教師が副業を始めるまで
本記事では、私が書籍出版の副業を行うまでの道のりを紹介していきます。
副業を考えている教職員の方の参考になれば幸いです。
筆者「前ネコ先生」プロフィール
公立小学校教諭 13年
地区算数研究会役員
著書「これからはじめる小学校教科担任制」
1. 前提
公立学校の教師は,地方公務員法を根拠に,副業を行うことができません。
(地方公務員法第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。)
つまり,教師は自分の仕事以外にお金を稼ぐ方法は制限されているのです。
しかし、任命権者の許可を受けることができれば、副業をすることが可能です。
教師の立場で任命権者から許可を受けやすい副業は、いくつかあります。
☆執筆
☆講演
☆小規模の不動産投資
☆小規模の農業
☆ブログやYouTube 等
これらの許可を得るためには、前提として普段の業務をきちんと行う必要があります。
また、守秘義務を守ることなど基本的なルールを守ることも必要です。
副業内容についても、教育関連については許可がおりやすいです。
さて、次項から私の副業が始まるまでの道のりを紹介します。
2. 教科担任制が始まった
3年前、私の勤務校で教科担任制が始まりました。これまで教科担任制を経験したことがなく、初めの方はどのようにして行っていけばよいかわかりませんでした。
特に苦労したのが。時間割作成。
インターネットで検索しても、時間割を簡単に作ってくれるツールは無く、「無いのであれば自分で作ってしまおう」と思った私は、エクセルを使って時間割を作ることに挑戦しました。
試行錯誤を重ねた結果、最低限の機能を備えた、時校のみで使える時間割を作成することができました。
エクセルを使って時間割を組むことができるようになり業務が格段に楽になりました。
しかしそのエクセルのデータは汎用性がなく、来年度教科担任制をするとなったとき、実施が難しいと言うことになりました。
3. プログラミングに出会う
当時の校長に、来年も教科担任制をしたいため、汎用性のあるデータを作れないかという相談がありました。
そこで、いろいろ調べた結果、エクセルのVBAというプログラミング機能があることを知りました。
ラッキーなことに、私は大学時代にプログラミングについて学習をしていたため、VBAも割とすんなり理解することができました。
そしてVBAを学んで2ヶ月、ついに汎用性のある時間割作成プログラムを作ることができました。
4. 副業について漠然と考える
便利なプログラムを作ったけれども、自分だけで使うのはもったいないと思い、困っている人に届けられるようにするにはどうすればいいか考えるようになりました。
また、周りの人たちにも「そのデータ売れるくらいすごい良いよ!」と褒めてもらい、それなら…と漠然と副業について考えるようになりました。
5. 申請するも,許可下りず
副業したいと思ったけれども、実際に調べてみるとなかなかハードルが高いことがわかりました。特に、自作のツールを販売するということのハードルは高く、メンテナンスや問い合わせなどに対応するという面でも、難しさを感じました。
しかし、ものは相談と思い、思い切って校長にツール販売の相談をしました。校長は取り合ってもらったけれど、教育委員会からの返事は「NO」
理由は、前例がないからということでした。
あまり期待していなかったこともあったため、意外にもすんなりと納得した私。
それならと、SNSを使ってさまざまな人にこれまで作成してきたツールを配布するという活動を行ないました。
理由は教育業界をより良くしたいためでした。
6. Kindle(電子書籍)に出会う
ツールを配布する活動の中で、とある人と出会いました。
その方は、教師をしながらKindleで電子書籍を発行しているという方でした。
その方から電子書籍発行を進めていただき、私にもできるのではないかと思い始めました。
普段、本をあまり読まない私が、まさか書籍を出版するなんて想像もしていませんでした。
また、そのタイミングで教科担任制も二年目にさしかかり、実践や効果もいい結果がでてきました。校長面談でも教科担任制について話をする中で、執筆してみたらいいんじゃないと勧められました。
教科担任制について執筆をしようと決意したのはこの時でした。
7. 様々な教育ツールを作りながら,執筆を始める
私は、VBAやスプレッドシートのGASを学び、業務が効率よく進むさまざまな便利ツールをつくりました。
また、隙間の時間を見つけて、教科担任制について実践を積み上げてきたことを執筆しました。
執筆には、およそ四ヶ月かかりました。
当然ですが、この間の普段の業務はきちんと行なっています。
8. 執筆がほぼ完了。申請を出す
申請を出すときに、何も形になってない状態で申請を出しても、許可が降りないと思いました。
そこで私は、執筆の8割を書き上げ、執筆した本のプロトタイプ版を校長に見せました。
その結果、校長からも、執筆した本の内容を見て協力したいとおっしゃっていただきました。
校長から教育委員会へ提出していただき、しばらく待ちました。私の場合は県の教育委員会まで話が行ったようです。
9. 許可がおり,無事出版完了
副業申請をして約二ヶ月後、校長から許可が下りたという話を聞きました。書類に改めて副業内容を明記して提出し、申請が受理されました。
これで無事に副業ができるようになりました。
その後、Kindleに原稿を提出し、電子書籍を無事に発行することができました。
10. おわりに
私の場合の副業申請が通るまでの道のりを紹介しました。執筆の副業を行うためのハードルはかなり高いと思いますが、計画を立てて着実に積み重ねていくと可能だと思います。
私自身はまだ一冊しか発行していませんが、二冊目三冊目とこれから執筆をして行く計画を立てているところです。
この記事がどなたかの役に立てれば幸いです。
R6.11.8 前ネコ