サクラ革命二次創作妄想「合宿所のメイドたち」

太正102年夏

次の舞台が大掛かりな仕掛けを使う事もあって1週間ほど工事期間となり、期せずして暇な時間が出来たので、それを活かして新生した帝国歌劇団の合宿と言う名目で親睦会を兼ねたキャンプをする事となった。
あの戦いの後、団員の移動や舞台の無い地域で公演をする際に舞台となる桜風号は有用性を認められて4号機まで作られた。
そんな事もあり、ほぼ全員が桜風号に搭乗して、目的地である静岡県の某オートキャンプ場に到着。
ほぼと言うのは、団員全員が参加しているわけではなく、色々な理由(夏のイベントの原稿が間に合わな…ではなく持病?の癪が…だったり、動物さんの世話があるので…だったり、戦闘訓練じゃないならパス…だったり)があって、残念ながら不参加となった者が3名ほどいる。

合宿1日目:14時頃~20時頃/合宿所

「参加者全員集合っ!」
到着早々、文字通りの合宿モードになっていたクルミ君により、元B.L.A.C.K.や裏方であるはずの宙組も含めた全員に号令がかかる。
キャンプを楽しむつもりで参加した数名が少し遅れたものの、クルミ君が怒り出す前に集合が完了し、有無を言わせず富士山に向かって発声練習、続いてキャンプ場周辺をランニングするのを繰り返す基礎トレーニングが始まった。
「はい、今日はここまで。明日も基礎トレーニングを中心にするから、今夜は早めに身体を休めなさい」
陽が落ちるまで基礎トレーニングは続き、元B.L.A.C.K.のN12だった者としの君やもえみ君などの日頃から鍛えている者以外は疲れ切ってダウン。
そんなダウン側に含まれていそうなりほ君だが、トレーニングの途中から夕飯やお風呂の用意をすると言う事で抜け出し、メイド服に着替えてメイドとしての仕事を着々と熟していた。
この合宿の責任者である大石由良(以降、私)は、参加者が割とハードなトレーニングをしているのを眺めつつテントなどの設営を半分ほど終えて一休憩していると、気を利かせたりほ君がトレーに湯呑と羊羹を乗せて笑顔で差し出してきた。
「ご主人様、お茶をどうぞ」
「ありがとう、頂くね」
私はトレーを受け取ると、手近にあったアウトドアチェアに腰かけてお茶を飲みつつ甲斐甲斐しくメイドの仕事をするりほ君を眺めていた。
「りほ君とお揃いのメイド服が着てみたいなぁ…」
なんでそんな事を言ったのか原因は今以て謎だが、多分メイド姿で仕事を熟すりほ君が輝いて見えたのと、作業で薄汚れているが普段と変わらない自分の仕事着と比べるとなんだか残念な気がして、ため息を吐いてしまったのだろう。
そんな私の呟きが風に乗って彼女の耳に届いたのかは分からないし、聞かれても恥ずかしいので困るのだが、どういうわけか、私の前を通り過ぎる際にチラッと視線が送られた気がするし、何故か彼女は赤面していた様にも見えた。
まぁ、夕焼けやキャンプファイヤーに照らされたのを見間違ったのかもしれない。
その後は、クルミ君の号令で私も含めて全員が集まり、明日の予定などやその他の連絡事項を団員に伝えて、第1日目の夜は無事に終わった。

