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22/23 フラム戦 パッキングレート
お久しぶりです、昨シーズン後半はあまりサッカー観戦してなかったのですが、育休に入ったこともあり、また観始めました!
シーズンオフの期間にいくつかサッカー関連の記事を読み、(いまさらですが)パッキング・レートに興味を持ったのでフラム戦を題材に調べてみました。
パッキング・レート
「パッキング・レート」は比較的シンプルな指標であり、これは感覚的にも理解しやすい。端的に説明すれば、それは「1本のパスで何人の相手選手を通過することができたか」を計測する
この指標は、2018年のW杯で結果と強い相関があることが証明されています。具体的にはドイツ7-1ブラジルの試合で、ボール支配率、シュート数があまり変わらない中、パッキングレートは明確な差がありました。
詳しくは上記のリンクをご参照ください。
今回このパッキング・レートを使って試合の分析をしてみようと思います。
パッキング・レートの出し方
パッキング・レートを考案したIMPECTの動画
とフットボリスタの記事
を大いに参考にして以下の条件でパッキング・レートを出しました。(大変なので前半だけ…)
前方向のパス、ドリブルが対象
パスの受け手が前を向いてプレーした場合、パスで通過した相手選手の人数が1人1ポイントで加算される
パスの受け手が前を向いてプレーしなかった場合、上記のポイントの20%が加算される
ドリブルで相手選手を通過した場合、相手選手の人数が1人1ポイントで加算される
パスの出し手と受け手に同じポイントが加算される(ドリブルの場合、出し手と受け手が同じになる)
例えば、AからBへ4人の選手を通過するパスが通り、Bが後ろ向きでプレーした場合、4ポイントの20%がA(出し手として)とB(受け手として)に加算される
フラム戦のパッキング・レート
前半のみです。
図1は受け手のエリアごとのパッキング・レートを示しています。
図2は各チームが獲得したポイントが時系列上でどのように増えていったかを示しています。
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図1と図2から前半は、フラムがエバートンのFW-MF, MF-DFエリアでボール保持していたことがわかります。しかし、DF-GKエリアへの効果的なパスはほとんどなく前半はシュート0本で終わっています。一方エバートンは、前半30分くらいまでは時系列のパッキング・レートが一時的に上がっています。30分以降は飛躍的にパッキング・レートが向上しており、エバートンが優勢に試合を進めていることがわかります。またフラムとは対照的にDF-GKエリアへ効果的なパスが多く、xGからもわかるように効果的な攻撃が行われていました。
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https://understat.com/match/22279
図4は選手ごとのパッキング・レートで、「出し手としてのポイント/受け手としてのポイント」で記載しています。
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ポゼッションの時間が長かったフラムは、CB→SBのパスが多くそこからの展開もWGへのパスが多かったです。これは、フラムの2CBに対してモペイ、アンカーをドゥクレがカバーしていたのでCB→アンカーのコースが消され攻撃がサイド経由になっていたためだと思います。
フラムのMF陣とヒメネスもMF-DFエリアで前を向いてボールを受けるシーンは少なく、エバートンとしては中央を使わせないようにうまく守れていたと思います。
エバートンは、フラムと違ってヤングの受け手のポイントが低いことからわかるように、ボール保持した際は基本右から作ろうとしていました。ただ、パターソンから縦にいいボールが入るシーンはなく、オナナが攻撃のタクトを振るっており、そこからイウォビへのダイアゴナルなパスでチャンスメイクしていました。これは組み立てでもカウンター時も似たような形で、組み立て時は右サイドでボールを持って左サイドのスペースにいるイウォビに展開、カウンター時もテテの後ろのスペースやルキッチの右のスペースを使うことが多かったと思います。そのため、オナナ、イウォビのパッキング・レートがが高くなっています。モペイ、ドゥクレはともに受け手としてのパッキング・レートが高くパスの受け手としては優秀でした。ただ、xGと結果からもわかるように決定力がありませんでした。
まとめ
パッキング・レートで各チームが効果的に前進できていたかや、各プレイヤーの前進での貢献度がわかりました。
今後は、攻撃の最終局面の指標や守備の指標についても調べてみようと思います。