認可保育園スタートでどう変わる? マフィスが目指すこれからの保育
「ママのためのシェアオフィス」として創業して以来、企業主導型保育施設やアフタースクール併設のシェアオフィス運営など、様々な形で子どもの成長に寄り添ってきたマフィス。今年の4月にオープンする「マフィス白楽ナーサリー」は当社初となる認可保育園です。
これまで0~2歳に限定していた保育が5歳児まで対象となり、保育付きシェアオフィスとしての在り方も大きく変化を迎えようとしています。
そんなマフィスの保育を根底から支えてくれているのが現在、マフィス北参道の施設長を務める井本厚子先生。
これまで幼稚園、幼児教室、保育園などで豊富な経験とキャリアを持つ井本先生が感じるマフィスの現在の課題と今後の展望は?代表・高田との対談をお送りします。
日々、保育士たちが抱える悩みや課題に応えたかったけど自分1人ではできなかった(高田)
高田:井本先生がマフィスの保育を担当してくれるようになって、4月でまる1年になります。実際はその少し前からアドバイザリー的に関わっていただいているのですが、現在は北参道の施設長として、また元町の改善にも携わっていただいて、今年4月にオープンする「マフィス白楽ナーサリー」では園長を務めていただく予定です。
井本先生(以下、井本):私が以前、園長を務めていた保育園の保護者の中に、マフィスで働いている人がいたことがきっかけでしたね。
私は当時、横浜市の認可保育園と都内の保育園で園長を経験した後、4つの保育園で保育指導していたのですが、「マフィスで保育指導をしてほしいから一度話を聞きに来てくれないか」と頼まれたんですよ。
ただ、最初は企業主導型保育施設って聞いていたから、「仕事をしている間、子どもを預かってあげるよ」くらいの、いわゆる託児所程度なのかなと思っていました。だから、お断りする前提で話を聞きに行きました。年齢を考えると、もう現場はしんどいなと思っていたし。
そしたら、その日の午前中に役員会議で認可保育園への参入が可決されたそうで、「是非力を貸してほしい」と麻衣子さん(代表である髙田のこと)から言われ、これはもうご縁だと思いました。また、マフィスが子どもたちだけではなく保護者に寄り添いサポートに力を入れていることも魅力を感じた理由でした。
高田: これまでも現場にいる保育士たちはすごく頑張っていたし、成長していることも分かっていました。私は経営者として外部のコンサルを導入したり、保育理念やプログラムを作ったりしてきたんだけど、彼女たちはその日、その瞬間ごとに「今目の前にいる子どもたちに十分な保育ができているのだろうか」と迷って、悩んでいたんです。決して大間違いなことはしていないんだけど、もっと現場を効率的に運営するための改善点も、質の高い保育を提供するための組織運営に関する課題もたくさんありました。
私自身、それぞれの話を聞いているつもりではあったけど、保育の専門家ではないから中に入っていくことはできません。北参道と元町をよりうまく連携して、新しく立ち上がる白楽も合わせて同じ方向を目指していくためは、誰か一人だけに負担が偏るとか、しわ寄せがいかないようにしたいし、チームワークの良い運営のもと、マフィスの保育を確立したいという想いもありました。
井本先生には今、日々の保育を見てもらいながら、現場を安定稼働できるように課題の改善やリーダークラスの育成をお願いしていますが、ゆくゆくは「CNO=Chief Nursery Officer」っていうポジションに就いてほしいですね!
井本:責任重大ですね(笑)でも実際保育現場を見てみると、先生たちもすごく柔らかい雰囲気で、子どもたちをきめ細やかに見ているし、何よりも保護者の立場に立っているなと感じました。だから「普通の保育園と変わらないじゃん!」って思ったんですよ。
それでも、日々悩みながら保育に取り組んでいるのだとしたら、私がこれまで経験したものを提供することで、みんながもっと楽しいと思ってくれたり、力をつけてくれたりできるのかもしれないと思ったんです。
高田:私は私で、認可保育園を長年経験しているベテランの方を採用すると、「保育園というのはこういうものですから」と、「保護者の仕事も、保育も大切にしたい」という私の理念が曲げられてしまうんじゃないかっていう恐れもあったんだと思います。だからお互いに「認可保育園」と「企業主導型保育施設」にバイアスがかかっていたのかもしれないですね。
だけど、井本先生は私の想いを十分理解してくれて、その上でマフィスの保育を立て直してくれているのでとても助かっています。
日々の保育にも繋げられるような行事にこれからどんどんトライしたい(井本)
井本:つい先日、職員たち主導で「大きなかぶ」の劇をしました。麻衣子さんにも被り物をして出演してもらいましたけど、行事はこれから色々やっていきたいです。行事そのものが子どもたちの刺激になるし、たとえば被り物も終わったあと置いておけば子どもたちも自分たちで劇遊びをするだろうし、普段の保育に繋がっていきますからね。
高田:昔、子どもが通っていた保育園にお迎えに行くと、先生方が行事前で文化祭みたいな雰囲気だったのを思い出します。
井本:準備のために遅くまで作業するとか、子どもたちにものすごくたくさん練習させるとかは考えていないです。だけど子どもの成長の過程として大事ですから、親子ともに楽しめるものを作っていきたいです。2歳児まででも十分出し物はできますし、白楽は5歳児まで預かるのでもっと幅広くできるはずです。
高田:これまでは2歳児までの保育しかしていなかったので、どうしても1歳の途中で転園してしまうとか、2歳の保育が安定しないという悩みがありました。その課題を解決しようと、北参道でも元町でも5歳まで預かりたいからオペレーションを考えてほしいと先生たちには何度も相談してきたんです。
結果として、両施設はこれからも2歳児までをお預かりしていくことになりますが、井本先生の「2歳児までしか枠がなくても、満了するまでいたいと思える保育はできます」という一言が私にとって大きな決断のきっかけになりました。
子どもの成長を伸ばすためには今の保育、プラスアルファが必要(井本)
井本:少人数で1人ひとりに対して愛情たっぷりに接することができるのはマフィスの魅力だというのは最初から感じていましたが、それ以降の子どもの成長を伸ばすためにはいい刺激を与えたいしプラスアルファの保育を提供する必要があると思っています。
モンテッソーリの教員資格を持っている保育士により、少しずつモンテッソーリのメソッドを導入しはじめています。この間は1歳の子どもが、1時間集中してお仕事に取り組んでいました。この月齢だとここまでしかできない、なんて限界はなくて、子どもは環境によって見えない力を発揮していくものです。それが先生の意識改革にも繋がっていくはずなんですよね。
あとは、全ての年齢で同じ保育をするのではなく、年齢に合った歌や絵本の読み聞かせをしていきたいなと思っています。
高田:井本先生になら2歳まで満了したくなる場所を作ってもらえると、絶大な信頼を寄せています。2021年早々の課題ですね。白楽もオープンしますし、これから施設が増えていく上で、しっかり足元を固めていきたいです。
井本:2歳児の保育をもっとアピールしていくにはドキュメンテーションも重要だと感じています。0~1歳の親御さんに「2歳になったらこんなことができるんだ!」ってことをどんどん伝えていきたいですね。
保育も0歳から1歳、2歳、3歳…と繋がっていくものだから、白楽での子どもたちの成長を北参道と元町にフィードバックしていくこともできると思っています。
高田:マフィスに通うことが子どもたちのためになっていることを、もっと保護者の皆さんに伝えていきたいですね。保護者の気持ちを軽くする、安心してもらえる保育を目指していきたいです。