合宿2日目:6時頃/合宿所

「ご主人様、おはようございます」
テントの向こうから私の可愛いメイドさんであるりほ君から優しいながらも明るくはっきりとした声が掛けられて目が覚めた。
「おはよう、りほ君。今日も早くからご苦労様」
身体を起こして手早く外へ出られる程度の着替えを済ませ、テントから眠気眼の顔を出して彼女に挨拶すると、彼女はいつもと同じく穏やかに微笑んで私を迎えてくれた。
「既にあちらのテーブルにご主人様の朝食の準備は出来ていますので、お顔を洗ってお召し上がり下さい」
差し出された洗面用具を受け取り、朝食は何かなと期待しながら身嗜みを整える。
洗面所の鏡をのぞき込み、今の状態を確認。
そして今日も暑くて汗かき捲るだろうな…と容易に予想が出来たのでメイクは最低限にし、寝癖を直して、朝食の待つテーブルへ向かう。
「今朝はホットサンドにしてみました。お飲み物はコーヒーと紅茶が御座いますが、どれにしますか?」
りほ君はそう言いながらも、彼女の地元の緑茶が入った湯呑を私の前へ既に置いており、これはカウントしないのね…と頭の中で納得し、とりあえずコーヒーをお願いした。
その後、りほ君に給仕をして貰い、食事を摂りながら本日の予定が書かれたメモを一読する。
「ごちそうさま。多分だけど釜揚げしらすの入ったホットサンド美味しかったよ」
「ありがとうございます、ご主人様。朝方港で譲ってもらった甲斐がありました」
地元の食材で作られた物を褒められたのが嬉しかったのか、りほ君の笑顔が普段以上に眩しかった。
その後、彼女にも手伝って貰いたい仕事を割り振り、大まかな予定を伝えて、私は仕事着に着替える為にテントへ戻った。
中に入ると、りほ君が先回りして着替えを綺麗に畳んで用意してくれていた様だ。
「……ん?」
りほ君の気遣いが嬉しくて、用意されていた仕事着(?)が普段と違う事を気にせず着替え終えたが、さすがにこの段階になって気が付くことができた。
「これは……メイド服? え? あ、なんで……」
そんな事を呟き、混乱しながらも、しっかりとメイドブリムまで付けていた私。
「ご主人様、背中のファスナーがまだ開いていますよ」
タイミングを見計らったかの様に背後へ現れたりほ君にしっかりと着付けをして貰い、私の今の姿について事情を聞き出した。
「実は、ご主人様が「りほ君とお揃いのメイド服が着てみたいなぁ…」と仰ったのが寝袋に入って横になっている最中も気になって気になって……。どうにも眠れそうもなかった事もあって、気が付くと実家へ向かって走り出していました」
彼女は昨晩の事を赤面しつつ白状し始めた。
それはまぁ措いとくとして、桜風号のどれもが動いた様子もないし、走ってってのはまさか……。
「霊子ドレスで?」
「はい!」
私が尋ねた事にりほ君は悪びれる事もなく、いや、そもそも霊子ドレスを悪用する様な子じゃないので純粋に善意や好意で使用したので、私の問いかけに対して誤魔化す事もなく即答した事で、謎は(一部だけど)解けた。
そういえば、釜揚げしらすについて訊いたら「港で…」とか言ってたし……。
「実家に帰った後、わたしの作った物を集めたコレクションの中からご主人様の似合いそうなメイド服を見つけて、サイズのお直しを一晩で特急仕上げしてお持ちしました。そして戻る途中に水揚げしていた港があったので、ちょっとだけ立ち寄り、漁師さんと交渉して(以下略)」
喜色満面のりほ君は、私がメイド服を着終えるまでの事情を誇らしげに説明してくれた。
彼女のお手製であり、コレクションの中の一品と言う事もあって、メイド服は胸周りも腰回りも丁度良く着心地も悪くないし、何より普段の仕事着よりも可愛い感じがして気分が上がる。
何はともあれ、いつもよりも圧のあるりほ君の好意に圧倒されつつも、こんなに喜んでいる彼女の好意を拒否するのも無粋かな。なので……
「せっかくだから、今日一日これを着て、みんなのお世話をしようよ」
コレクションと言ってたし、仕事で汚れるのはNGだろうから断られるかもしれないけどりほ君に一つ提案してみたら、彼女は即答せず悩み始めてしまった。
ああ、やっぱり無理だよねぇ…と私は心の中で呟いたが、りほ君は再び赤面し無言で頷いた。
予想外の返答を得て更に気分が上がった私は、りほ君の用意してくれた姿見の前で1回転し、スカートがふわっとするのをやってみた。
「実はこういうの一度やってみたかったのよねぇ。警官やってた頃の制服じゃこんな風にならないし、普段の仕事着も……。それにもう年だし」
私がもう一度1回転して楽しんでいると、りほ君がフラッとしたのが目に入り、少し心配になったが、彼女は大丈夫と言わんばかりに手で私を制し、赤面したままの笑顔を向けてくれた。
そして、足元にあったメイク道具を抱えたりほ君は、私を椅子に座らせて背後に立った。
「と、とりあえずヘアセットしてメイクして、そして……お写真撮らせて下さい」
未だ赤面したままのりほ君が提案してくれたので、私はそれを了承して彼女に全てお任せしてみた。
そこからの彼女の手際の良さは説明するまでもない。
数分後、鏡に映ったのはメイドのコスプレをした私ではなく、髪型をハーフアップにし、リボンを巻いて仕上げたメイドの私だった。
ヘアセットとメイクを終えたりほ君は、メイドの私の姿を大きなカメラとスマホで撮影していたが、笑顔で彼女にサービス(?)したら、何故かシャッター音が止まらなくなった。
なんとか落ち着きを取り戻したりほ君へ、改めてメイド二人でみんなをお世話しようと声をかける。
「はい、ご主人様。よろしくお願いします」と返ってきた。

