擦り切れそうな、このおもい。#言葉を宿したモノたち

今はもう、とにかく必死。余裕なんて、サラサラないの。擦り切れそうになりながら、あなたにしがみつくだけで精いっぱい。　

私だって、出会ったばかりの頃はもっと余裕があったのよ？　何年前だっけ。あなたは覚えてる？　

今だから言うけど、はじめのうちは、あなたの好みにぴったりになるように、ちょっと無理したこともあったのよね。私、カラダが硬くって、あなたの好みになるように、努力したんだから。

私が来たばかりの頃、あなたはまだ、前の子に未練があったでしょ？　

隠さなくても良いの。「戻れるように、努力するから」って言ったの、コッソリ聞いてたから。

でも、月日が過ぎて。前の子をすっかり忘れてしまったあなたを見て、ホッとしたのを覚えてる。

最近ね、前にいた子のこと、ほんの少し思い出してる。もしかしたら、私も、同じ運命をたどるのかな？　って……。

私はもう、くたびれているし、一緒にいるとかっこ悪いのかな？　私を見るたびに、ため息をつくあなた。少しでもあなたのそばにいたいだなんて、恥ずかしくって、穴があったら入りたいくらい。

あなたの言葉を、勝手に鵜呑みにしてたのは私よ？

初めて会ったときに「これで最後にしなくっちゃなあ」って、苦笑いしてたのにね。いまでは意地の張り合いね。

……でもね、私を離さないでほしい。願いが叶うならば、新しい子には手を伸ばさないでほしい。

はち切れそうな、このおもい。あなたに届きますように。

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