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四日市工業高校ものづくり創造専攻科卒業制作応援プロジェクト【前編】廃材を生かしてできる社会貢献とは?
みなさんこんにちは🍀前野段ボールです。
循環経済に即した環境に優しい商品・サービス・事業づくりを目指す
サーキュラーエコノミーの考え方を重視する方針をうち出し走り出している我々ですが、まさに活動のキックオフとなったイベントである第一回サステイナブルクリエイションラボ(2024年10月14日開催)に参加してくれた四日市工業高校ものづくり創造専攻科2年生の嘉柳さんと篠原さんが、卒業制作のテーマとして前野段ボールで出た廃材を生かしたアップサイクル(創造的再利用)のものづくりをしてみたいと手をあげてくれました。
イベントで発信したメッセージを受け取り行動に移してくれたお二人の行動力と熱意がとても嬉しく、感銘を受けました!!
前野段ボールとER.様にて全面バックアップのもと、2人の卒業制作が始まりました。その様子を前後編に分けて詳しくレポートしていきます。
【STORY1】みんなで企画書を共有。なにがしたい?なにができる?
2024年10月30日、卒業制作に向けた活動がスタートしました。記念すべき初日は前野段ボール、ERさんと学生2人と担任の寒作先生でキックオフ。
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2人が作ったパワーポイントを拝見して、どんなことを成し遂げたいのか?思いを伺いました。
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卒業制作で実現していきたいこと
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というアイデアが出ました。前野段ボールでもちょうど休憩時間に1人になりたいという意見が出ていたこともあり、”組織の中でのプライベート空間確保”というテーマで盛り上がります。
活動は毎週水曜日、卒業制作の締め切りである1月末まで行うことになりました。活動日は前野段ボールの朝礼に必ず出席してもらい、一日の始まりに予定と目標を立て、活動の終わりに成果と課題を必ず振り返ることを決まりとしました。昼食も当社の社員と一緒に食堂で共にしていただきました。
振返りの際にはオンラインで関東のER.メンバーとつなぎ、サーキュラーエコノミーの専門家としての観点からアドバイスをもらうことになりました。
初回の最後、アドバイスとしていただいたのは「誰のための製品にするか決めよう」という内容です。二人には、次の週までに考えてきてもらうことになりました。
【STORY2】ものづくりで大切なこと。「誰に喜んでもらうためのもの?」
卒業制作なので、自分たちの作りたいものを作りたいように作れます。仕事ではそうもいきません。ただ、ものづくりは「使う人に喜んでもらう」ことが大前提です。今一度「誰に喜んでもらうためのものづくりをするか?」考えてもらったときに、2人が出した答えは「災害の被災地で避難所のプライバシーを確保できるパーテーションを作る」でした。活動のきっかけとなった自分の身の回りである学校の問題解決ではなく、今一番社会に求められているであろうテーマを選ぶ2人の真剣さに、我々も気合が入ります!
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【STORY3】製品は「避難所のパーテーション」に決定!!わきでるアイデア
ターゲットが決まったらさっそく製品のプランを考えます。その前に…当社で出る廃材の種類と、段ボールという素材そのものの特性、当社の加工機械の使い方についてみっちりお勉強します。
段ボールを扱う会社の廃材と言えば、切って折って貼った後に残る細かい段ボールくずを思い浮かべる方が多いと思います。実は他にも「試し印刷をした材料」「間違えたサイズで納品されてしまった製品」など、見た目にきれいでパーツのサイズが大きい廃材もたくさんあります。
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また段ボールは加工する向きを変えるだけでも強度が大きく変わったり、厚みや素材の種類の違いで加工のしやすさや強度に大きな違いが出ます。
段ボールの特徴を理解してもらったところで、「カッティングマシン」の使い方を学びます。CADで作成した図面のデータに基づいて、段ボールやプラダン(プラスチックでできた段ボール)を切り抜いたり、折り目をつけたりすることができる機械です。学生2人は学校でCADを用いた図面の作り方を学んでいるので、カッティングマシンを使えばアイデアを容易にカタチにすることができるというわけです。
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限られた時間の中で集中して取り組んでもらい、あっという間に機械の使い方と段ボールの専門用語を習得、活用していました。意欲がすばらしい!👏
【STORY4】試作・試作・試作…頭をひねって産み出した!”ジョイント”
ここからは学校で図面を作成する→会社で試作をする という活動を繰り返していきます。まずはミニチュアサイズでプロトタイプを何種類も作っていきます。
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パーテーションのイメージは、中で大人が2人程度座れるスペースがあり、プライバシーが確保されるもの。ER.様からは「具体的なペルソナを描いて進めると方向がブレない」というアドバイスを頂き、授乳室や着替えにも使えるようなもの。という内容で進めていくことになりました。
試作していくとスキマが出来てしまったり、組み立ててもすぐばらけてしまったりとなかなかうまくいかない時もありました。
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そんな産みの苦しみを味わう中で2人が思いついたパーツが "ジョイント"です。ジョイントを生かすと、大きな段ボールであってもスキマなく組み合わせることができ、倒れにくい状態で起立させることができました。
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ジョイントさえあれば、例えば被災地に送られてくる救援物資を入れていた段ボール箱を使ってパーテーションが作れるかも…!?アイデアが加速します。
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NEXT…ものづくりは次の段階へ。被災地訪問から見えてくるものとは。
プロトタイプでの試作で目途が立ってきたので、実寸でのものづくりに移行します。実寸で作ってみるとその迫力と可能性を感じてワクワクが止まりません。と同時に…「本当にこれは避難所で役に立つのか?」「被災地で求められているサイズはどれくらいだろう?」といった疑問点がわいてきます。
イメージでしかないユーザーのニーズ部分が不確かになってしまうのです。また、最後ドアをどのようにつけるか?など細かい部分の調整など、粘り強く、試行錯誤していくプロセスが発生してきました。
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そんな中、ER.の松本さんから「実際の被災地を訪問してみますか?」というご提案を頂きました。松本さんのもつ人とのつながりの中で、能登の震災被災地を訪問することができるかもしれないとのこと。
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現地のボランティアの方から、現地情報などをいただき、訪問前に現時点で出来るベストの試作を制作しました。
想像でしかなかったユーザーの生の声を聞けるチャンスとあって、お二人からは「行ってみたいです!」という意思表明。2025年1月、前野段ボールと学生2名で被災地を訪問することになりました。
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四日市工業高校ものづくり創造専攻科卒業制作×前野段ボール活動記録【後編】へ続く。