世界は巨大な味噌汁の中に
小さい頃から窓ガラスを流れる雨粒だとか,
お好み焼きにふりかけた鰹節の踊る様だとかを見るのがとても好きだった.
中でもとりわけ大好きだったのが、熱い味噌汁の中で味噌の動く様子を眺めることだ.
水面に向かって浮き上がった味噌が、広がりながらまた沈んでいく様子は,
なんだか生き物のように感じられてとても面白かったし,
なんなら今でも見入ってしまう現象である.
そしてこれと同じような感動を,ここ数年乗る機会が多くなった飛行機で味わっている.
今回は味噌汁にみる”世界”の繋がりについて考えた内容について綴っていこうと思う.
1.”流れ”という動きの不思議
前述した”味噌汁の中の動き”の正体は,温度の違いによって発生する”対流”と呼ばれる現象である.
その名も”ベナール対流”.今度からしみじみと呟いてみようと思う.
↓とっつきやすい説明が記載されたサイトである.
https://site.ngk.co.jp/lab/no79/
↓ちょっと専門的な内容が記載されたサイトである.
https://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/first/marangoni/kiso.html
調べてみて面白かったのは,この現象が外から受ける力(モータとか水車とか)によってできるものではないことだ.
”温度の違い”があれば”引っ張る力”が生まれ,それに引っ張られる形で”流れ”が生まれる.
なんだかここにとても惹かれてしまう.
これは味噌汁の中で起こる現象という訳ではなく,
大きすぎて見えないだけで身の回りでも起こっているのである.
2.上から見た”雲の波”
夏が近づきそろそろ見えてくるであろう,入道雲(積乱雲)も対流によって起きるものの一つである.
今まで見上げてきた雲はそこが平べったかったり,
山の向こうにそびえる雲を見ていたりと,雲はそういう”かたち”を持った物体と認識することが多かった.
それが大きく覆されてしまったのが,飛行機から外を見た瞬間の景色である.
イメージ1 飛行機から見た雲
なんの揺れもなく飛んでいる間は,窓の外を見ても雪原のように穏やかな光景が広がっている.
逆に,機体が大きく揺れるほどに気流が乱れている間は,
雲も同じように大きくうねり,逆巻くものが多くなる.
それを見たときから,雲は綿のような”物体”ではなく,
空気の流れというか,ある境目に生まれた”白波”のようなものだと
認識するようになった.
また2年ほど前に富士山に登った時は,飛行機の時とは違った感動を覚えてしまった.
イメージ2 富士山から見た風景
高さの違うところに雲が集まり,下側が平面のようになっているさまは,
まるで海の中から波打つ水面を見ているようだった.
イメージ3 雲の中
なんというか,海の中も我々の空間も大きく変わらず,
同じ約束で動いているものなんだろうなと思うと,
改めて世界というかなんというか,そんなものの大きさを感じてしまうのである.
3.世界を取り巻く”流れ”の力
そして”流れ”が生み出す力の中には,前の章で出てきた飛行機にはなくてはならない
”揚力”というものが存在する.
向かってくる空気の流れを変えることによって圧力を変化させて,
浮き上がる力を発生させるというのが大まかな仕組みである.
↓参考はこのサイトから.
https://pigeon-poppo.com/lift-theory/
鳥はこの原理で飛んでいるし,
また,ペンギンは翼を動かすことで強い推進力を生み出している.
これも流れによって発生している力であり,
当たり前に使われている中でも不思議な力だと感じている.
ちなみに実家では鳥を飼っているが,彼女は飛ぶより歩く方が多い.
やっぱり重力に勝つには,ものすごいエネルギーが必要なんだろう.
4.さいごに
ここまで綴ってきた内容は,学問の名前で言うと”流体力学”という分野に当たるものである.
物体ではなく,捉えられない”流れ”を見ようとしたこの学問に,
僕は最近すごい興味が湧いている.
とっつきやすい本を買って,今読み込んでいる最中である.
小さな味噌汁の中で起こっていることが,大きな地球でも起こっている.
入れ子のようになっているなぁと思うと同時に,
巨大な味噌汁の中で生活している想像を巡らせている.
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