理性が切れて・・・
翌日。
「れいちゃん、出かけるの?」
「うん!今日、**ちゃんの家に泊まるかも!」
「**ちゃん?あー!あの子ね!分かった!親御さんに、お世話になりますって連絡入れたほうがいいかしら?」
「いやいやいや!そんなの今どき古いよ!やめて!」
「ははー!そうなのね!分かった!また**ちゃん連れてきてね!」
「うん!ありがとう!」
母に罪悪感を覚えながらも、私は○○駅へ向かった。
約束の10分前に到着し、車で来るか、歩いてくるか・・・
ソワソワしながら待っていた。
一台の車が私のそばに停まった。
あきとさんだ。
「乗って。」
「うん。」
車であきとさんの家に向かうまで、ほんの数分。
会話はなかった。
家に着いて、初めてあきとさんの部屋へ入った。
「なにか飲む?お茶でいい?」
「うん、何でもいいよ。ありがとう。」
冷蔵庫からペットボトルを取り出し、グラスと共にテーブルへ置く。
「「・・・・」」
一瞬なのに、長く感じる沈黙。
切り出したのは、あきとさんだった。
「こないだは、本当に、ごめん。」
「ううん。もう気にしてない。こんなに忙しいんだから、時間あるときくらいお酒飲みたくなるだろうし、あのときは分かってあげられなくてごめんね。」
「いや、俺が悪い。俺が会いたいって言ったのに、話せる状態じゃなかったよね。」
「・・・あきとさん、なんかあった?」
「え?」
「なんか、悩んでる?」
「・・・考えすぎ。ただ酔っちゃっただけ!」
「そっか。何でも言ってね。私、あきとさんにたくさん助けてもらったから、私も助けたいって思ってるし、応援したいから。」
「ありがとう。そう思ってくれているだけで、俺は救われるよ。ほんと、ごめん。」
私の顔を見ずに、目線を下に落としたまま、そう言った。
いつもの、いつものあきとさんに戻って欲しい。
その一心で、私は、あきとさんを覗き込むようにキスをした。
「・・・れいちゃん。」
やっと、彼が目線を合わせてくれて、黙って私を抱きしめた。
「あきとさん、大丈夫?辛いの?」
「・・・辛い。もうどうしていいか分からない。」
「・・・どうしたの?」
「好きなんだよ。大好き。本当に失いたくない。」
あきとさんの抱きしめる力が強くなり、私もそれに応えるように強く抱き返す。
「・・・あきとさん、いいよ。私。」
「・・・何が?」
「・・・覚悟できてるよ。」
一旦私を離し、子犬のような目で私を一点に見つめる。
あきとさんの首に私はキスをした。
動かない、あきとさん。
唇にキスをする。
あきとさんの舌が私の口内に入ってきて、絡み合う。
息継ぎと同時に目が合って、
「・・・俺の理性、どっかいっちゃうよ。止めるなら今だよ」
「止めないで。今日はずっと一緒にいる。」
「・・・ベッド、行く?」
「・・・ベッド、どこ?」
「廊下出て、すぐのドア・・の先」
「近そうだから、行く。」
そう言うと、あきとさんは、私の手を握り、
寝室まで連れて行った。
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