臭いものには蓋をする
大阪地検元検事正の事件、被害者の会見記事を読んだ。この手のニュースを見ると心が乱れる。被害を告発するまでの6年、よく生きて告発にたどり着いたなととても眩しく思った。
私も彼女側の人間だった。会見記事の当時を振り返る記述があまりにも鮮明に書かれており、朝から気持ちが悪くなる程度には感情移入してしまった。
目が覚めたとき、その気持ちは当事者になってみないとわからないし、誰もわからない世の中でいいとも思う。
幸いにも私は未遂で終わったけれど、たとえば最後まで事が進んでいればあの男を社会的に抹殺できたし、それでも良かったのかもしれないと思う日がある。それと同じように、未遂だからこそ、いま少し用心深くなったぐらいで、普通に暮らせているのかもしれないとも思う。
まだこういった告発が世の中になかった時代だったから、泣き寝入りしかなかった。悲しい気持ちには蓋をして見ないように今生活している。
でも、悲しさは何年経ってもわりとフレッシュなまま蓋をされて心の中にあるような気がする。
今たくさんの人が、告発をして戦っている。
その勇気に励まされる。