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演劇

最初に書いた台本。

タバコの不始末で妻と娘失ったオッサンが遊園地のタイムマシンのアトラクションをジャックして「火事の前の晩に戻せ!」って無茶言ってたら偶然そこに超能力オバサンが乗っててタイムスリップできちゃう話。

「ヨーロッパ企画の『サマータイムマシン・ブルース』と『曲がれ!スプーン』組み合わせたら面白いんじゃね?」って書いた割には、当時どっちの作品も観たことないし、文化祭当日までTSUTAYAにすら行かなかった自分(中3)怖すぎるな!ちゃんと見ずに雰囲気で作るって●●●一じゃないんだから。ごめんなさい。『新解釈・三国志』ほんと、楽しみにしてます(まじで当日に見ます。『アオイホノオ』とか全然好きっす)。あとマイナビラフターナイトのCMの「らららど」ね。「『座頭市』見て泣きます」「すげぇ大人!?」会場爆笑。子供には分からずに大人が泣いちゃう映画のチョイスずれてません…?盲目の剣士の話ですよね。勝新が本物の刀使って撮影中にマジで斬っちゃったりした。あタケシの方ですか?タップの方ですか?なんか香取慎吾もやってましたよね?知りませんけど……「『私は貝になりたい』観て泣きます」「すげぇ大人」/「『ALWAYS 三丁目の夕日』観て泣きます」「すげぇオジサン」/「『恋空』観て泣きます」「すげぇ中学生」/『かもめ食堂』観て泣きます」「ど、どこで?」/「『シン・ゴジラ』観て泣きます』「さてはゴジラに感情移入してみているな」/「この世界の片隅で泣きます」「……はい」(いいの思いついたらLINEください)


演劇の話スタートでここまで逸れるとは。コロナ明けに見た新作の演劇の感想を書きたかったんです。コロナ明けに新作の演劇を3本観ました。映画は「観る→インスタのストーリーで感想まとめる→投稿→(24時間後)自動消去」っていうのを、鑑賞直後の熱を忘れないために今年入ってずっとやってるんですが、演劇はなかなか。ストーリーで見掛けたところで「へぇコレ面白いんだ!じゃあ観に行こ!……12000円のチケット選択!ロボットじゃありませんっと!」とはなんないだろうし。noteくらいの読まれ具合がちょうどいい。ザーッと書いてくんで、電車の中とかで流し読んでください。粗い文章なんでエンヤとか聴きながらだと、尚いいです。


三谷幸喜『大地』

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〈7月22日(水)13時の回〉

チケット12000円。まぁこのメンツなら致し方ないな。席はひと席空けだし、感染予防の経費もかさむから、どう考えても赤字なのに、よく上演に踏み切ってくださったと思う。文化の街「渋谷」の劇場として、勇気を持って先陣を切ったPARCO劇場に感謝。劇場の灯りを消すな。演劇界の存続を切に願いながら、エスカレーターを登ってPARCO劇場に到着。もう厳戒態勢。入り口に医者が2人立ってた。手はもちろん靴の裏までマットで消毒。1人目の入場者が渋谷でウ●コ踏んで来てたら、入場者全員が間接的にウ●コを踏んだ靴で観劇するんだろうな……2分前まで演劇界のことを考えてた人間の発想じゃないな。さては演劇界のことあんま考えてないな。「梨泰院クラス」のサントラ聴きながら書いてるし。甘んまいカフェオレにストロー突っ込んで飲みながら書いてるし。

開演前の三谷幸喜のアナウンス。築地小劇場で現代演劇の始まりを語ったあと「僕たちはかつてない状況の中にいますが、幕は再び上がります。役者がいて、観客がいて、台本があれば、演劇の火は消えることはないのです!」銅鑼ジャーーン……マスク着用、私語禁止の客席。その静寂を切り裂くように銅鑼の音が場内を満たして暗転。今回の三谷幸喜は当たりかもしれない。その答えは……

当たり!!!まずコロナ前に書き上げたという台本の設定。〈演じることを禁じられた俳優たちが強制労働されてる施設の話〉……半分ドキュメンタリーだもの。コロナで仕事が飛んで家の中で悶々としていた俳優たちが「演じる」ことを禁じられてる俳優たちを「演じる」。何この複雑な構造。収容所の中、等間隔に並べられた9台のベッド。舞台俳優、映画俳優、大道芸人、ダンサー、多種多様な俳優たちが織りなす会話劇。印象的だったのは第1幕ラスト、色々あって夕食の支給がストップした夜。役者たちがジェスチャーで食事を始めるシーン。1人が「ないワイン」を持って来れば、1人が「ないグラス」を差し出す。1人また1人と「ない料理」が「ないテーブル」の上を埋め尽くし、大きな宴となっていく。まさに演劇ならではのアプローチ!なんたる多幸感!お腹いっぱい!さらに第2幕では、三谷幸喜のお家芸「なりすましドタバタ作戦」も用意されてた。あざす!ゴチになります!拍手拍手拍手!アマプラの香取慎吾のヤツが全然ダメでも許します!(まぁまぁよかったです)


