『アクタージュ』レビュー

先日、週刊少年ジャンプで連載していた演劇漫画『アクタージュ act-age』(原作マツキタツヤ 作画宇佐崎しろ)の原作者が逮捕され打ち切りが発表されました。

たぶんこのまま行くと単行本も絶版になるので既刊12巻のあらすじと感想をまとめていきます。

第1巻

あらすじ
女優を目指す女子高生・「夜凪 景」は有名芸能事務所スターズのオーディションで天才的な芝居をするも不合格。
それは彼女の危険な演技法に理由があった。
しかし、夜凪の才能に魅せられた映画監督・「黒山 墨字」が役者の世界に誘う‼︎

夜凪が黒山に見出されスタジオ大黒天に所属してCM撮影と時代劇エキストラ、千世子登場、デスアイランドオーディションが始まるところまで。

まだ導入部分がほとんどで職業体験的なエピソードばかりで個人的にはあまり面白くないですね。
ですが最後の方で少年漫画にお決まりのライバルキャラである千世子が登場してワクワクする展開が予想されます。

第2巻

あらすじ
「百城 千世子」に会うため映画「デスアイランド」のオーディションに挑む夜凪は、「烏山 武光」達と一緒に即興演技(エチュード)の審査を受けることになる。
"無人島で殺し合いを始める"という題目の中で夜凪が放った台詞に現場は騒然とする!

「デスアイランド」はB級映画っぽい感じでB級映画好きは別の意味で楽しめます。
夜凪が新キャラと絡んで一気に芸能界って感じが出てきます。作画の方も夜凪の絵が安定してきた気がします。

第3巻

あらすじ
ついに始まる夜凪と千世子の共演。
千世子の役・カレンを創造できない夜凪は友人達との体験を基にして芝居に臨む。
しかし、根本的な解決にならないと痛感した夜凪は、千世子と真っ向からぶつかることを決め⁉︎

今巻の撮影内容でB級映画臭がさらに増します笑。
そして千世子との共演がまさに演劇バトルって感じでアツいです。
そして映画編は完結して夜凪がライバル達と仲良くなるのが好きです。
新たに始まる新編『舞台 銀河鉄道の夜篇』が導入部分だけでもとても面白そうなのがわかります。

第4巻

あらすじ
演劇界の巨匠・巌裕次郎の下で、舞台の主演を務めることになった夜凪。
"表現力"に乏しい夜凪の欠点を克服すべく、巌はある課題を与える。
課題のクリアに苦戦する夜凪だが、そこへ思わぬ報道が、飛び込んできて…?

表紙は新キャラの阿良也です。オーラが凄い。
舞台の世界に飛び込んだ夜凪が舞台演技のプロ達と切磋琢磨していく展開はとても面白いです。
巌裕次郎は夜凪の師匠ポジの人間でただひたすら夜凪が圧倒される側に立っていて新鮮です。
文句なしに面白いです。宇佐崎先生の絵も凄い良くなっています。

第5巻

巌から自身の余命を告げられた日を境に夜凪は芝居に没入できなくなってしまう。
様子を見かねた黒山の助言のおかげで巌が託した想いの意図を知り、劇団の仲間のために自分がすべきことを見つけ出す夜凪だった。しかし、舞台公演を前に巌の容態が急変して。

本誌ではこの巻に収録されている話から私は読み出しました。
巌裕次郎演出の舞台の凄さを見せつけられます。
舞台ではハプニングが起きるも乗り越えていきます。
絵的にもロマンチックで素敵です。
最後にはアキラの苦悩が描かれていきます。

第6巻

あらすじ
舞台特有の圧に呑まれ、思うように演技ができないまま出番を終えようとしたアキラは夜凪の突飛なアドリブに言葉を詰まらせてしまう。
決められた台詞がない状況下で"正しい答え"を求め戸惑う中、夜凪はカムパネルラの役を通してアキラの心に問いかける。

表紙からオーラが凄いです。
アキラ君の成長が見れる巻です。
阿良也と巌さんの出会いがわかり、巌裕次郎との別れに苦悩する阿良也への感情移入が止まりません。
そして大人組の関係性も少し判明してきます。
アクタージュ全編を通して一番面白いです。

