孤独をたしなむ人が集まる
『the pillows 30th Anniversary Thank you, my highlight Vol.05“LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA”』に行ってきました。
何が行われたかというレポートはプロの人が書いたものを読んでください。
何の曲をやったのか、というのは以下のプレイリストをみてください。
いい時代になったなあ、と思う。昔は自分のページにいち早くセトリを載せるためにライブ中メモとってる人とかもいたのに、今はいろんな人がオフィシャルに「情報」を「まとめ」てくれる。その分、自分は「感想」とか「考えたこと」とかに時間を割くことができるようになるので、インターネットはとても便利になってきていますね。
バンドのワンマンライブ自体が久しぶりすぎて、友達と「1曲目は何をやるだろう」とか話したり、スタンディングでSEのSTONE ROSESを聴きながらワクワク待つのとか、その行為自体が懐かしかった。
チケットを譲ってくれた友達は、ピロウズがきっかけで知り合ったわけじゃなかった。どこだったかな、下北あたりのロックDJイベントで僕がかけた曲に反応してくれたんじゃなかったかな。たしか。この曲の気がする。
そのあと、その友達が写真撮ってるっていうので自分の主催するイベントの写真を撮ってもらったりした。彼女は、いつも感情や空気が透き通って映る写真を撮ってくれた。
話をピロウズに戻したい。
最初に行った時の僕はまだ専門学校生で、「I think I can」が発売されたあたりだったかな。当時の恋人とその友達とピロウズに限らずいろんなライブに行って、遠征して、バカなくらいライブに通ってる時期があった。
最後にワンマンライブに行ったのは「サードアイ」か「MY FOOT」のあたりだったと思う。その時はもう恋人とは別れていた。
久しぶりのライブに備えて、ピロウズの曲を聞き返した。
感傷的になることは少なかった。僕がピロウズから離れている間に少しは丸くなったかな、と思いながら離れていた期間の曲を聴いた。ストリーミングは便利だ。で、でも、今もピロウズは丸くなんてなってなかった。
ずっと孤独を唄ってる。届かない思いを唄っている。
それも、僕たちに説き伏せるわけでもなく。ただただ孤独だと叫び続けている。年月で姿は変わっているのに、テーマがブレない。
通してずっと聴いてると、「いつまで拗ねてるんだ」とすら思う。
そして、30年ずっと唄い続けられた孤独を好きな人がこの日、12000人集まった。
アリーナセンターエリアから見える景色はZEPPやBRITZのピロウズと同じだった。たまに左右のスタンドに近づくことはあっても、華美な演出も花道もなく、前にみた時と同じような佇まい、振る舞いで最後まで通した。
さわおは曲の間のMCは短めで、最後の最後にようやく
観客に話しかけてくれた。
「こんな偏屈なバンドがこんな人数を集められるのは、不思議だ」
というようなことを言ってた。
偏屈だけど、ピロウズはもう異端ではないんだ。
頑なにベースに正式メンバーを加入させない歪なバンドが、あるがままに居続けることでそれが「ピロウズそのもの」になっている。
帰りがけ、昔の恋人とその友達と再会してほんの数十分だけ話した。
その、ほんの数十分だけ、15年前の三人の空気に戻った。
今何してるとか、そんな話なんかしないでひたすら今日のライブの話。
みんな姿は少しずつ変わったかもしれないけど、変わってなかった。
ピロウズが唄い続けた孤独で、人と人が繋がっているのがわかるなんて
やっぱり、その通り不思議な夜だった。