バイオリウム
世田谷区上用賀にある東京農業大学の「バイオリウム」。
ここは、「進化生物学研究所」の展示温室です。
「食と農の博物館」の一部でもあり、博物館とセットで誰でも無料で入館することができます。
バイオリウムに入る前に見る動物たち
食と農の博物館の入口から入場し、博物館の展示の間を通って、バイオリウムへ行きます。
食と農の博物館の展示は、農業や酒造に関する昔の資料、スケッチ、道具などがメインですが、生体展示も少しだけあります。
博物館に入ってすぐのところにいる「ナギナタナマズ」。
ヒレをヒラヒラさせて、名前に似合わず優雅です。
バイオリウムの入口前にいるのは、「スナネズミ」。
よく寝ているけれど、こちらの気配を感じると、ぴくっと起きて、また寝ます。
熟睡できないのは、やっぱり、捕食される側の動物だからでしょうか。
バイオリウムに入りましょう。
ケツリクガメ
温室に入ると、右手のレムールの檻とその手前の柵の間の通路に、大きなカメがいます。
ケツリクガメ、体重50kg。
2021年の6月に来た時は、活発に通路を往復していました。
同年10月の暑くも寒くもない日に来た時は、通路を少しだけ歩いた後、ヒーターの前でじっとしていました。
変温動物のカメ。
これくらいの気温でも、暖を取る必要があるのか、、と思いました。
今年の10月に来た時は、気温26℃。
バイオリウムの中は少し暑いくらいでしたが、ケツリクガメは、やはり、ヒーターの前でじっとしていました。
レムール
ケツリクガメの後ろの檻にいるのが、ここバイオリウムの主役、レムール(キツネザル)。
ワオレムール、クロレムール、ブラウンレムールがいます。
クロレムールは茶色っぽく、ブラウンレムールは黒っぽいので、分かりづらい…
檻の中のレムールと目が合います。
きれいな目。
「レムール」は、キツネザルの学名・洋名で、ラテン語の「お化け」が由来。
ここ、進化生物学研究所のバイオリウムでは、キツネザルを、かたくなに、「レムール」と呼ぶことにこだわっているそうです。
それは、研究所の創始者である近藤博士が、何の動物だか分かりづらい「キツネザル」という呼称に違和感を持っていたからだとか。
キツネザルの中には、「イタチキツネザル」や「ネズミキツネザル」なんていうのもいるので、たしかにそれではもう何の動物だか分かりませんね。
レムールの故郷、マダガスカル島には、107種ものレムールの固有種がいて、そのうち103種が絶滅の危機にあるといいます(2020年データ)。
進化生物学研究所は、1960〜70年代に4次にわたるマダガスカル動植物学術調査隊を編成し、多くの学術資料を持ち帰りました。
その中に、生きたレムールがいました。
今ここにいるレムールたちも、彼らの子孫のはずです。
長年にわたり、ここで飼育・繁殖されたレムールの寿命や産子数の記録は、分子分類などの手法が発展を見せる今でも、貴重な研究実績となっているそうです。
フトアゴヒゲトカゲ
温室の奥に小屋があります。
以前、この小屋の中の棚の上には、「フトヒゲアゴトカゲ」がいたのですが、お引越ししてしまったようです。
会えなくて残念。
ニワトリ
バイオリウムを見終わって、博物館を出て、最後に、出口(入口)前の檻にいるニワトリを見ましょう。
「トウテンコウ」と「カツラチャボ」。
朝でもないのに、掛け合いをするかのように鳴き合うニワトリたち。
低音のコーケコッコー。
それが終わるのをちゃんと待ってから、高音のコーケコッコー。
そんな彼らを大いに気に入ったらしい、小さな男の子が、檻の前に張り付いて、ずっと中を見ていました。