合宿2日目:7時頃/合宿所

二人で皆の朝食の準備をしていると、しっかりと身嗜みを整えたクルミ君がトラメガを持って私たちの後ろを通り過ぎてテント群のある方へ向かった。
その直後、大音量で「全員起床!すぐに起きなさい!」とクルミ君が吠えた。
安眠中に大音量で叩き起こされた皆の呻き声と、そんな彼女らの状態など無視してランニングの指示を飛ばすクルミ君の声が風に乗って流れてきたが、かしえ君と思しき声がしたと同時に叩かれて響いた様な音がすると、皆が動き始めた。
それはさて措き、りほ君と私は朝食作りの真っ最中。
「ご主人様、お砂糖を取ってくれませんか?」
和食派と洋食派のそれぞれに対応出来るよう、りほ君の用意したレシピ通りに調理していると、私の手元に置いてある砂糖が必要になったのか声をかけてきた。
「今は同じメイドなんだし、ご主人様は違うと思うんだけど……はい、お砂糖」
りほ君に砂糖の入ったケースを手渡して、気になってた事を口に出してみた。
今は私の世話をして貰ってるわけじゃないし、私はお手伝いの見習いメイドみたいなものだしね。
「『ご主人様』以外の呼び方ですか……。では、司令?」
りほ君は無難と言うか、皆が言うような呼称を口にしたが、私的には残念過ぎた。
顔には出していないつもりだが、私が面白くなさそうにしている事にりほ君は少し動揺している様だ。
だが、ここで引き下がる今日の私ではない。
「うーん、それって普通過ぎるしなぁ。 そうだ、お姉ちゃん…って呼んでみて」
日本奪還時の激しい戦いから1年以上経過し、平和な世の中になっても、
団員の皆は私の事を未だに司令などと呼んでいるけども、そろそろ由良さんとかお姉ちゃんとか呼んでもらいたい。
そんな事を思っていたので、この機会を活かそうと少々強引に提案をしてみた。
「お姉ちゃんはさすがに気安すぎて申し訳ないですし、せめて……お、お姉さまと呼ばせて下さい」
その呼ばれ方は昔、そう10代の頃、所謂JKだった頃に言われた事があるけれど、あの当時は少し引いた様な覚えも……。
でも、りほ君に言われるのは嫌じゃないかもしれない。
「じゃあ、それでよろしくね、りほ君」
お姉さま呼びを承諾して彼女の名前を呼んだら、どういうわけ不満そうな顔をしている。
その理由を考えていると、りほ君は私の左腕の袖を軽く摘まんで引っ張り、こう言った。
「りほって呼び捨てにして下さい、お姉さま……」

