東京零時
土曜日、仕事を終えてから日比谷へ映画を観に行った。
東京なんだから映画館はほとんどIMAX入ってんだろうと高をくくっていたらそんなことはなく、
映画の環境だけで言うと広島に住んでいた時の方がよかったなぁと思うくらいである。
天を突くような高層ビルの麓ではビアガーデンめいたものが催されており、
ビル群に囲まれながら蒸し暑い中歓談している人たちをすげぇと思った。
映画が終わり、時刻は午前零時を回っていると、さすがに先ほどのビアガーデンも撤収作業を行っており、
その代わりに何かを待っているのかいないのかわからないような人々がベンチに腰かけていた。
信号待ちをしているときに爽やかな白いワンピースを着た女性が目に留まった。
さすがこんな高いビルが林立するようなところになると来ているものもお洒落だなと思ったのもつかの間、彼女が進む歩道にのたくったような揮毫をした、盛大なる吐きたてのゲロが飛び散っていた。
こんなにも結びつかないものが同じ画に入ることがあるのかと驚いて、
やっぱり東京はちげぇや、と感心した。
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