悪いお嫁さん。その1。
わたしは悪いお嫁さんだった。
先日、夫のお母さんが亡くなった。突然。というわけではなかったけれど、夫にはショックが大きかった。
私たち夫婦は、一緒に暮らすと同時に夫家族との交流を絶った。15年前。次女が生まれるタイミングだった。
次女が生まれても一度も抱っこしてもらった事はなかった。
わたしは悪いお嫁さんだったと思う。可愛げもない。夫の家族を大事に思う気持ちそのものがなかった。その分、自分の親や姉たちに存分に甘えて、夫や娘たちを可愛がってもらっていた。
夫の家族を全く思わなかったわけじゃなかった。でも、「これは彼の問題。」という事にしていた。「わたしは部外者だから関与できないよね。」こんなふうにも思っていた。時々、「お母さんとかに会わなくていいの?」など聞いてみたけど。「いいんだよ。」しか言わない夫に鉄の壁を感じていた。
今年の我が家は何かと揉めている。
高校に進学した次女の素行や、私立高校という投資での資金繰り(高校の授業料実質無償化についてなど言いたい事は山ほどある。)などで度々喧嘩をしていた。
泣く日も続いた。
その最中、お母さんの訃報。夫の心中を想像すると人生で一番と言っていいくらいの大変さだったんじゃないかとも思う。
ある日の金曜。「母親が亡くなった。これから帰るけど、一旦帰ってまた出かける。」とLINEが来た。
一旦帰る理由は、長女の誕生日ケーキを注文してたから。長女の誕生日は、家族で横浜へ、次女の演奏会を聴きに行く予定があったので、前日にお祝いしよう。ケーキも前の日に食べようと。今、長女がキティちゃんにハマっているので、夫の職場の近くでキティちゃんのケーキを予約し、家族でお祝いする予定だった。
夫は目を真っ赤にしてケーキを持って帰ってきた。わたしは無事に帰ってきてホッとしていた。動揺して事故でも起こすんじゃないかとハラハラしていた。
長女はおばあちゃんに育ててもらった時期があり、おばあちゃんのことが大好きだった。わたしはキッチンでご飯の支度をしていて、夫がどんなふうに伝えたのかはわからないけど、二人とも泣きながはリビングに降りてきた。
夫は自ら母親と断絶したけど、きっと後悔してると思う。もう二度と会えないなんて、わかっていたけど辛いだろう。長女も、親の事情で大好きなおばあちゃんに会えない状態で、久しぶりにおばあちゃんを想う時間が、まさか亡くなった後になるとは。
それでもわたしは傍観者でいるしかなかった。
亡くなって4日後、葬儀が行われた。喪主は長男である夫が務めた。わたしは長男の嫁のくせに特にやることもなく、ただ緊張していた。
続く。