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#24 なぜ、地域の問題が国政につながっていくのか(後編)

Q,中野区・杉並区の問題解決をなぜ国政が関わって解決する必要があるの!?


中野駅といえば中野ブロードウェイ

こんにちは。黒崎祐一です。
前回の「なぜ、地域の問題が国政につながっていくのか」の前編を公開しました。今回は、その後編です。
先の衆議院選挙で、私は「中野区・杉並区の問題を地域目線で解決したい」と訴えてきましたが、「なぜ、国政で地域の問題を解決しなければならないのか?」という疑問をもたれる方がいらっしゃったのです。その問いに答えていきましょうというのが、前回と今回の主旨になります。

ぜひ、前回も合わせてご覧ください。
>>「なぜ、地域の問題が国政につながっていくのか」(前編)

前編では、地方の問題を解決するには、地方自治体単位で考えていては難しく、その根底には財政的な問題や法律的な制約があるということを書きました。
では、どのような影響があるのかという点から、この問題を掘り下げていきましょう。

■地方自治体で問題解決できない時、大きく影響するのはどのような問題?

地域の未来ということを考えると、大きな問題として1つ挙げられるのは再開発事業についてです。
例えば、建物の老朽化などで、地方自治体の所有する土地が空いた状態になったとします。
地域の未来ということで考えれば、その土地の活用方法において、「この土地を、地域の未来に向けてどのように展開させるべきか」という側面が求められ、より良い未来を築ける方策をとっていく必要があります。
その地域において、積極的な土地の利活用を進めていくかどうか判断をする場合、その地域の首長の判断によって大きく分かれるところです。
時には、地域の発展よりは目の前のお金という発想になってしまいかねません。どういうことかというと、地域全体を発展させるというビジョンが見えにくいと「どうすることでより国や都の補助金や制度を活用できるのか」という視点のみで再開発を考えるようになります。
首長に、長期で地域の未来を見据えたビジョンがないと、本来ある必要がない公共施設などを、補助金目当てで作ってしまうということがおきます。結果、何かしらを作った体にして今をしのごうという結論が出てしまう…。それで良いのでしょうか。

中野区、杉並区は23区の中でも、国とのパイプが比較的細い地域だといえます。
特に中野区は、国道がなく、国営の施設もない地域というのも1つの理由です。国道1号線や国道246号のような大きな国道があると、幹線道路を骨組みとした大きな視点の都市開発に組み込まれますが、そういったものがありません。かといって、前回に都区財政調整基金の話もしましたが、財政的にも独立しておらず、独自の運営をしていくことができる財政状況でもありません。
中野区、杉並区でいえば、自治体独自で発展することができず、かといって国や都とビジョンを共有した再開発も積極的にできていないというのが現状です。
また、もう1つ、東京27区は与党の国会議員がいないことも理由の1つに挙げられるでしょう。

■長年、放置されている西武新宿線の立体交差工事事業

特に工事が遅れているのが、西武新宿線の中井・野方間を地下化する部分です。工事計画が発表されたのが2011年、着手されたのが2014年。事業施行期間も途中で延長されています。周囲の住民の方々にとってご不便な状態が続いています。
当事業についても、国や都との連携不備の問題が関係しています。この事業自体、国と都と関連区が事業費の一部を負担している東京都主導の投資計画事業です。中井・野方間については、中野区も事業費を負担していますが、この部分の工事の遅れに関しては、都や西武鉄道に対する中野区の関わり方にも問題があると思われます。
中野区側から積極的に働きかけなければ、施工時期が延ばされたり、施工順序を後回しにされるということが出てきてしまっても不思議はありません。
つまり、このような場合に、その地域の問題を考える国会議員というものが必要とされることになります。都や民間業者が絡む問題の解決は、熱意のある一区議会議員が動いても、なかなか解決には至りません。しかし、国会議員という立場から問題働きかけることで、物事の調整が進み、スピーディな解決が望めるのです。

