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Photo by
waratsutsumi
声はすれども、姿を見つけられず
またこの季節がやってきた。
最寄り駅付近の電線に、ツバメが一羽、止まっていた。春先に、ツバメの姿をみると、すごく心が落ち着くのはなぜだろう?
ただ、今年はまだ数羽しか見かけていない。たくさん飛来していないのか、はたまたこれからやって来るのか分からない。
今年は季節のめぐりが早い。桜はあっという間に散ってしまった。かと思いきや、寒の戻りのような寒さも続いている。
いつものように、ぴちゅぴちゅぴちゅぴちゅぎゅるるるる、という季節のねじを巻くような鳴き声も、数回しか耳にしていない。
三月の終わりごろに、何度かさえずりを聞いて、「あ、今年はもう来たんだ!」と心が弾んだ。けれど、その後にあまり声を聴くことがないし、スィーッと気持ちよさそうに飛び交う姿も見かけない。
じっと駅前で張っていれば、もっと姿をとらえることもできるのだろうけれど。巣の中で、親鳥が静かに卵を温めているところかもしれない。
雛鳥がふ化すれば、にぎやかな声がひびくようになる。
今はそれが、待ち遠しい。
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