16歳の春、農場で働いた。
ブタをすきだということだけでこの場所で働けるというのは大間違いだ。
そう思う。
今日はこぶたを移動するところから
朝が始まった。
両手で抱えて一匹づつ運ぶわけじゃない
片足を片手で。
一気に二頭づつ。
あくまで彼らは商品なのだ。
運ぶ時にこぶたは鳴いた
少し暴れる奴もいた。
運ぶのは少し難しそうだった。
その瞬間
「はい、こいつあっちの箱ね」
見様見真似で持った。持てた。
一匹だったので、両手で抱えて運んだ。
「大丈夫、落ち着いて」話しかけた。
午後、生肉所の仕事に入った。
夕方、しゃぶしゃぶ用の肉のカット、パック詰めをした。
塊の肉を薄く薄く機械がカットしてくれる。
「その肉、クリーム色のトレーまで」
3パックつめたら、肉を替える。
なんでかは、わからないけど。
肉を両手で抱えた。
あ、あのこぶたと同じ重さだ。
さっき抱いたあの子だ〜。
命の重さとは、なんなんだろうな。
少しそう思った。