M&A起業の狙い目を探る
先日、この記事の中でこのように書きました(公開日時は前後しています)。
ここに書いたような例だと、株主の素性以外は比較的わかりやすいとは思います。ただ、自分のリソース(商品、スキルなど)と強烈なシナジーを生む可能性がある事業であれば、それでも検討の余地はあるでしょう。ゼロから立ち上げる場合と、メリット、デメリットを客観的に比較するべきです。「人」に関しては変数だらけなので、実際やってみないとわからないものですが。
では逆に、どういう業種や会社が狙い目でしょうか?
上りエスカレーター
これは言わずと知れています。上りエスカレーター業種というのは大前提です。しかし、売却価格も総じて高い。この利益でなんでこの価格?とびっくりするようなケースは、SaaS企業などが多い印象です。仮にその金額を調達できるとしても、自分がさらに発展させるイメージができるかどうか、慎重に検討が必要です。
DXで改善を見込める会社
逆に、レガシー企業でもITを取り入れて業績改善を見込める会社は狙い目です。それを見極めるにはある程度のITリテラシーが必要ですが、正直、何もやってない会社が大半なので、コストカットの絵は比較的描きやすいかもしれません。
問題は、社員の意識レベルをそこに持っていくことが出来るかどうかです。
商品力のあるアナログ会社
上記の延長ですが、売っているものに魅力があるなら、バリバリのアナログ会社というのもポテンシャルが高いです。理由は簡単、一切Webをやってないのにこれまでやってきたということは、ちゃんとWeb化すれば、さらに伸びる可能性が大いにあるからです。
アナログ(下りエスカレーター)からデジタル(上りエスカレーター)に転換するのではなく、一部にデジタルを取り込むのです。
例えば業務フローをデジタル化すれば、どれくらい効率化できるでしょうか。仮に今赤字であっても、ここを改善すれば黒転するというポイントがわかるでしょうか。
例えば販売方法をデジタル化すれば、どれくらい伸ばせるポテンシャルがあるでしょうか。予測は難しいと思いますが、漠然とイメージするための方法はあります。
放漫経営
これは変な表現ですが、業績が行き詰った会社の再建を検討する際、その社長がやるべきことをやっていない、いわゆる「放漫経営」の会社のほうが、再建しやすいのはイメージできると思います。
地方の老舗企業などでは、たまに「そんなこともやってないの?」とびっくりするようなときもあります。ただ、よくよく見てみると、どうしても人間関係などのしがらみがあって、今のメンバーでは出来ないと言う理由だったりするものです。ちょうど、ゴーンが来る前の日産のように。
そんなときは、M&Aでなんのしがらみもない社長に交代したら、改革しやすいですよね。逆に、やるべきことは抜け目なくキッチリやってるのに、業績が悪い会社は、なかなか手当てが難しかったりします。
これは、何社も買収、再建の実績がある「プロ経営者」の共通した意見でもあります。
Web上で競合を見る
あと、Web上で競合を見ることです。会社の近辺には競合が少ない場合でも、Web上には同業者が溢れています。販売方法をデジタル化するということは、Webに出てくる同業者が競合になるということです。
もちろん、商品やサービスに圧倒的な独自性があればアプローチは変わってきますが、そうじゃない場合、競合をしっかり把握することが重要です。
ECの場合、そこそこ動き始めると、必ず同業者と思しき人からの登録や問い合わせが来ます。相手も探ってるのです。表面上わからないことを、ユーザーのふりして問い合わせてるんですね。
SEOに関しても、競合を見ることは肝要ですよね。というか、SEOは競合ありきなので、狙ったワードであまりに強そうなサイトがいくつも出てくる場合は、戦いを避けてもう少しニッチなワードを攻めるなど、戦略的に進める必要があります。SEOの評価は時間もかかるので、負ける戦いには挑まないのが賢明です。
ただ、ECの競合がたくさんいるからといって、悲観することは全くありません。それは市場があるという証拠です。逆に競合ゼロの場合の方が、悲観すべきかもしれません。市場を作るのは弱者の戦略ではないからです。
このような視点を持って、ゼロから立ち上げるよりも成功確率の高い起業の買収を、本気で検討してみてください。会社を買うときや売るときは、経営の本質が見えてきます。その『M&A思考』が、今後の経営者人生にとってものすごく大事なのです。
※過去記事のリライトです。