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【分析レポート】札幌のホテルは本当に供給不足なの?


「札幌は夏冬の客数に差があるため、ホテルの供給が増えない」という報道

2024年11月8日、9日、10日の週末には、札幌ドームでSnowManのコンサートが行われた他、緑黄色社会などのコンサートが行われ、札幌のホテルが高騰したり、予約ができにくかった模様。テレビや新聞でも、このことについて、いろいろと報道されていました。

このSTVの報道の流れは、札幌のホテル不足によって、札幌からかなりの遠隔地で宿泊せざるを得なくなった人が出たことをまず問題視。札幌のホテルは人口比で福岡より少ないことを根拠に、札幌のホテルは供給不足だとして、その少ない理由として札幌の夏と冬の観光客の数の「差」を挙げます。

やはり札幌の宿泊者は夏の方が多く、冬は雪まつりの一時期を除いては、全般的に少なくなっています。これがネックになって、札幌のホテルの供給量は増えていない…としています。STVだけではなく、日本経済新聞も同様のロジックの報道をしています。

本当に、札幌のホテルは増えていないの?

では本当に札幌のホテルは増えていないのでしょうか。実はそんなことはないのです。札幌市が出している令和6年版「札幌の観光」の「宿泊施設の状況」を見てみましょう。

ご覧の通り、ホテルも合計も毎年着実に増えています。

増えてますね〜。これは札幌に住む人間としての実感値とも合致。さらに来年(2025年)のホテルの新規オープンとしてはめぼしいところで、
・2月 SAPPORO HOTEL by GRANBELL(605室)
・10月 インターコンチネンタル札幌(149室)
・12月(予定) ザ・ゲートホテル札幌 by HULIC(172室)
・12月(予定)アパホテル 札幌大通駅前西(新築に建て替え 60室→218室)
があります。これだけでも1000室の増室ですよね。

札幌駅北口側に2025年オープンする「SAPPORO HOTEL by GRANBELL」は、605室の客室と1924人の収容人数を誇る大型ホテル

2026年以降もハイアットセントリック札幌やパークハイアット札幌などのオープンが予定されていて、札幌のホテルが増加していないという分析は、なんか的はずれです。

稼働率から考えてみると…

2023年度の稼働率を見ても、札幌が72.1%に対して、例えば福岡は74.2%とあまり変わりなし。ただ、札幌の夏冬の稼働率の変動が福岡よりも大きいのは確かなので、年間平均で大差がないということは、札幌の夏の稼働率がかなり大きな数字になっていることは推測できます(実際7月は85.2%、8月は84.3%)。なので夏のイベントでホテル不足…というのはまだわかるのですが、2023年度の稼働率が66.0%の11月のホテル不足というのは、何か別の要因を考えるべきでしょう。

「ホテル不足」に見える本当の要因は何?

STVのニュースへのコメントにも多くあったのは、やはり推し活の人々が複数のホテルを抑えていて、キャンセル料金が発生する直前にキャンセルする行動を取りがちなこと。事前には空きがなかったはずの札幌市内のホテルですが、実際の当日にはキャンセルが出たために空きがあった…という報告もされています。

複数予約&キャンセルを行う「理由」は人それぞれあると思うのですが、インターネットで簡単に最安値で予約ができるようになったことで、複数予約を行いやすくなっているのは確か。

本州からの札幌行きに関しては、飛行機の手配も同様に集中するはずですが、そちらの混乱は少なかったよう。やはり飛行機の場合は、一旦予約すれば基本キャンセル料金が発生するからでしょう。ホテルの方でもこのように予約即キャンセル料金発生や事前集金など、今後イベント時のみキャンセル対応を行ってくる可能性もありますね。利用者としては、この辺の動向を見定めていく必要があると思います。END



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