同僚が亡くなった話
学校では、朝の職員会議でたまに伝えられるものがあります。
それは、訃報。
どこかで先生が亡くなると、それが仲間に伝えられるのです。
とはいえ、そういった話は大体が高齢の方の話。
僕はまだ若手(気持ちだけは)、実際には中堅(むり)と呼ばれる年齢なので、あまり知り合いも多くないし、ほとんど他人事です。
ところが一度だけ、衝撃で言葉を失ったことがありました。
その方は、50代。
管理職試験も通っていたらしい。
初任校の同僚でした。
正直、各方面からあまり評判のいい方ではありませんでした。
でも、僕に対してはとても親切にしてくれた。
なぜなら、僕の高校時代を知っている先生だったからです。
僕が新婚旅行でロンドンに行くと知ったとき、ロンドン好きだった彼は、手元にあるポンド硬貨をお祝いにたくさんくれました。
決して親しかったわけではありませんが、縁は深い先生でした。
僕が先に別の学校に異動し、数年後の朝会で。
彼の訃報を聞きました。
僕は耳を疑いました。
次に、同姓同名を疑いました。
しかし、それは事実でした。
悲しかったのではありません。
ただ、衝撃だったのです。
これは、特に何か教訓のある話ではないかもしれません。
僕が、人はみないつか死ぬという当然のことを忘れていただけの話です。
でも、人が初めて遺児支援金に協力したり、同業の連帯を感じたりする瞬間というのは、こういうときなのかもな、と思いました。
ちなみに、噂では彼は自殺だったそうです。
何がそうさせたのかはわかりません。
仕事か、家庭か、はたまた想像もつかないような何かか。
わからないものです、人間というやつは……まったく。
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