第101回箱根駅伝出場校紹介(2)「駒澤大学」
駅伝シーズン、苦戦をすると思われた駒澤だったがよもやもよもや、ここまで立て直してきたのには恐れ入った。藤田監督の下で有力な選手たちが着実に育っている姿は感慨深いものがある。
しかし、まだまだチームとしては発展途上。得意の全日本、捲土重来を期する箱根まで駒澤はどんなチームになって行くのか注目だ。
駒澤大学
1592年に日本の仏教宗派の一つである曹洞宗が設立した吉祥寺の学寮(吉祥寺会下学寮)を起源とする旃檀林(1657年命名)が発展した大学である。
設立当初から仏教学部を設置しており、僧侶の大学としても名が広まっている大学として有名。禅学科も設置しており、日本の中でも有数の仏教系の大学となっている一方で、2003年には医療健康科学部を設立し診療放射線技師の育成も行われている。
附属校には駒澤大学附属苫小牧高等学校に駒澤大学高等学校があり、かつてヒグマ打線として有名だった駒澤大学附属岩見沢高等学校、現在北洋大学と名称を変更している、苫小牧駒澤大学も同学校法人として知られていた。
卒業生には多くの僧侶が在籍し、仏教学者も多く卒業している。卒業生にあたり、世界選手権マラソン日本代表にあたる西田隆維さんは実家がお寺であったため僧侶の資格を取るために入学したというエピソードも。
また、野球・サッカー・ボクシング部なども有名で、卒業生には中畑清さん・巻誠一郎さん・ロンドンオリンピック銅メダリストの清水聡選手などを輩出。
陸上部も多くの卒業生を輩出しており、現在監督を務める藤田敦史さんはかつてマラソン日本記録を保持しており、國學院大學で監督を務めている前田康弘さんは箱根駅伝初優勝時のキャプテンだった。
立教大学駅伝監督である高林祐介さんの時代には長距離部門しか出走しないにもかかわらず関東インカレで2部優勝まで勝ち取ったほどだ。
今シーズンのチーム成績
出雲駅伝 2位
全日本大学駅伝 2位
今シーズンはシード権獲得が御の字かなと思われた駒澤だったが優勝争いに肉薄する激戦を演じ、平成の常勝軍団と呼ばれた名門の矜持を保っている。特に3年生ランナーの成長が目覚ましく、山川拓馬くん・伊藤蒼唯くん・帰山侑大くんの経験者たちが着実に伸びてきている。
箱根に向けて懸案事項はコンディション管理か。昨年もここまでは順調だったが、山川くんも伊藤くんもコンディションを大きく落とした。この2か月でチームの状態は大きく変化するだけに、藤田監督がどのように手綱を締めるか要注目だ。
監督
藤田敦史
高校時代こそ名前の知られた存在ではなかったが貧血を見抜き体質が改善されていくと実力がめきめきとついていく。4年時に箱根駅伝4区で出した1時間0分56秒は当時不滅の区間記録とも呼ばれた。
卒業後はマラソン日本記録をたたき出し、世界選手権でも6位入賞と名実ともに日本マラソン界屈指の選手として名を知られるようになる。2013年に現役を引退後、実業団にてコーチを務めた後に2015年に駒澤大学ヘッドコーチに就任。
就任当初こそ結果は出せなかったものの、恩師である大八木弘明さん(現総監督)の右腕として97回箱根駅伝優勝、前年度3冠を陰で支えた。
「負ける気がしねぇ」プレイヤー
伊藤蒼唯
正直、山川拓馬くんを書こうかと悩んだが、全日本での激走をしたのは何も山川くんだけではなかった。2区まで16位と低迷していた駒澤大学が息を吹き返したのは伊藤くんの激走があったからに他ならない。
この夏、本当にいい練習を積むことができたんだなと感じさせる激走で8人抜きをして見せると、チームは一気に状態が良化。全日本大学駅伝でも2位入賞の原動力となった。
ここにきてゲームチェンジャー的な役割を担えるポテンシャルの高さを証明した伊藤くんだが、例えば3区で青学の太田くんを封じ込める。そんな役割を期待したくなるようなそんな活躍を私はひそかに期待している。