では、中野区、杉並区が財政的にも向上して、発展していくためには、どのようにしていくべきなのでしょうか。
まず地域の未来のビジョンを、国や都といった大きな枠組みのビジョンと共有するということが求められます。つまり、国や都と足並みを揃えて、地域の未来を長期的な視野で作り上げていくということです。
そのための方法としては主に2つあります。
1つが、もともとある大きな流れに乗る方法。そして、もう1つが、地域側から国や都に対して示していく方法です。

まず前者の方ですが、例えば、近年でいえば最も大きな国家的事業として、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)がありました。その際には1兆4238億円ものお金が動きました(大会後の6月に公表)。
国会では、「令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」が作られました。その結果として、東京都にお金が集まりました。では、中野区・杉並区が何をするのかという話になれば、会場自体がないため、東京2020大会に関連した体育館や運動施設を作ろうかという話になっていきます。
その際にも、国会で審議されて決定し、東京都が予算を獲得していくという流れがあり、各区はその流れに乗る形で開発ビジョンを描いていくことが求められるわけです。
ビジョンを共有するため、国や都との調整役をするため、やはり国会議員という立場が力を発揮します。

■地域から国や都に対して示していく方法とは?

では、地域の発展のための事業を、国や都という大きな枠組みの中で共有していくためには、どうしたら良いでしょうか。
まず、地域から国や都に働きかけていくためには、大義というものが必要になります。
例えば、区議時代に携わった事業を例に説明しますと、2017年に開催した「秩父宮みなとラグビーまつり」があります。ラグビーワールドカップ2019日本大会の日本開催を機に発足したイベントですが、その際に大義として掲げたのは「国際交流」でした。ラグビーの国際親善試合を中心としながら、朝から晩まで地域全体でスポーツを楽しめる時間と空間を作り出しました。
スタジアム通りを歩行者天国にして、海外からスーパーラグビーのチームを招聘し、地元のサントリーサンゴリアスと試合をするビッグイベント。開催することができたのは「国際交流」という大義によって、国や都とのビジョンの共有ができたからだと思います。

再開発においても、国や都の中で、中野区、杉並区がどういった役割を持つのかという視点が重要となります。国や都とビジョンを共有できれば、そこに地域が発展していくイメージが生まれます。地域が発展していくイメージが生まれればデベロッパーの参入を呼び込むことができます。デベロッパーは、時間、労力、資金といったその地域に投じるコストに対するリターン、商売としてのポテンシャルを感じて初めて動くものです。
つまり、大義とビジョンのもとに行政と民間を繋げることで、そこに地域が発展するイメージが生まれ、具体的に現実化していくのです。

しかし、現在の中野区・杉並区は、地域が活性化し発展していくという未来への動きが停滞してしまっていると感じます。
その表れの一つに、行政の手続きにかかる時間が長いという点があります。民間業者が関わるイベントの計画が立ち上がったとき、決裁が下りるまでに時間が経てばそれだけ民間業者のポテンシャルも下がってしまいます。他の地域では、1日で決裁が下りるところもあります。
スピード感のなさにより、発展を阻んでしまうのは非常にもったいないことです。

■地域が発展する流れを作るため、政治家から行政への働きかけを

地域を活性化するためには、政治家が音頭を取って規制緩和を進めることが必要です。
規制緩和という部分で、最近、なるほどと思った話があります。
韓国の映画産業の話です。韓国映画を観ると、演出のリアリティさに驚かされるものがありますが、そのリアリティさを生み出している要因のひとつに、ロケ撮影を多用するという面があります。
例えば、裁判所。セットではなく、実際の裁判所を使って撮影をしているのです。ロケで撮影できるのであれば、セットを作る時間もコストも不要です。
なぜそれができるかといえば、国が率先して規制緩和を進めて、様々な場所をロケ地として開放しているからだといいます。
さらには、セットを作る費用を製作費や配役に回すことができることで、作品のクオリティも上がります。
国の規制緩和が民間産業の活性化に繋がっていき、それが国益にも還元されるという好例だと感じました。
国も地域も活性化していくためには、民間業者を行政が跳ね返してしまうのではなく、民間と行政が手を携えて、より良い未来を共に作っていくことが必要なのではないでしょうか。

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