次世代バイオ燃料「RD(リニューアブルディーゼル)」とは?
本日、目に止まったニュースの一つがこれだ。
次世代バイオ燃料「RD(リニューアブルディーゼル)」を導入します
福岡トランス株式会社のリリースだ。福岡トランスは、陸運だけでなく海運や通関まで手がける九州は門司を起点とする中堅企業と言えるだろう。
この会社が、伊藤忠エネクスからリニューアブルディーゼルの供給を得て、まずはフォークリフトの燃料として活用始めるという。①CO₂排出量削減、②クリーンな排気ガス(煤がでない)、③初期投資不要、④軽油同等の取扱可能、⑤高い信頼性という5つの利点を挙げている。
これまで流通してきたバイオディーゼルとの違いにも、4つ目の利点のところで『従来のバイオディーゼルとは同じ原料から異なる技術で製造、軽油と混ぜる必要なく軽油の代替として使用可能(従来のバイオ燃料は通常、軽油と混ぜる必要あり)』という形で触れている。
実は、バイオディーゼルも100%で使っても問題はない。ただし、公道を走る車両に給油するのは5%添加(B5)までが許可されている。
B5軽油
要は、ガソリン税や軽油引取税などの問題が絡み、バイオディーゼル100%で走らせられないわけで、これは本件のリニューアブルディーゼルについても同じように問題となる。
さて、もう少しリニューアブルディーゼルについて見てみよう。
まずは、伊藤忠エネクスのウェブサイトから。
リニューアブルディーゼルとは
このサイトによると、既に欧米で広く流通実績があるといい、下記の通り7つのメリットを示している。
どうなんでしょうね。
バイオディーゼルだと、寒冷地では利用しにくかったりあるみたいだけど、軽油並みに取り扱いしやすくて、且つ排ガスもクリーンであり、バイオマス由来となるといいことばかりじゃないの?
さて、このリニューアブルディーゼルってどこで作ってるんだろうか??上記の伊藤忠エネクスサイトにある写真を頼りに検索してみると・・・ネステという会社のサイトに辿り着いた。
NESTE
ネステはフィンランドの首都ヘルシンキ近郊のエスポーに本社を置くフィンランドの企業であり、ポルヴォー(フィンランド)、ロッテルダム(オランダ)、シンガポールの製油所と、カリフォルニア州マーティネズにあるマラソン・ペトロリアム社との米国共同事業所において、再生可能原料のみを原料として生産。その年間生産能力は約550万トンで、2026年末までには年間680万トンまで増加する予定だそうです。
伊藤忠は商社なので、この製造プロセスを日本に持ち込もうとはしていないのだろうか?そうなると、このリニューアブルディーゼルって輸入燃料じゃない!日本に持ってくるまでに多くのエネルギーを使って運んでくるなんてナンセンス・・・
でも日本で生産することを考えるとゾッとする。
すでに、使用済み天ぷら油のリサイクルは、バイオディーゼル向けに開拓された市場であり、それが飛行機向けの燃料であるSAFに向けて取り合い状態。まだまだ、一般家庭からの廃油回収は余裕があるにせよ、それを回収するのにコストをかけて取り合いまでなっている状況にリニューアブルディーゼルまで登場すると収集つかなくなりそう。そもそも、バイオディーゼル普及に取り組んでいた事業者に優先的にリニューアブルディーゼル製造に事業転換させるようであればうまくいくかも。伊藤忠が大手商社の強みを活かし国の政策へ物申す中で、産業転換の予算まで引っ張り出せれば、伊藤忠のライセンシーとしての売上も確保できるのではなかろうか?と同時に、軽油取引税のこともうまく整理してくれるといいのだが・・・
ってことで、リニューアブルディーゼルって出てきたけど、今のところ大きく普及するような勢いではなさそうな・・・そんな感じです。
今日のところはここまで