国境開放の流れで世界から取り残される日本
下の記事の続きです。
この記事で書いたのは、「日本人なら現在アメリカにはPCR陰性証明だけで入国できる。EUは何の証明も無しで入国後隔離無しの無条件入国を認めるだろう。アジア諸国とオセアニアはすぐには開放しない。」という私の予想である。
その後、6月2日に日本人なら無条件で入国を認めることをEU委員会が決定した。
これはあくまで加盟各国に対する勧告であり、実際の入国条件を決めるのは各国の判断に委ねられている。フランスやドイツではPCR陰性証明があれば隔離無しで日本人の入国を認めることになった。
そしてEUは、「ホワイトリスト」と呼ばれる無条件で旅行客を受け入れる国のリスト(日本も含まれている)にアメリカも加えることになった。
Americans Can Pack Their Bags for Europe: EU Lifts Travel Curbs
この記事の中で、EUはアメリカ政府に対し、EU居住者もアメリカへの渡航を認めるよう要求していると書かれている。
もしこの要求をアメリカが受け入れれば、アメリカとEUの間は自由に往来できるようになる。アメリカは共和党州知事を中心にワクチン規制に反対する動きが強くなっているので、EU居住者の入国条件としてワクチン接種を課すことは、ないと思われる。
この決定の背景には、航空会社の経営を助けるという意味合いも強そうだ。欧米間の移動が自由になれば、欧米の航空会社の経営は相当楽になる。アメリカは経済再生に舵を切っているので、EU側の要求を受け入れるのではないか、というのが、私の予想である。
このように、欧米ではワクチン接種をきっかけに、ワクチン接種に関係なく自由に海外旅行ができるようになる動きが出来ている。
日本と欧米の相互間の移動をまとめると、アメリカとEUは相互に行き来が可能、日本人はアメリカ・EUに渡航可能、但し日本だけが欧米からの入国を禁止している、という状況になりそうだ。欧米間の行き来が活発になり、アジアは取り残される、との見方もできる。
日本国内では「ワクチン接種すれば海外旅行ができるようになる」と言う人も多いが、それはあくまでアジア・オセアニア地域の国がそうなるのではないか、という希望的意見でしかない。欧米には現在でもワクチン接種に関係なく、自由に旅行することができる。但し、帰国時の隔離措置は必要であるが。
日本でよく言われる「世界の動き」というのは、どこの国の話なのだろうか。多くの場合は「世界の動き」イコール「欧米の動き」である。ところがコロナ規制に関してだけは、「世界の動き」は「アジア・オセアニアの動き」になるのだろうか。
入国制限だけでなく、欧米ではマスク規制も解除され、多くの国で国民はマスクを外し始めている。こうした「欧米の動き」は、コロナ対策に関してだけは「世界の動き」として受け止めていないようなのが、私は不思議でならない。
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