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ライトノベル11話






あらすじ: あら‐すじ【粗筋/荒筋】 
およその筋道。あらまし。概略。特に、小説・演劇・映画などのだいたいの内容。梗概(こうがい)。「前号までの物語の―」





    【魔王様は倒されたい#11】





死亡から一分以上、蘇生魔法をかけられなかった為に、うっすらと消えてゆく勇者パーティーを見ながら、私はただ彼らの周りでアワアワ、アタフタしていた。



「あぁっ、、!なんか、なんかごめん!!」

「頼む!消えんといて〜!!」

「いや、よく考えたら私は何もしてないけど、なんかごめん!」

何も出来ずウロウロ歩き回りながら弁明する、魔王の周りで倒れている彼らは、体から立ち昇るホタルの様な光に包まれ、さっきよりも薄く透けて、消えつつある。


「来て、すぐ自爆して、、何しに来たんよ??倒してくれよ〜」


「そういや君ら、俳優の名前叫びながら突っ込んで来たの何やったん??」

魔王の周りで倒れている彼らは、ホタルの様な光に包まれ、さっきよりもかなり薄く透けて消えかけている。

「勇者、最後『そうか!分かったぞ!!』って言って、ただ体当たりして来てバリア当たって死んだけど、アレ“分かったぞ”って何やったん??」


「あぁ、でもわざわざ倒しに来てくれたのに、ゴメン〜!私が余計なリフォームをしなければ、、、」

倒れている彼らは、ホタルの様な光に包まれ、さっきよりもかなり、かなり薄く透けて消えかけている。

「あぁ、助ける事も出来ず、ごめんよ。。」

彼らは、ホタルの様な光に包まれ、さっきよりもかなり、かなり、かなり薄く透けて消えかけている。

「、、、、、なかなか消えへんねぇ!!」

船の上からクラゲ見つけるくらいに、うーっすらと見える。

「おる??、、おる、、なぁ。うん。まだ居てる!!めちゃくちゃ薄くやけど居てる!!よく見たら鼻あたりのパーツ見えるもん」

なんか、もう言いたい事も一通り言ったので、なんか気まずい。果たして、消え切るまでこの場に居なアカンのか??

「、、、この、暴力 殺(ぼうりき あやめ)ってヤツ、目だけバッチリくっきり残ってるぞ!!
全身、均等に薄くなっていけや!あと目を閉じろ!!」


「一瞬、濃くなったヤツおった!!」

「うわうわ!!、、凄い凄い!!
童子切って人、今まで体から少しずつ出ていた蛍の様な光が、一瞬ものすごく出て、、、、、全く何も変わらんかった!」

「あ、自転車も光に包まれて消えていくんや。。」

「勇者から出る蛍の光が1番汚ねぇ色しとる。」

「雪姉って人、10秒に1回のペースで一瞬だけ濃くなるヤツなんやねん!?」

「勇者から出る蛍の光は、たまに上に昇らずボドって床に落ちる光があるな。。」




そこから18分後、ようやく魔王の独り言はおさまった。




「、、、知らんかったけど、あんなゆっくり消えてくねんなぁ。。
暴力ってヤツ、最後もう目だけになって、目が浮いてドアから出ていったし、、」


そして、また勇者のいない退屈な魔王の間に戻ってしまった。


あぁ、なんて事だ。
不要なリフォームなんてしなければ、今頃私が約20分くらいかけてゆーっくり消えれていたかも知れないのに。。

と、思っていると、ツェシが部屋に入って来た。

「魔王様、初勝利、おめでとうございます。
あれ??アイテムは回収しないのですか?」


「アイテム回収??」


「ええ、勇者達が倒れた場所に残ってますよ」

本当だ。よく見ると、彼らが倒れていたそれぞれの場所に、豆電球くらいの小さい光がある。

ソレに近づいて拾ってみると、次々とウィンドウが開いた。

【武器:五月雨の剣を獲得】
【防具:五月雨の盾を獲得】
【武器:烈火の剣を獲得】
【防具:烈火の盾を獲得】
【防具:貴族の鎧を獲得】
【防具:貴族の小手を獲得】
【防具:貴族の具足を獲得】

「うおっ!!何や!?一気にいろんなレアアイテムが!!」
「はい。倒したプレイヤーの持ち物が全て獲得出来ます」

【防具:鳥貴族のシャツを獲得】
「うおっ!ただの居酒屋の制服もらった」

【アイテム:空気清浄機のフィルター×47を獲得】
「うわっ!コイツら城の空気清浄機のフィルターパクってやがる!!」

【アイテム:目薬×4を獲得】
「あっ!コイツ、全然目薬持ってなかった!!弱点が分かっても結局無理やった!!」

「コレが魔王様の特典とでも言いましょうか。
獲得したアイテムは、売っても良いですし、魔王城の宝箱に入れて客寄せにしても良いですし、プレイヤーに戻った時の為に残しておいても大丈夫です。」

「うわっ!!ザックザクや!!普通、モンスター倒しても1-2個しかアイテム落ちへんから、持ち物全部貰えるのは気持ちいいなぁ〜」

「勇者は五人組だったので、あと四箇所ありますよ。急いで回収しなくても消えませんのでご安心を。では、私は仕事がありますので失礼します」

「仕事?立ってるだけなんやし、この部屋で話し相手になってよ、、ってもう居ない。」

と独り言を言いながらアイテム回収に励む。
「しかし、このパーティー、全員目薬持ってなかったんかい!もしかして、入り口前に立ってるツェシに売却したんか??」

ふと、チラッと部屋の一角に目をやる。

(私のパーティーメンバーが倒れたのはあそこらへんだが、、何もアイテムは落ちてないな。
ま、そうか。彼らを倒したのは前魔王だし、、、)

なんて思っていると、扉の向こうから何やら声が聞こえる。


『何?ずっとこっち見てるねんけど??怖い怖い!!』
『もう、行こう!!』

     「え!?!?」


思わずうわずった声が出た。
本日、2組目の勇者パーティーだ!!!

そして扉が開くとまた絶望感に襲われた。
本日、2回目の鍋のフタが飛んできたからだ。


       【続さ】



あとがき: あと‐がき【後書(き)】 
手紙や文章・著書などの終わりに書き添える言葉。跋 (ばつ) 。⇔端 (はし) 書き/前書き。

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