バンドン観光その四 ミュージアムめぐり
バンドンにはいくつかミュージアムがあります。一番有名なのがアジアアフリカ会議ミュージアム、他にも地質学ミュージアム、グドゥンサテミュージアム、郵便ミュージアムなどです。
読者の皆さんにとってはあまりご興味のないところかとは思いますが、バンドン観光の目玉の一つですから、書かないわけにはいきません。
■ アジアアフリカ会議ミュージアム
まずはここからですね。すばらしいことに外国人でも無料です。
実際に会議が開かれた建物を利用したミュージアムになっており、会議に参加した首脳の蝋人形がお出迎えです。
各種資料が展示されており、英語・インドネシア語併記です。またアジアアフリカ会議開催にいたるまでの会議や、会議参加者、会議の演説内容などが展示され音声も聞けます。
アジアアフリカ会議は、歴史の授業でお勉強された方もいらっしゃるかと思います。世界からとるに足らない小さな存在として無視されがちだった、新興途上国たちが一致団結して、存在感を示した会議でした。現代にも通じる平和10原則が採択されています。
開催されたのは、インドネシア独立からわずか8年後の1955年4月。
当時はアメリカ対ソ連の冷戦構造、資本主義対共産主義の東西対立があり、ベトナムではドミノ理論をもとにアメリカが介入を深めるタイミングでもありました。
アジアアフリカ会議のことは事前に予習しておいたのですが、展示内容はネガティブなことや批判的なことは避けて無難な内容にしているなと思いました。
当時の東西対立の背景とか、中国を呼ぶなら日本も呼べとなったとか、日本から参加した大臣が、アメリカの顔色を窺って明確なポジションを取れずいまいちだったとかは書かれていません。
会議の開催にアメリカが難色を示したけれどヨーロッパ諸国の説得で翻意したとか、当時の情勢を理解するのに有益な情報と思うのですが、展示内容にはありません。
展示ホールを見終わって奥に進むと実際に会議が開かれた会議室にも入れます。ここは写真を撮る人が多いです。
わたしは偶然入った男性用トイレがかっこいいなと思いました。
【後日談:2024年4月追記】
このトイレはすっかり改装され、かっこいい便器はなくなっていました。写真を残しておいてよかった。
■ 地質学ミュージアム
インドネシア人にはアジアアフリカよりこっちの方が人気です。休みの日は何してんの?とクラスメートに聞かれ、ミュージアム巡りをしているんだというと、いいね、Geologi(ゲオロギ)か?と言ってきます。
レプリカですが化石標本があるのと、展示が近代的でとても分かりやすいので人気なんでしょう。
ここの歴史は非常に古く、オランダ植民地政府が石や鉱物の標本保管と地質学の実験のために1928年に設立しています。よくある昔の建物を利用して博物館にしたのではなく、最初から博物館として建てられているのです。
日本占領時は”地質調査所”に名前が代わり、利用されていたようです。バンドン動物園の二の舞でまた放置されたかと思っていたので安心しました。
まあインドネシア占領の目的が石油をはじめとした資源だったわけですから、地質調査はやりますよね。
1998年に日本のJICAの支援のもと一般に開放する今の展示タイプになりました。
入場料は外国人10,000ルピア、インドネシア人5,000ルピアです。
■ グドゥンサテ ミュージアム
グドゥンサテ(やきとり館)と呼ばれる立派な建物が博物館になっているものです。サテ=焼き鳥という名前がついているのは、屋根のてっぺんにサテが刺さっているように見えるからとの謂われがあります。
ここは無料です。
この建物は1924年に建てられた当時最大規模を誇った建物です。西洋建築とローカルの宗教観をミックスさせた意欲的な折衷デザインで、インドネシアを代表する建築物と言われています。
この建物以外にもオランダ植民地時代に建てられた建築物は数多くあり、当時の最新のトレンドを反映したデザインが多いらしく、交換留学生できているオランダ人によれば、オランダの建築学で植民地時代の建築を専門にやっている方もいらっしゃるようです。
いまだに知られていない建物もまだたくさんあり、インドネシアに来て調査していた学者が、今度オランダで本を出版するらしいとオランダ人学生が言っていました。
展示物は当時の歴史、建物がどうやって建てられたか、7人の青年が殺された事件(日本敗戦後にオランダ軍が攻め込み、グルカ兵(ネパール)の傭兵部隊がグドゥンサテを占領しようとしたのに抵抗して殺された)の話とかです。まったく知らなかったです。
ここはしょっちゅう閉館しています。
■ 郵便ミュージアム
改装工事中で入れませんでした。
■ おすすめの観光コース
(1)アジアアフリカ会議博物館を見て、すぐ近くのサボイホーマンホテル(安いので泊るのもお勧め)を見て、ブラガストリートをぶらぶらする。
ブラガストリートはバンドン観光の目玉です。一応銀ブラみたいな感じのイメージになっている観光地です。休日ともなればBナンバー(ジャカルタナンバー。バンドンナンバーはD)の車が列をなしてこの通りをのろのろと走っています。
観光バスもあります。まだ乗ったことはありません。
土日くらいは思い切って歩行者天国にしたらいいのにと思っています。
(後日談:土日は歩行者天国になります。その代わり歩けないほど混みますのでご注意あれ。治安が悪いとかはありません。)
バンドンはアートの町として知られており、ブラガ通りにもアートを感じる場所はあります。
あと近くに大きなモスクがあります。高いところが好きな人は、ここの塔に登ってみるのはどうでしょうか。
わたしは人込みが苦手なので、ぎゅうぎゅう詰めになりそうな予感がして避けました。
アジアアフリカ会議博物館から、モスクに向かうアジア・アフリカ通りは、お化けの恰好をした人たちが集まります。
一緒に記念撮影をしてチップをもらうという商売をやっています。
わたしは撮ったことがないので、チップの相場はわかませんが、記念にいかがでしょうか。
(2)グドゥンサテ、地質学ミュージアム、郵便ミュージアムは至近なので、3点セットで見るとよいです。
馬車や馬に乗る人たちもいます。わたしは乗ったことがありません。
この周りには土日になると露店の洋服屋が立ち並び、見て歩くのもおもしろく、またかなり安いとクラスメートに聞きました。
「いいね今度行ったときに買おうかな」と言ったら、「あんたは見た目外人なのでぼったくられるから止めとけ」と言われました。
バンドンに来てからまだぼったくられてないんですが、やはり観光地に行くとぼったくりが多いみたいですね。
ぼったくられるといってもせいぜい数百円の話ですから、恵まれない人に寄付をしたと思って、大らかな気持ちでいていただければと思います。
以上となります。