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メトロポリターノに沈んだユベントスの欠陥

 18/19シーズンのUCLのノックアウトステージが開幕し、平日の寝不足に悩まされる日々が始まった。そんな中で注目されるビッグマッチ、アトレティコ・デ・マドリーとユベントスの一戦が、エスタディオ・メトロポリターノで行われた。結果は2-0でアトレティコの勝利。下馬評を覆し見事なゲームを見せたホームチームが先勝した。
 では、なぜ”あの”ユベントスが2失点もして敗北したのか。そこには明らかな欠陥があった。

アトレティコの右を集中砲火したユベントス

 キックオフ時にユベントスの選手が左サイドに密集しそこにボールを放り込んだのは、この試合でのユベントスを代表するシーンだった。どうしてアトレティコの右を狙ったのかは知らない。
 で、ここで注目すべきは右サイドのデ シリオの立ち位置。ボヌッチとのチャンネルを開けたくないデ シリオは、仕方なく中に絞って右インサイドレーンにポジショニング。これでユベントスの右サイドはぽっかり空いた。

アトレティコのブロックの罠

 off-possessionで、かつボールがミドルサードにある時、アトレティコは4-4のブロックを敷く。ボール保持者にはほとんどプレスをかけず、ボールがブロックの中に入るのを待っていた。
 するとユベントスの前の3人がブロックの中に入った。後方からのパスを受けて、連係で崩すことを期待しての動きだろう。しかしアトレティコのブロックは彼らが考えるほど甘くない。
 ブロックの中の人間にボールが入る瞬間、アトレティコはコレクティブなプレスをかけてすぐにボール奪取。このネズミ捕り式のボール奪回でユベントスに余裕を与えなかった。グリーズマンやジエゴ・コスタがしばしばロングカウンターを見せ、そのたびにボヌッチやキエッリーニが対応していた。
 デ シリオの脇を使ったのは左SBのフィリペ ルイス。左SHのコケはインサイドレーンを上がってデ シリオをピン止め。結果フィリペがフリーとなり、クロスを放り込むシーンが目立った。

【考察】アッレグリとシメオネの”謎”修正

後半から、アッレグリはディバラをWGとして右サイドに張らせる。これによってブロックの罠からディバラを開放するとともに、ファイナルサードでより効果的にボールを保持して相手を動かそうとしたのだろう。しかしこの修正は全く無力であった。そもそもディバラはサイドでの1対1に強くない。ディバラのドリブルは相手の「プレスのベクトル」の逆を突くものであり、中盤での密集を脱出するのは得意だが、目の前の相手が待ち構えている状況(=相手のベクトル量が0)のときは無力だ。
シメオネはシメオネで不思議だった。70分までにジエゴ コスタ、コケ、トーマスを下げてモラタ、レマール、コレアを投入。ユベンティーノではなくアトレティを動揺させる交代であった。
シメオネの交代策はしばしば謎であるが、それはシメオネの感覚に依存しているからだ。彼は試合中の決断について、著書『信念』で次のように語っている。

試合中、私はまず直前の状況を考慮して、次に現状を観察する。現状を観察している段階で、選択肢はもう五つもなく、せいぜい一つか二つである。決断を下す瞬間に近付くに連れて、頭の中にある選択肢は減っていく。この概念の幅は広い。例えば選手交代の決断は、ほぼ直感の出たとこ勝負だ。決定的な時間に投入する選手は、状況を深く理解したことで得られる確信から選び出す。

モラタのゴールはVARによって取り消されたものの、ウルグアイコンビの魂のゴールで2点をもぎ取り優位に立ったアトレティコ。しかしジエゴ コスタとトーマスは2nd Leg出場停止である。はたしてトリノでのユベントスの逆襲に耐えられるだろうか。必見。

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