袖擦り合うも〜くだものかふぇ・小野寺聡さん〜
「届け、産地の想い。」
この言葉に全てが集約されていた。
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大分を拠点に九州各地で搾りたてのフルーツジュース専門店を展開する「くだものかふぇ」代表の小野寺さんとご縁ができて先日勉強のために大分に行かせて頂いた。
お忙しい中僕たちが会ったらいい方、行くとヒントになるような場所を2日かけて色々とご案内してくださった。
その時の模様をこのnoteで何回かに分けて書いていく予定で初回は「くだものかふぇ」小野寺さん。
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愛媛県、八幡浜港からフェリーで別府に到着して土地勘も位置関係も分からず連れて行って頂いたのが「くだものかふぇ大分駅店」さん。
普段田んぼに囲まれた所でお店をしてる僕たちからしたら、凄まじくピカピカした場所で、しかもオシャレな駅構内の目立つ場所に位置していてただただ驚くばかり。
店頭のショーケースには九州を中心に育った色とりどりのフルーツがカットされ整然と並び、見てるだけでも充分楽しく、飲むとほんとおいしかった。
ただ考えてみるとフルーツをカットしてこの形でディスプレイしようと思っても、自分だったらロスになってしまうのが怖くて写真で代用したくなるだろうし、提供スピードを上げるのが目的だったら、小さく切ったものを冷蔵or冷凍しておいて対応する事もできたはず。
カットしたフルーツをカップに入れてショーケースに並べるのは効率とかではなく産地に足繁く通って生産者さんと関係性を築いて来られた小野寺さんの決意、覚悟のようなものの現れなのかと後から思った。
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全てのものには「相場」という自分の力だけではコントロールできない価格帯があって、商売をしていく時にはその相場が助けにも、また足枷にもなり得る。
業種によるのかもしれないけど相場というのは生産する側、サービスを提供する側からからすると往々にして安い。
特に農業は気候や温度、昨今頻発する異常気象の影響をもろに受けるし、生産者さんの元に通えば通うほど、おいしく楽しい瞬間だけでなく厳しい現実や切実な場面に遭遇する事も多々あったと思う。
丹精込めて育てた作物も相場という尺度で判断されてしまうから、その相場を跳ね返し、どれだけ熱意と愛情を持って生産者さんと関わりながら事業として進めていけるかはその人の懐の深さ、優しさによると思う。
僕からしたら恐ろしい程に生産者さんに振り切ったように思えるあのディスプレイは小野寺さんの「たくさんの方に知ってもらいたい」という心意気とそれがくだものかふぇ全店で展開されている事でどれだけ生産者さんは勇気ややりがいを持たれてるかと思う。
くだものかふぇさんのウェブサイトの冒頭「届け、産地の想い。」というコンセプトは伊達でも何でもなく、切実なまでに正直でそれが1番端的に表されてるのがあのショーケースの果物たちだったように思う。
お店というのはもうメッセージそのものなんだな、と。
翻って自分はどこまで真摯にやれているか。
できる事はまだまだあるし、もっと丁寧に、もっと謙虚に、仕事に望んで行かねばと思わせてもらう機会となった。
「くだものかふぇ」さんウェブサイトはこちらから。