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#僕らの旅 2022 南九州編
はじめに
僕は、友人らと一緒に少なくとも年に一度は泊まりがけの旅行に出掛けています。これまでに、2018年夏は東北、2019年夏は北海道、2020年は秋に北陸、2021年夏は香川県を旅しました。今年、2022年は九州へ行くことに決まりました。
僕には旅仲間が何人かいます。多くは学生で、彼らが社会人となって新しい生活が始まるまでの間、旅仲間として同行します。若い人たちと僕は、その考えに大きなギャップがあるのは事実です。だから、僕は彼らと一緒に旅に出ます。僕では気がつかないことを彼らは気づきます。現に、彼らがいたからこそ、普段、僕の旅ではできなかったことが体験できているのです。
2022年8月10日 第1日目
お盆前の水曜日、新大阪駅は朝から多くの人たちが行き交います。先月から新型コロナウイルスの新規感染者数が増え、昨日は21万人を越える程にまでなっていました。昨年はやはり夏場に緩やかな増加傾向が見られましたが、そのときには外出を控えるなど、きょうのように多くの人が行き交う様子は見られませんでした。ワクチンに対する安心感か、単に状況に慣れてしまったか、駅弁屋の前にも多くの人たちが集まっていました。
1.1 バリ得を利用します
今回は #バリ得ひかりこだま +さくらつばめ を利用して鹿児島へ行きます。バリ得は日本旅行が発売する旅行商品で、片道のJR運賃・料金が格安で提供されるものです。格安でサービスを受けられる代わりに、乗車できる列車に制限があります。例えば、山陽新幹線区間は、ひかり号かこだま号しか利用できず、九州新幹線内も利用できるさくら号に制限があります。今回は、新大阪から鹿児島中央まで、ひかり号はグリーン車利用、さくら号は普通車利用としました。片道の代金は、16,100円です(通常は、この場合28,380円になります)。同区間にスーパー早特21がJR西日本の企画商品として設定があり、普通車利用で14,700円と破格ですが、お盆の時期の繁忙期には利用できません。しかし、バリ得はこの期間も利用できます。
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1.2 ひかり531号博多行き
7時35分発のひかり531号博多行きに乗ります。僕らの乗る8号車のグリーン車は空席がほとんどない状態で出発しました。
外を見ると曇り空です。新神戸を過ぎて朝食です。僕は、#ひょうご日和 という駅弁をいただきます。兵庫県の名物料理がオールスターで揃う夢のような駅弁です。神戸牛のコロッケ、明石たこの甘煮、いかなごのくぎ煮、丹波の黒豆煮などぎっしりと詰められています。朝から満足です。
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1.3 博多で小休止
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博多には10時11分に到着しました。バリ得は、途中駅での乗り継ぎの間に改札口から外へは出られません。したがって、次に乗るさくら405号の博多発が11時38分なので、1時間27分、博多駅の改札内で過ごさねばなりません。90分もあれば、その間に鹿児島まで行けそうなのですが、バリ得を利用しているので、そうはいきません。僕らは、構内の喫茶店で時間を潰すことにしました。
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1.4 さくら405号鹿児島中央行き
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博多から11時38分発のさくら405号鹿児島中央行きに乗ります。車内は、先ほどのひかり531号と対照的に乗車率は50%程度です。さくら405号は新下関駅が始発ですから、ほとんどが博多からの乗客です。
九州新幹線に乗りたいという、旅仲間の響の希望で今回、旅程に組み入れたのでした。一方で海都は5年前に九州新幹線を乗り通しています。そのときの話はいずれどこかで。
12時16分、さくら405号は熊本駅に到着。いつの間にか、空を覆っていた雲は少なくなっていました。博多から熊本まで38分。東京からだと東北新幹線なすの号で小山(41分)、東海道新幹線ひかり号で熱海(37分)、中央特快で立川(39分)と、それらの所要時間とさして変わりません。かつては、在来線特急で同区間の所要時間が74分掛かっていたことを考えれば、新幹線は時間的距離をおよそ半分に縮めたことになります。
1分停車の後、さくら405号は九州新幹線の南半分をいきます。ここから先は八代海から東シナ海沿岸に点在する街を結んでいきますが、平野部が少ないため、山の中をトンネルを突き抜けていきます。熊本からは、さくら405号は新八代、新水俣、出水、川内と各駅に停車していきます。13時14分、僕らは終点の鹿児島中央駅に到着しました。響は、九州新幹線全線完乗です。
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鹿児島中央駅に着くと、すぐに桜島口(東口)を出て共研公園のそばにあるレンタカー店で車を借ります。まずは、この暑さを凌ぎたいと思います。
