人生を豊かにする香り
“香り”と“記憶”は深く結びついている、とよく言われます。
私の話ですが、人混みの中を歩いていて、すれ違いざまにある香水の匂いがすると、昔付き合っていた人との思い出がフラッシュバックします。
スーパーに入った瞬間に焼き芋の匂いを嗅ぐと、湘南のグローサリーストアで毎日大量の芋を洗っていた日々を思い出すのです。
小さい頃から鼻はよすぎるくらい良い方で、今でも甘ったるい香水の、いわゆるデパートの化粧品売り場みたいな香りが苦手です。
友人が「異性を好きになる決め手は“匂い”かもしれない」と言っていて、なるほど、一理あるな と思いました。
まとっている香りの好みが似ている人はそれだけで好感がもてますし、一緒にいて自然と心がほどけていきます。
私が自分の好きな香りを特に意識するようになったのは、一人暮らしを始めてから。
今は実家に戻っていますが、当時愛用していたポプリがあります。
世界最古の薬局、サンタマリアノヴェッラのポプリ。
今Amazonで検索したら、恐ろしく値上がりしていたのでかなりショックを受けているのですが、このスパイシーで独特な香りが本当にだいすきです。
なぜ好きになったかというと、私が好きなお店にいくと、ことごとくこの香りがしたからです。
「好きなお店全部おんなじ香りがする・・・どういうこと・・・」
ある時どうしてもこの香りの正体を知りたくて、お店の方に伺いました。
すごく気さくな方で、親切に袋を出してきてくれ、おすすめの使い方まで教えてくださいました。
なかなかなお値段で思い切って購入しましたが、本当に買って良かったもののひとつです。
家に帰るとほんのり香り、「ああ、自分の場所へ戻ってきた。」とほっとしました。
目に見えないものに包まれる安心感。
目に見えないものだからこそ、おそろかにしてはいけないと思っています。
暮らしの中で、香りを楽しむ場面はたくさん存在します。
コーヒーを淹れるとき。お花に水をやるとき。ホットケーキを焼くとき。アロマキャンドルやお香を焚くとき。オイルマッサージをするとき。ハーブティーを飲むとき。炊き込みご飯が炊けたとき。ハンドクリームを塗るとき。
お気に入りのルームスプレーを買って、気分転換したいときにシュッと吹きかけるのもいいですね。
自分はこういう香りが好きだ、というセンサーが研ぎ澄まされていくと、その香りに出会えた時の嬉しさはかなりのものになります。
ベトナム・ダナンで泊まったホテルのアメニティのボディクリームが、本当に今まで出会ったことのない、ジャスミン系のような・・・でもスパイスが入っているような・・・たまらなく良い香りでした。
好きすぎて持ち帰ってからもちまちま使っていたのですが、少し前にオーストラリアのパースの雑貨屋さんでまさにその香りのオーデコロン(しかもオーガニック)に出会い、一人で感動して即買いしました。
ちなみに私はちょっと土っぽい、スモーキーで癖が強めの香りもだいすきなのですが、例えばAesopのハンドクリームだとピンクより断然水色派です。
ついつい話が長くなってしまいましたが、
香りは私の人生を豊かにしてくれる宝物です。
好みが似ているかも!という方がいたら、こっそりでもいいので教えてくださいね。おすすめなどもあったらぜひ。
いくらでも語り合える気がします・・・
maekon
▼余談
なぜ急に香りの話をしたかというと、今日友人がお手紙とともに写真の香り袋を送ってくれたからです。
京都の老舗、松栄堂の誰の袖、うつ蝉。
以前彼女に教えてもらって知ったこの香り。自分では到底出会えなかったであろうジャンルの香りで、これはこれでとても好きだという発見にもなりました。
香りのプレゼントって、結構勇気がいりますよね。
だからこそもらったらとても嬉しいし、自分と好みが似ているなぁ、という人は不思議と大抵匂いの好みも似ている気がします。