コンプソンズ #8 『WATCH THE WATCHMEN』

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〈10月4日(日)12時の回〉

東長崎駅徒歩30秒に劇場なんかあるのね。しかもキャンドゥの真横。radikoタイムフリーで『バナナムーンGOLD』(栗ご飯を食べる回)を聴きながら徒歩で行った。チケット2800円。無難中の無難(03のライブタイトルっぽい)。やや狭めの小劇場なことあってか座席はひと席空け……じゃない!座ってビックリ、右隣の席は招待席。箱馬の上に置かれた座椅子に張り紙〈御招待席 藤原基央 様〉……知ってる!思い出せないけど俺この人知ってる!左隣は〈御招待席 又吉直樹 様〉ん?後ろ〈御招待席 歌川国芳 様〉……悟った完全に悟った。と同時にやられた先にやられた。自分だったらどうするだろう。ここまであからさまに著名人にはしない。「佐久間宣行」とか「宮崎吐夢」とかワンチャン来てくれそうな人にして来場者をソワソワさせる。ソワレでソワソワさせる(思いついたゴメン)。

さて開演。私小説的なサッパリ目の前半から、虚実入り乱れ、虚も実も暴走&飛躍し始める後半へ。思想思想思想思想思想思想思想!猫猫猫猫猫!密密密密密!共感!ん?共感!ん?共感?ん!共感?ん!からの大団円グランドフィナーレ!コレハセンスナイトデキナイナ!……っていうグッチャグッチャ含めての演劇体験!1up!


ねずみの三銃士 第4回公演『獣道一直線!!!』

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〈10月8日(木)19時の回〉

そうコレを観てnote投稿しようと思ったんだ。生瀬勝久と古田新太と池田成志で結成された演劇ユニット〈ねずみの三銃士〉……演劇界の猛獣3匹にクドカンがホンを書き、河原雅彦さんが演出をつける企画の第4弾。恥ずかしながら生で目撃は初。初獣。絶対死なない同級生をブッ殺そうと、殺鼠剤の飲ませたりトリカブトを食わせたりと奮闘する『鈍獣』から16年。テレビじゃ決して出来ない「エグっい話」がテーマだそうで、前回は「北九州一家監禁殺人事件」をモチーフにした『万獣こわい』。今回は「木嶋早苗」をモデルにした保険金殺人事件をやるそうで……ダラダラ涎を垂らしながらPARCO劇場へ。検温、消毒、セルフもぎりを経て、客席へ。飛沫防止でA列は開放してないので実質最前。右の席にトートバックを立てかけてチラシを整理していると「あなた、席あってます?」「はいB-26です」「僕27なんだけど……」「あぁごめんなさい」慌ててバックを膝に乗せながら周囲を見渡すと……人人人人人!「人席人席人」でなく「人人人人人」……ひと席空けじゃない?……ない!ひと席空けずに、みんな隣同士。ついこないだまだ当たり前の光景がこんなに懐かしいとは。そして遠い未来だと思っていた真横の席に人がいる時代がこんなに早く来るとは。そっかコレが演劇コレこそ劇場。隣の席の人の柔軟剤の香り込みの演劇体験。何度振り返ってもPARCOの座席に敷き詰められた観客観客観客。もちろんマスクはしているけれど、もちろんみんな平熱だけど。場内の熱気が明らかに違う。

もう観劇日記なんて野暮なことはしません。1幕の幕開け演劇の幕開け。ヒロイン・池谷のぶえさんが〈ねずみの三銃士〉、そして我々観客に放った、クドカン魂の長台詞で、このnoteを締めます。



(以下、引用。ハイパーネタバレ)



いいが? 演劇界全体が今、苦境に立たされてんの。

マンガでねぇど。

せっかくリニューアルしたのに、何がソーシャルディスタンスだ!

詰めろ詰めろ! もっと詰め込め!

椅子がねぇなら 立ち見だ通路に座布団だ!

ってそうはいかねんだよ。

客が減ったら収入が減る、人員削減は必至だべ。

筆の遅い劇作家、主演女優と二人っきりになりたがる演出家、

そしておめえさん方のような、うすっぺらい中堅役者は、

淘汰される運命なのさ!

冗談じゃねぇ、こんなところで、つまずいてたまるか!





引用で締めておいてなんなんですが、

来年の2月11日〜13日、

空けといてもらえませんかね?


2020年10月10日 前田知礼


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