1.5 天文館むじゃき
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天文館通から程近い駐車場に車を止めて、天文館通へと向かいます。5年前に海都と来て以来の #天文館むじゃき です。#白くま をぜひ響にも体験してもらいたいと、久しぶりの訪問となりました。少し行列に並びましたが、15分ほどで店内へと入ることができました。
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白くまはかき氷で、トッピングの違いでさまざまにアレンジされたメニューがあります。響はミルク金時、 海都は白くま、僕は焼酎みぞれを注文しました。すぐに運ばれてきました。
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白くまには、レギュラーサイズとベビーサイズがあります。レギュラーサイズは響の注文したサイズで、レギュラーといえど大きいのです。大きいということは、それだけ氷を食べる時間も長くなります。海都と僕は、前回、後半凍えながら、それでも美味しいので途中で止められず、最後まで食べきりました。そんなことを回顧しながら、ふと横を見ると響のペースが落ちています。さらにエアコンの風が彼に直撃し寒さ、冷たさに耐えながら頑張っています。
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1.6 薩摩半島を南下、指宿へ
天文館むじゃきを出ると、路面が濡れていました。どうやら一雨降ったようです。15時過ぎ、指宿に向けて出発です。すっかり天気も良くなって、夏のドライブ日和です。僕はこれまで、鹿児島から指宿まではJRでしか行ったことがなかったので、車で行くときの風景はとても新鮮でした。鹿児島市内を走行中、海都がふと「ガソリン、いくらなん?」と言います。僕らは、国道217号から国道219号へと南下するのですが、国道沿いのガソリンスタンドにはガソリンの価格が表示されていません。また、「888」とデジタル表示されている店もあり、いずれにせよ、1リットルあたりの価格表示がされていませんでした。これについては、以下、NHK鹿児島放送局の記事に詳しいので、ご参照ください。
価格を表示すると競争が生まれる可能性があり、その結果、つぶれる店が出ると、消費者にとっても、不利益となるおそれがあると説明しました。
https://www.nhk.or.jp/kagoshima/question/news/ans05.htm
「鹿児島のガソリンスタンド 価格“888”の謎を追う
」より
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さて 、鹿児島市内で信号待ちなど意外と時間を要したことで、16時40分ごろに指宿の市街地へと入りました。JRだと各駅停車で1時間35分ですから、所要時間としてはほぼ変わりません。街中を抜けて海岸沿いをさらに南下すると、僕の行きたかった #砂むし会館砂楽 に到着です。
1.7 砂むし風呂で汗をかく
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砂むし会館砂楽から少し行った、小高い住宅地の中に駐車場があって、僕らはそこに車を止めました。エスカレーターを上がって2階にあるフロントで料金を支払って、今度は1階へと向かいます。脱衣場で浴衣に着替え、タオルを持ち、備え付けのゴム草履を履いて建物から外に出ます。建物を出ると、遊歩道を挟んで向かいには鹿児島湾を望むことができます。遊歩道から下へと続く階段を降りると、海の手前には砂浜があって、奥には海の家のような簡易式の竹で編んだ小屋が見えます。そこに向かって進むと、中では砂に埋もれて顔だけが出ている老若男女が何人も汗を流していました。
残念なことに撮影は禁止とのことで、その様子をお見せすることはできないのですが、首回りから後頭部をタオルで覆い、海に向かって足を伸ばすように仰向けになります。すると、係のお兄さんやおじさんがスコップで砂を掬って浴衣の上からかけていきます。徐々に砂に埋もれていき、砂の重みを感じます。10分から15分くらいしたら出てくださいと案内がありました。はじめこそは、ただ砂に埋もれているだけでしたが、徐々に下から熱を感じるようになりました。決して熱湯で感じるような熱さではなく、じわじわと身体が温められていくような感じで。10分もすれば額に汗がにじみ出し、15分で汗まみれとなりました。
出るときは、各々勝手に砂から這い出します。軽く浴衣についた砂を払って落とすのですが、浴衣の中は汗でびっしょりでした。
再び建物に戻り、浴場へと向かいます。浴場の手前には、砂の着いた浴衣を脱いで身体に着いた砂を洗い流す掛け湯のあるブースがあります。ここで砂を落としておかないと、浴場が砂まみれになってしまうので、きっちりと落としていきます。
浴場で身体を洗って温泉に浸かります。薩摩半島南部は南薩火山群に属し、その東部を形成する指宿火山群にこの指宿市はあります。したがって、その地熱によって砂むし風呂は成立するし、今、入っている温泉もまた、火山活動の恩恵だといえます。僕らは、18時に砂むし会館砂楽を出ました。
