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自分のNet Worthを蓄積する

10年ほど前、『Your Network Is Your Net Worth』という書籍が出版されました。文字通り、『あなたのネットワークが、あなたの真の価値だ』という意味です。

顧客の数は、会社の価値に直結する

一般的に、Networkは「人脈」などと表現されます。経営において「人脈」が重要であることは言うまでもありませんが、名刺交換した程度の知り合いというわけでは、当然ありません。長年の商取引による信頼関係、あるいは濃密な個人付き合いによる共感。そのようなものがあって、初めて人脈というものが構築されていきます。これは企業サイズの大小は関係ありません。フリーランスなども同じです。

その意味で、企業の場合は、顧客や社員などのステークホルダーとの人的つながりという解釈をした方がいいでしょう。

一方、Net worthというのは財務的には純資産です。これまでの経営で、どれだけの利益を積み上げてきたかを表す、財務諸表の中で最も重要な数字の一つです。ここがプラスであれば資産超過、マイナスであれば債務超過ですね。最初に入れる資本金の上にプラスされていくので、マイナスの場合は資本金を赤字で食いつぶしているということです。純資産が資本金を上回っていれば、その事業で価値を生み出しているということで、下回っていれば価値を出せていないということです。

その意味で、「Your Network Is Your Net Worth」を、会社を前提に解釈すると『顧客の数は、会社の価値に直結する』という感じでしょうか。

経営に必要な資源を、よく「ヒト・モノ・カネ」と言いますが、ヒト=(社員、顧客などの)ステークホルダーこそが、カネ=価値に直結するということですね。これはサラリーマンであれ、経営者であれ、共感できると思います。

「事業の目的は顧客を創造することである」というドラッガーの言葉の通り、顧客創造の継続こそが、企業価値を生み出すのだと思います。

この顧客創造というのは、単に営業を強化して新規客を増やすことではありません。継続的な関係性を通じて信頼関係を構築していくという意味で、そのような顧客を増やしていくことを指しています。

企業と個人に共通するもの

自分の価値は何なのか?この問いは、企業のみならず、あらゆる個人にとって重要です。

私は20代後半にIT事業で起業し、以降何社かを創業または継承して、今は50代半ばです。この年齢になると「自分が提供できる価値は何なのか」を真剣に考える機会が増えます。

結構運動はしてますので、体力的にはあまり衰えは感じないのですが、運動してる姿をふと鏡で見たときに、「このじいちゃん誰?」と一瞬思う時があります。そうか、自分はもうこんな歳なんだなと思うと、残りの人生でどんな価値が提供できるのかなと。そう考えることが増えてきました。

私のことはさておき、「自分が提供できる価値」を考えることはとても大切で、私のような年齢になるともう答えは明白です。

それは、ヒト・モノ・カネのうち、ヒト(Network)とカネです。それらをどれだけ提供できるかがNet Worth(純資産)です。

ヒトについては、前述のように顧客や社員などのステークホルダーです。その会社に必要な人材を紹介できる、あるいはそれらを創造する方法を知っているということです。

正直、例えばIT業界の最先端知識などは、20代(あるいは10代)の若者に委ねた方が絶対にいいし、そこで張り合うのは年相応の価値を身につけていないという事でもあります。張り合うのではなく、適切な人達を適切なタイミングで引っ張ってこられるかどうかが、我々世代に求められている価値です

カネについては、エンジェルとしてお金を出すという話ではありません。お金の引っ張り方、お金のつくり方を、適切に提示できるかということです。また、その会社のお金の使い方が適切かどうかをアドバイスできる経験も重要でしょう。

私は、複数の企業に顧問として参画していますが、それぞれ求められている役割は違います。時にM&A、経営、時にECという具合です。これらは私が25年以上に渡って蓄積してきたNet Worthです。もちろん、これらは放っておくと陳腐化してしまいますので、今でも適切に情報のアップデートは行います。

企業だけでなく個人レベルでも、自分の純資産は何かを常に自問することは、とても重要ですね。

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