合宿2日目:8時過ぎ/合宿所

朝のランニングと発声練習を終えた合宿参加者が、お腹を空かせて次々と朝食の会場へ集まってくる。
空腹過ぎてフラフラなしの君は、あせび君の肩を借り、ふうか君に背中を押されながら現れたが、給仕をしている私たちメイドの姿を目にして、彼女ら三人は揃って「司令は何をやってるの?」みたいな顔をしていた。
他の参加者も似た様なもので、食事を摂りながら何やら言ってるので、予想以上に騒めいていたが、クルミ君だけは呆れた表情で「暇なのね」と呟き、その声が私の耳にも届いた。
とは言えクルミ君の声色に不快感が混じっていなかった様に思えて、参加者全員が意外なほど否定的ではなかった事に安堵し、給仕が一段落すると緊張から解放された。
「お姉さま、お疲れ様です」
手近な席に腰かけて休憩していると、りほ君…じゃなくてりほが緑茶の入った湯呑を差し出してきた。
「ありがとう、りほ。この後は、食事の片づけくらいだね。それが終わったら、私は別の仕事してくるね。もしかしたらちょっと遅くなるかもだし、お昼の準備はお任せしていいかな?」
合宿参加者たちが朝食を終えて、一人、また一人と席を離れていく。
お残し厳禁と予め会場に貼っていたのが効いたのか、全員が完食していたので席に残された食器類を重ねる事が出来るので、片付けが効率よく出来そうで良かった。
余計な負荷をりほに掛けずに済んで安心した私は、エプロンのポケットからメモを取り出して、この後の予定を彼女に伝えた。
「お任せ下さい、お姉さま。実はもう仕込みを終えているので、一人でも大丈夫です。だからこちらの事は気にせず、お姉さまはお姉さまにしかできないお仕事を頑張って下さい。……そうだ、お弁当用意しますね」
りほは笑顔を浮かべ、自分の胸を軽く叩いて返答した。
その後、私たちメイドは朝食の片づけを済ませて、各々の仕事に専念する事となった。

合宿2日目:12時頃/某市市街

私は桜風号に乗って本来の仕事である地元の役所や企業を廻って、静岡公演開催に向けての協力や支援の取り付けを交渉していた。
先方はまさかメイド姿の女が来るとは思っていなかった様で、驚いた受付担当者が慌てる場面があったり、アポを取っていた役人や社長たちが怪訝な顔をしていたものの、結果的には交渉が纏まり、静岡公演の開催が内定した。
「では、また後日改めて伺います。本日はありがとうございました」
桜風号まで見送りに来た某社の社長や役員たちに、カーテシーで挨拶すると、おじさまたちは照れ笑いしていた。
チョロいな…と心の中で呟き車に乗り込む私は、エンジンをかけた後、彼らへダメ押しで窓越しに手を振り、桜風号は合宿所へ向けて走り出した。
今いる場所からだと1時間もしないで戻れそうなので、片付けをしているであろうりほの手伝いくらいはできる。
そう思うと気が逸るが、無情にも踏切の警報音が鳴り響き閉じてしまった。
無理をして突っ切るわけにもいかないので、ギアをニュートラルにしてパーキングレバーを掛けて待つ事にした。
踏切の前を列車が通り過ぎて開くかと思ったが、今度は反対側から列車が来た様で警報音が止む事は無かった。
その後も次々と列車が来るので迂回しようかと思ったが、既に後続車が連なっていて動けなくなっていた。
「これじゃ間に合わないかも。ごめんね、りほ。……って、今日は誕生日なんだ」
こんな場所からりほに詫びながらスマホのカレンダーを起動して、入力していたこの後の予定を確認していると、今日8月1日がりほの誕生日であると分かり、踏切を抜けた後にまっすぐ戻るのを止めて、合宿所近くの町でプレゼントを買う事にした。

