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【マテリアリティまとめ】第2回ROESGランキング50社

企業の収益力を示すROEと、ESG課題への取組みの両面から評価する指標「ROESG」の国内ランキング50位までの企業が開示しているマテリアリティを調べてみました。

第2回ROESGランキングの上位50社は下記の通りです。

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下記のマガジンには「1-10位」「11-20位」という区切りで、各社のマテリアリティを調べてみた結果を記事を格納しています。
よければ、合わせてご覧ください。

はじめに:調査対象はマテリアリティ

今回の調査対象は各社のマテリアリティです。

「マテリアリティ」とは
報告組織が経済、環境、社会に与える著しいインパクトを反映している項目、またはステークホルダーの評価や意思決定に対して実質的な影響を及ぼす項目
引用:GRI101 基礎 1. 報告原則 1.3 マテリアリティ(Materiality)

調査の目的は、「ROE=収益力」と「ESG=サステナビリティ」の評価がともに高い企業が、「どのようなマテリアリティ(=経営の重要課題)を特定し情報開示しているのか?」という点を明らかにすることです。

「ステークホルダーとの情報の非対称性を少なくする」という観点において、サステナビリティの職種はもちろん、広報PRやIRにおいても「ステークホルダーからの期待」と「自社にとっての重要な課題」を反映させた「マテリアリティ」はコミュニケーションの基礎部分だと考えています。

ROESGという評価が高かった企業のマテリアリティに、どのような傾向があるのでしょうか?

結果①:「S:社会」に紐づくマテリアリティが多い

各社のマテリアリティを「E:環境」、「S:社会」、「G:ガバナンス」と、ROE=収益力に寄与する可能性のある「B:経済(Business)」の4つへ分類しました。

そして、各企業のマテリアリティを独断と偏見で分類し、4つの項目に分類しマテリアリティの数を合算しました。

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その結果、「S:社会」に関連するマテリアリティが418個ともっとも多かったです。(「E:環境」の倍以上!!)

人権(ダイバーシティ、働き方など)や、地域コミュニティに関するものが多く、労働人口の減少や、近年では感染症対策を念頭においた働き方、そして一極集中是正(地方創生)に紐づくマテリアリティが多かった印象。

サプライチェーン上の人権リスクの高まり、ダイバーシティ&インクルージョンやDXによるリスキリングの社会的潮流、そして取り組みやすさにより、多くの企業が取り組もうとしている重要課題なのかもしれません。


一方で、「E:環境」は「S:社会」に比べて半分程度の187個という結果になりました。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)など、環境に関する情報開示が進んできていると考えていたので意外な結果でした。
ですが、企業によっては環境意識が強く、花王においては特定したマテリアリティ18個の中で、「E:環境」に関連するマテリアリティ7個が最も多いというケースも。


「G:ガバナンス」は、マテリアリティではなく、事業基盤として個別に取り組んでいるケースもあり、129個と全体的な数が少なかった印象です。

そして、「B:経済(Business)」は予想通り最も少ないマテリアリティで合計75個でした。「収益」という言葉が入ったマテリアリティは1つのみで、その他は「技術」「イノベーション」「価値創造」など間接的に収益に貢献しそうなものが多かったです。

結果②:各社のマテリアリティ(重要課題)は平均17.1個

多くの企業は、マテリアリティを抽象的な概念にまとめた「テーマ」を設定していて、そのテーマに紐づく形でマテリアリティを開示していました。

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各社の設定したテーマは、平均して4.8個でした。

「ESG」という3つのテーマでまとめている企業もあれば、アサヒグループホールディングスのように「責任ある飲酒」という業界特有のテーマでまとめている企業もありました。

また、テーマを設定していない企業は7社。

テーマ毎に4個程度のマテリアリティを覚えるのはできそうですが、テーマなしで20個以上のマテリアリティを覚えるのは大変そうですね。
社内浸透において、どのような工夫をされているのか知りたくなりました。


マテリアリティの数は、各社平均17.1個という結果でした。

最も少なかったのが「三菱商事」の7個で、最も多かったのが「ファーストリテイリング」と「塩野義製薬」の32個でした。

前述のマテリアリティのバランスを当てはめると、
「E:環境」      4個
「S:社会」        10個
「G:ガバナンス」    3個
「B:経済(Business)」 1個
くらいの割合になりそうですね。

個人的には、「ステークホルダーからの期待」と「自社にとっての重要な課題」を組み合わせた、CSV:Creating Shared Value(共有価値の創造)的な「B:経済(Business)」に紐づくマテリアリティが増えてくることと面白そうだと感じています。

結果③:マテリアリティ・マトリックスは全体の半分以下

結果としては、まだまだマトリックスを活用した開示が多かったです。
しかし、不確実性の高さからか、明確な優先順位を開示しない柔軟性のある「箇条書き」などの開示も増えてきたようです。

マテリアリティ

また、各企業による様々な開示方法も増えており、リクルートホールディングスの「SDGsドミノ」や、富士通の「グローバルレスポンシブルビジネス」など様々な表現が行われています。

業界やビジネスモデルによって、価値創造ストーリーも変わってくると思うので、様々な表現・話法でステークホルダーとのコミュニケーションが行われることは良いことだと感じています。

おまけ:サステナビリティ派?CSR派?

ついでに各社のコーポレートサイトで、「サステナビリティ」と呼ばれているか、「CSR」と呼ばれているかも調べてみました。

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最近は、すっかり「サステナビリティ」が主流ですね。

ひと昔前に、「Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)」ではなく「Corporate Social Response-ability(企業の社会適応力)」というのが先進的な考えだと言われていたのが懐かしく思えます…

あと、いまだにキリンホールディングスは「CSV」に一途ですね。

「サスティナビリティ」派と「サステイナビリティ」派にも理由を聞いてみたいですね。


今後はROESGの世界ランキングにも目を向けて、海外と日本の企業のマテリアリティに「違いはあるか?」という点や、「共通しているところはあるか?」という点も調べていこうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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