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恨みの花

 ふと、HIROMIXって今何してるんだろ?と思って、Xのアカウントを見てみたらとんでもないことになっていた。理解しがたい文字の羅列は不気味で、読み進めてみると不安を覚えて、ちょっと私が傷ついた。90年代はおしゃれでかっこいい事が良しとされていたし、当時、HIROMIXが好きというわけではなかったけど(元々写真に興味がなかった)彼女の仕事は、雑に括ってしまうがサブカル文化の頂点だ。私の中ではずっとキラキラした仕事をしてる人、と思っていたので少なからずショックを受けた。彼女のツイートは支離滅裂だったけど、搾取されたという訴えが、文字の隙間に見えたから余計にもやもやしたのだ。

 大人になったから分かるけど、90年代の女性フォトグラファーが少ない時代に、おしゃれで飾ることと、知識で大きく見せ、プライドだけはやけに高い、劣等感の塊のサブカルおじさんの海に放り込まれた10代の女の子が傷つかないわけがない。彼女の才能を消費し、資本主義に乗せ、金儲けしようとした人たちは、彼女の胸に黒い花のつぼみを無自覚にでも植えたのだと思う。それが40才を越えて、恨みの花が咲き彼女の精神状態を蝕んだ。

 彼女のツイートを見ながら、ここ最近のミンヒジンの暴動も似てるなと思った。ミンヒジンは色んな人を巻き込んで大暴れしてるけど、20代から男性社会で働き、長年の男性ヘイトが溜まりに溜まった結果、40過ぎて恨みの花が咲いたのかなと思う。もちろん彼女たちも100%搾取されたわけではなくて、旨味はそれ相当にあったとは思うけれど。
 女性差別だ、ジェンダーだ、ということを言いたいわけではなくて、男性(女性)が女性(男性)にした差別は、何十年も経ってから他の男性(女性)に危害が及んだりする。テロの被害を受けた子が大きくなってテロリストになる様に、受けた傷は他の誰かの傷を作ったりする。HIROMIXの場合は外ではなく、内に向いてるから、余計にいたまれなくなったのだけど、彼女を傷つけたおじさんたちは、今頃おしゃれなものに囲まれて、年金生活でも送ってるのかなって、その絵を想像するとてもグロテスク。

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