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1.8 長崎鼻と龍宮神社
砂むし会館砂楽から車で20分ばかり行ったところにある、薩摩半島の最南端、#長崎鼻 へと向かいました。駐車場に車を止めて、鬱蒼とした木々の中を歩いていきます。この時間ですから、お土産屋は既にシャッターが降りています。今回、ここに立ち寄ったのは、僕が #龍宮神社 に参拝したかったからです。そして、お土産屋でいただけるという御朱印も希望していました。が、やはり、この時間だと厳しかったです。それでも、お参りだけはきちんとしておきたいので、しっかりと二拝二拍手一拝をしてきました。
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お参りが終わって、さらに続く道をいきます。右手に分かれ道がありますが、これはどうやら民宿に繋がっているようです。そして、少し行くと、貝殻に埋もれた亀と浦島太郎の像がありました。立て看板に書いてあることを読むと、男性は左に2回まわってから亀の頭を撫でると願い事が叶うとのこと。早速、やってみることにしました。んー、願い事は叶うでしょうか、いや、叶います(ポジティブに考えよう)。
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時間は、もう18時半を回っていますが、まだ明るいです。さすがに日中の明るさはもうありませんが、それでも僕らの住む関西ではこの時間、この明るさはありません。経度が西にあることを実感します。海の向こうに見える美しい三角形をした山が見えます。開聞岳です。薩摩富士の異名をとるその姿は、まさに富士山を彷彿とさせる美しい形です。
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さらに先へ進みます。ハート型に造られたモニュメントがあったり、長崎鼻灯台があったりと面白い構造物があちらこちらにあります。鼻は、海に突き出た地形を指しますから、両側から海が迫って、灯台まで来るとそこから鼻先まで一気に鋭角に尖っていきます。その、最早岩礁ともいうべき突端では、釣り人が糸を垂らしていました。
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1.9 JR最南端の駅、西大山駅
次は、車を走らせて、指宿枕崎線のとある駅へと向かいました。JRで4,300あまりある駅のうち、最も南に位置するのが、ここ #西大山駅 です。無人駅で改札口もなく、一本のホームに小さな屋根とベンチがあるだけの田舎の駅ですが、この建っている場所こそがこの駅に何倍もの付加価値を付けています。言うなれば、ここより南に位置するJRの駅は、ここ以外にはありませんから、それだけで観光資源になります。ということは、その程度はともかく交流人口を増やすチャンスでもあるのです。とはいえ、僕は、JR最南端駅であるという特別感もさることながら、この駅からの眺めこそ、本当に価値のあるものだと思っています。それは、開聞岳です。ここからの開聞岳は本当に美しいと思います。僕は、この絶景を彼らに見せてあげたかったのです。
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1.10 鹿児島市内へと戻ります
西大山駅を19時15分頃に出発して、次は鹿児島市内へと戻ります。薩摩国一宮の枚聞神社の横を通る頃にはさすがにすっかりと暗くなり、池田湖の西岸を行く頃には月が明るく湖面に映り、イッシーの姿さえ見えません。
指宿スカイラインを北上しますが、僕ら以外には全く車が走っていません。街灯もなく、ただ闇の中を進むのですから、運転する海都はもちろんのこと、響も僕も不安になってきます。少し進むと霧が発生していよいよ見通しも悪くなってきました。不安感は増すばかりです。海都は「俺が運転する時、いつもこうだよ~」と嘆きますが、嘆いてもこの状態から脱する兆しは見られません。カーナビは確かにこの道を指し示しているのですが、山の稜線を辿って敷設された道路ですから、建物はもちろんのこと、地名の表示も出ません。ようやく、鹿児島ICから国道3号に入り、トンネルを抜けて鹿児島中央まで戻ってきました。
今夜は、鹿児島中央駅直結の JR九州ホテル鹿児島さんです。
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1.11 今夜の夕食は、鹿児島ラーメンです
鹿児島中央駅から程近い、西銀座通りにあるラーメン屋さん、#鹿児島ラーメン豚とろ中央駅前店 さんへ行きました。以前に行ってとても美味しかったので、僕からのおすすめです。
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きょうは、関西から早朝にスタートし、薩摩半島の東側をコンパクトに一周するという割りとハードな行程に耐えた海都と響には敬意を表したいと思います(僕は運転しない子)。ただ、明日は、もっと過酷な一日となりそうなので、早く寝てください。おやすみなさい。