の始末ー』※ネタバレ注意

皆様、あけましておめでとうございます。新年一発目の投稿はこの記事ではありませんが、新年一発目に書き始めるのはこの記事なのでこの場で挨拶させていただきました。
年末はバイトとFGOのイベントを優先するあまり感想を書く本がたまりにたまっています。今回は『塗仏の宴ー宴の始末ー』その他に『「おばけ」と「ことば」のあやしいはなし』

があり、年を越して新年初読破となった『十角館の殺人』が残っているのでちまちま書いていきたいなと思っています。

今回感想を書く『塗仏の宴ー宴の始末ー』は日時で言うと12月14日に読み終わっていたもので、正直なところ新鮮な感想ではありませんし、全体の感想は今書いてもなんだかなって感じなのでとりあえず読みながらメモしていた感想を書いていこうと思います。

P443まで

前巻で衝撃の終わり方をして、その取り調べをする警官視点からスタート。通常関口君でも相手にしたくないだろうに、胡乱な関口君とか最悪だろうなぁと警官側に同情してしまう。
街が騒がしいというか落ち着かない雰囲気というのは、現代に通ずるものがあるなと読んでいてとても身近に感じた。宗教組織ではなく現代だと政治系にその傾向がみられるが、オブラートにしてきた悪意やそういう雰囲気が露出しているような世界になっているなと改めて思った。戦争前というのもあながち間違っていないのかもしれない。
この作品は特に章ごとに情景が飛ぶので感想が書きづらい…
ただ、布由さんの情景は尾国さんに書き換えられてると確信できる。ただ、この謎が分かるのは最後になりそう…
妖怪に至るまでの解体と再構築の話はとてもためになった。未知のものに割り当て、その対象をずらし、相応しいように形を変える。人間が生きるために必要な行為なんだなとあの一連の語りで納得させられる。
前巻での語りと合わせると渡来人と妖怪、そして付喪神や式神などが経てきた変遷が分かってとても面白かった。

P717まで

ようやく関口君が巻き込まれた周りの話が見えてきた。あの幽霊を殺したってのは久遠寺医院繋がりなのか。あの事件影響大きすぎでしょ…
そしてかなりの数洗脳されていてもはやだれがどうなっているのかよくわからなくなっている。あの加藤さん一家はめちゃくちゃすぎるでしょ…
自分を嫁だと思って聞かない家政婦とかそりゃ一緒にいたら狂いますわ。てかあの家で洗脳されてないのおじいちゃんだけで一番まともだったんだ…
事件の大枠は見えているのに何が目的なのか分からないというのはなかなか気分が悪い。エルメロイ二世風に言うならホワイダニットがない。まさかぬっぺっぽうがいるわけじゃあるまいし、なんなのだろう。
それにしても洗脳されているってことを表現するのが本当に上手い。
敦子ちゃんが兄と榎木津に頼れないって言ってるシーン、前巻で韓流気道会に襲われた際は兄さんに助けを求めてたのに、と読んでいて自然にわかるようになっている。
そして相変わらず人間の書き方もうまい。なんだかソワソワイライラする感じも読むだけで伝わってくるから、読んでいる方もなんか焦るような気になる。
ここからクライマックスですし、逸る気持ちと共に読みます。

最後まで

後催眠、便利すぎる。使いたい。
そんな冗談はさておき、なんとも怒涛のクライマックスでした。佐伯家はほとんど生きており、それぞれが暗示によって分裂させられそして争いあうゲーム。恐ろしく酷い手口であり、あの最後に出てきた人類最悪っぽい堂島を含めてなんとも救いようのない話だった。
自分の過去や記憶というものが実は全く別でしたという衝撃はどんなものなのだろうか。そんな衝撃すらも人間は日常を重ねることで癒してしまうんだろうか。
日常というものが根本から揺るがされた今作、改めて家族や友人と積み上げるなんてことない日常が我々に与える安心感というものを再確認した気がする。
家族というものが不満を解消するのではなく、それすらも抱えてただ日常を重ねるだけであるというのもなんとなくそんな気がする。
友達に「今作はアッセンブルだよ」と言われていたが、本当に絡新婦以上にアッセンブルだった。動きまくる榎木津、木場修、そしてころころ視点が変わる下僕たちと思考や場所の移動が多く読んでいてい楽しかった。
そういえば関口君はどうなるんだ?結局本作では解放されてないけど……
関口君のVer.違いといわれた内藤君、なんか一皮むけましたね。そして姑獲鳥がうろ覚えになっていることが意外と響いている…読み返そうかな
なんとも壮大な作品でした。

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