合宿2日目:20時頃/合宿所

「今日もお疲れ様、りほ。お茶をどうぞ」
プレゼント選びで迷いに迷った挙句、合宿所へ帰投したのは夕食作りの真っ最中だった。
桜風号を所定の場所へ停車した後、プレゼントをエプロンのポケットに忍ばせて、一人で調理を頑張るりほを手伝い、なんとか今日の夕食も無事に終える事が出来たので、一息吐いている彼女を労おうと緑茶の入った湯呑を差し出した。
「お姉さま……。ありがとうございますっ!」
普段は労うばかりのりほが、私から労われた事に驚き一瞬固まってしまったものの、すぐに驚きが喜びに代わり、両手で湯呑を受け取った。
「お姉さまこそ、長時間の外回りお疲れさまでした」
「え? ああ、うん、ちょっと迷ったけども何とかなったよ」
りほから労いの言葉を掛けられたが、実際の外回りで掛かった時間よりもプレゼント選びの時間の方が長かった事を思い出して苦笑する。
でもその甲斐があって、りほに似合いそうなプレゼントを見つける事が出来た。
「ところで、今日はりほの誕生日だよね? お誕生日おめでとう」
エプロンのポケットから可愛い包装紙で包まれた、掌に収まる程の小さな箱を取り出して、彼女に差し出した。
「わたしに? いえ、そんな、お世話になってるのに誕生日プレゼントだなんて頂けません」
りほは突然のプレゼントに焦り受け取ろうとしなかったが、私は強引に彼女へ押し付けて「お姉さまの命令。受け取りなさい」と言って逃げ道を塞いだ。
命令された彼女は年貢の納め時と思ったのか、諦めたのかは分からないが、今度こそ受け取ってくれた。
「ありがとうございます。開けても良いですか?」
まだ困惑している様だが、それでも箱の中身が気になるのか、私に尋ねてきたので、頷いて答えた。
包装紙を破かない様に丁寧に開くと透明プラスチックの箱が現れ、その中にベロア生地で作られた赤色と緑色のリボンが入っていた。
どちらもりほ君の髪色に合いそうなのと、メイドに華美な模様は寧ろ無粋と思ったので、敢えて無地のを選んだ。
箱から取り出して赤のリボンの手触りや光沢を愉しみながらりほは「綺麗ですねぇ」と呟く。
その声を耳にして彼女に喜んでもらえた事を確信し、私は夕食の片づけを始めた。
食器を重ねる音がするとりほは慌てて駆けつけてきて、片付けるスピードが上がった。
そして1時間もしないで片付け終わり、桜風号に置いた契約書類を改めて確認し、それをスキャンして帝国歌劇団の関係各所へ添付メールを送信した。

合宿2日目:23時頃/合宿所

「お姉さま、お風呂が空きました…よ?」
団員の皆さまがお風呂を済ませた頃、わたしも朝食の仕込みを終えたので、ご主人様…ではなくお姉さまのお背中を流そうと合宿所を探していたら、桜風号の一台の車内に明かりが灯っていたので、そこにいると思いドアを開いて声を掛けたところ、お姉さまがシートを倒して寝ているのを発見しました。
さすがにここからお姉さまを抱えてお風呂に行ける気はしなかったので、せめて風邪をひかない様にしようと、シート後方の仮眠スペースにあったブランケットを持ちだして彼女に掛けた時、ちょっとしたハプニングがありました。
「ごめん、りほ~。お塩入れ過ぎた~」と寝言を言いながら、お姉さまはわたしに抱き着いてきたのです。
突然の事で思考停止して固まってしまいましたが、お姉さまは夢の中で安心したのか、小さな寝息を立て始めました。
だからわたしは、お姉さまとわたしにブランケットを掛けて、彼女を抱き返しました。
「大丈夫ですよ。わたしがカバーしますね、お姉さま。おやすみなさい」
朝になったらお姉さまはご主人様に戻ってしまうのかなと思うと寂しくなりましたけど、今日の出来事はしっかりと記憶しているし、記録もしているので何とかなりそうです。
お姉さま、素敵な誕生日プレゼントを下さり、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。


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