第7巻

あらすじ
舞台初日公演から数日後、巌の告別式に参列していた夜凪は芸能プロデューサーを名乗る男・天知心一に声をかけられる。
不敵な笑みを浮かべながら良い話を持ってきたと言う彼は翌週発売の週刊誌に掲載されるとある記事を渡し。

今まであまり見られなかった夜凪のプライベートのお話が見られます。
青春って感じの内容です。
個人的には今巻のお話もすごい好きです。

第8巻

あらすじ
新宿駅を舞台に黒山が撮影したMVの出演がきっかけで夜凪の知名度は世界的に広がることになる!
一方、天知の暗躍により、ずっと抑えていた感情を浮き彫りにさせられた千世子と阿良也。
彼らを巻き込み、天知は新たな舞台を企てる。

MV撮影では黒山の凄さを見せつけられ、新舞台「羅刹女」では夜凪のライバル千世子が阿良也と組み夜凪と争うダブルキャスト舞台でかなり目玉になるお話です。しかも黒山は千世子&阿良也ペアに演出家としてつくという…。
夜凪とペアを組む王賀美は今までにないキャラで新鮮です。

第9巻

あらすじ
舞台「羅刹女」の演出家・山野上花子との出会いによって想像力を広げる芝居に目覚めた夜凪。
まるで神になったような感覚を自らに暗示させ、芝居の中では自分の空想の世界が絶対であるという山野上の教えを基に夜凪は「羅刹女」の世界へ没入していく。
新たな表現力を身につけた夜凪は降板しようとする王賀美の説得に急ぐ!

王賀美の過去が判明。そして千世子の決意が見られます。千世子の作画がとても良いです。

第10巻

あらすじ
「羅刹女」の公園まで残り数日。
稽古は佳境に入り、出演者はそれぞれの思惑を胸に抱いて、迫り来る本番に思いを巡らせる。
そんな中、サイド甲の演出家・山野上は夜凪が羅刹女を演じる上で、真に力を発揮させるためのある仕掛けを用意していると王賀美に告げる。

今まで謎だった夜凪の親について少しわかるようになります。
夜凪の暴走に王賀美が立ち向かいます!
王賀美がちゃんと実力のある役者だって事が思い知らされます。

第11巻

あらすじ
サイド甲の舞台「羅刹女」は、王賀美の助演としての機転により、夜凪が演じる怒りに荒れ狂う羅刹女を観客の共感対象に仕立てることに成功し、第一幕を終える。
しかし、夜凪の怒りは収まることなく、激しい憎悪に飲まれそうになりながらもギリギリのところで踏み止まる。
限界がいつ訪れてもおかしくない中、舞台は第二幕の開演へ。

夜凪以外の役者の立ち回りに注目です。
助演としての役者人生に向き合う姿に熱くなります。
そして最後に夜凪は…

第12巻

あらすじ
波乱のラストシーンで幕を閉じたサイド甲の舞台「羅刹女」1日目。
夜凪の才気走った圧倒的な演技を目の当たりした千世子は、自分の虚像の芝居では敵わないことを痛感させられ自信を喪失する。
翌日にはサイド乙の公演を控える中、黒山が稽古と称して彼女を連れ出した場所は。

黒山の目的が判明し何となくクライマックスのイメージが掴めるようになります。
そして千世子はやはり実力者なんだなぁと思い知らされます。

12巻以降

単行本未収録の続きの話は夜凪がCM撮影で子役の皐月と共演します。
その後は黒山と映画デートをして黒山の映画に出たいと心の底から思うようになります。
そして夜凪を名実ともにトップスターにする為に大河ドラマ編が始まったところで終わりです。

週刊少年ジャンプで演劇を題材に人気を博したすごい漫画でした。

ガラスの仮面以降、有名な演劇漫画ってほぼ無いですよね。
しかもそれをジャンプでやるのは流石です。いつの時代も新しいタイプのヒット作を出してきたからこそですね。

舞台化も決まっていてこれからアニメ化や実写化などして人気になっていったはずなのに…
というか物語的にも大河編をやったら次は黒山の映画を撮って終わりな感じもしていたのでこんな事になったのはとても悲しいです。

羅刹女の「この怒りどうしてくれよう」この台詞が自然と口に出てきてしまいます。


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