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与える側でいたい
2024.07.21
都心に近い場所に住んでいると手軽に自分の行きたい所へ足を運べる。
お店で美しい陶器や洗練されたデザインに目を奪われていると、何だかモヤモヤした感情に襲われた。これはなに?
「与える側でいたい」そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
周りを見渡すと老若男女、様々な人が自分と同じ空間で同じ物を見ている。もちろん見る視点や考えは違うと思う。しかし一歩下がって見ると自分と周りに差なんてものは無いのである。それが自分の心を寂しくさせたのだ。
つまり、自分の好きなもの、興味あることに関しては与える側でありたい。与えられる側は最初のうちは唯一だとしても、時間が経つにつれ周りに埋もれてしまう。デザイナーという職に就いているからこそより一層強く感じるのかもしれないが、どんな人にでも言えることだと思う。例えば、承認欲求とか自分だけが知っていたはずの存在が有名になっていき、何だか悲しいとかね。
もしかしたら、「何を今更そんなこと」と呆れる方もいると思うけど、僕にとっては何だか自分の進むべき方向がより一層明確になったような、そんな気づきだった。
適度に肩の力を抜きながら、与える側でいるための努力を惜しまないようにしようと思う日曜日の午後。この文章も……つまりそういうことである。
photo : HAY TOKYO(Ronan Bouroullec)